2-24・・・告白
バレてた?先ほどのやり取りを?
頭の中がパ二くっている。
「な、何を言ってるのかな?なんで俺がDXハウスを買うの?
それに、俺にそんな紹介する奴なんていないけど?」
言葉にするが緊張してうまく発することが出来ていない。
「剣真、聴いたんでしょ?私たちの事を。
母さんは元妖精なのも本当、転生してお父さんと一緒になったのも本当。
そして多分、あなたも異能力を貰ったんでしょ?」
俺は驚きながらも黙って首肯した。
「そうよね、お父さんの子だもんね、当然か。
でもね、私たちは口出ししないわよ?意味は解るわよね?自分で考えて行動しなさい」
父さんも頷いている。
「何故交渉しているの気付いたの?」
素朴な疑問を投げてみた。
「だって、元妖精だもの気配くらい解るわ。
それに、剣真も16になるしそろそろコンタクトがあるとも思ってたしね」
なんだ、すべてバレバレだったか。
そう思うとちょっと落ち着いて来た。
「そうなんだ・・・察しの通り異能力貰ったよ。
母さん父さんの事もある程度聴いたけど、禁則事項になる部分は聴いてない。
俺なりにちょっと頑張って見るよ」
親の前でちょっとした決意表明をしたが次の一言で台無しになった。
「それはそうと!どんな娘なの?紹介してよ!」
なんかそっちの方に興味深々のようで、早く紹介しろとうるさい。
「判った、ちょっと待って。
姿を現してくれよ」
そう言うと、俺の背後から恥ずかしそうに顔を出してきた。
「かわいいわねぇ」
「かわいいなぁ」
その言葉に顔を赤くしている。
「初めまして、No107を受け継いだ者です、よろしくお願いします」
「「こちらこそ初めまして」」
2人して挨拶を返す。
「それで?名前は貰ったの?」
「名前ですか?いえ、貰ってませんけど・・・」
「剣真、名前が無いと呼び辛いだろ?
良い名前を付けてやりなさい」
父さん、優しいな・・・・
「あっそうだ母さん、さっきDXハウスがあるって言ってたよね?」
「あるわよ、私も一時期住んでたからね。
懐かしいわね?川さん」
「ああ、そうだな。
ちょうどいいサイズだったなぁ、クリスもあの時はかわいかったよなぁ。
もちろん今もかわいいけどな!」
「やだ!川さんったら」
・・・なんだこの会話は・・・ちょっとイラっときた。
「何処に仕舞っているの?ちょっと取ってくる」
「使ってない部屋の押し入れの奥にあるわよ」
言われた部屋の奥の押し入れを探すと確かにあった。
犬のペットゲージくらいの大きさでちゃんと備品もそろっており、布とか綺麗に真空パック状態にしてあった。
すぐ使えるじゃんか・・・
埃を落として部屋に設置しリビングに戻った。
「・・・・誰?」
リビングに1人増えていた。
髪の長い女性というか女の娘。
テーブルに座って親と話している。
「あったでしょ?ちゃんと取っておいたんだから」
「いや、その人誰?」
女の娘を指差す。
「何言ってんの?アンタのパートナーでしょうが」
その娘は振り向いてお辞儀をしながら挨拶をしてきた。
「No107です、人間バージョンではこの容姿となります。
以後よろしくお願いします」
そう言って顔を上げた瞬間、思わずドキっとした。
しばらく惚けたくらい。
身長は150ちょいで俺と同じくらいの年頃。
髪は長くポニーテールにしており、スタイルとしては出ている所は少し出て、引っ込んでいる所は普通に引っ込んでいると言う体型。
痩せすぎてもふっくらでも無く丁度いい肉付き。
和服着せたら最強じゃね?って容姿。
特に目が行ったのは顔で、特別美形でもかわいいでも無く安心する雰囲気を纏っている。
もちろん、普通に考えるとかわいい方にクラス分けされるレベルだ。
「ねぇ、剣真?どうしたのかな?」
ハッと正気に戻り平常心を装う。
「いや、何でもないよ。
そうか、人サイズにもなれるんだな、びっくりしたよ」
横で母さんがニヤついている。
「なんだよ?!」
「剣真、あんた見惚れてたでしょ?」
「そんな事ないよ!それに見惚れてたっていいだろ?
俺は同級生の娘と喋るの慣れてないし」
母さんはさらにニヤつく。
「あのね、この娘が選ばれた理由だけどね、あんたのドストライクの娘が選ばれるのよ。
だって永久専属になってるんだから当然でしょ?」
はあ〜?何それ?
俺の性癖というか好みがバレてしばらく悶絶。
恥ずかしさに慣れるまで数分掛かってしまった。
「確かにドストライクだな、俺の」
まだ顔は赤いと思うけど、なんとか平常心を装う。
「でしょ?良かったじゃない?
これで彼女持ちになれたから」
「なんでそうなるんだよ?監視者だろ?あくまで」
「そうね、今は監視者だわね、せいぜい頑張りなさい」
その後冷やかしをこれでもかと受け、なんとか自分の部屋に戻る事が出来た。
クッソ〜覚えてろよ〜!
部屋に入るとNo107が三つ指付きながら正座をし始めた。
「これからよろし・・・」
慌ててそれを制止する。
「いやいや、何やってんの?君監視者でしょ?」
「いえ、これからお世話になるし、尊敬する先代もいるし、剣真さん好みだし」
その言葉にちょっと冷めてしまった。
「俺が言うのも何だけど、見た目で人を判断するのは嫌いなんだ、そういうのはやめてくれ。
お互いまだ知り合ったばかりなんだから、そこをまず見極めようよ、まぁ、俺が言うとナンパの手口と思われるかもだけど」
最後は少し笑いながら注意した。
「あっそれは失礼しました、申し訳ありません」
「別にいいよ、最初見た目だけで判断するのは仕方ないしさ。
もし俺の事が嫌になったら没収してもらってもいいからさ、俺自身を見て評価してくれよ」
「判りました、それじゃ私の事も評価してくださいね」
お互い見極めるということで握手をした。