2-22・・・出会い(コンタクト)
イベントが終わり、いよいよ来週から夏休み。
いつものごとく放課後に道場で鍛錬し1日を終え帰宅。
夕飯食いながらその日の事を話すんだけれど、一つ判ったことがあった。
楓が着ていたメイド服は母さんの持ち物だったらしい。
昔、父さんとのデートで着ていたとの事。
サクラおばさんも持っているらしいけど、楓には背丈が合わなかったと。
ミスコンの話が出て衣装を探していたら昔のことを思い出し合わせてみたら・・・ぴったりだったのでプレゼントしたという流れだったようだ。
というか、デートであれ着てたのか?母さんはともかく父さん・・・チャレンジャーだな。
一家団欒を終え自室へ。
中断していたバイト探しを本格的に行うため、サイトを除く。
これ、もう時間切れじゃ?と思いながら。
サービス業よりも技術系がいいんだけど、なかなか高校生OKってのが最近無いんだよ。
一ヶ月程度教えても、学校始まればさよならじゃ技術を教えても無駄と思われてるのかも?
う~ん、う~んと唸りながら画面に集中していた。
1時間ほど経ったころだろうか、窓をコンコンと叩かれた。
風のせいと思い無視しているとまたコンコンと。
何かベランダに引っ掛かってるのだろうかとカーテンを開けたが、何もない。
???何か飛んできたのかな?そう思って閉めようとした時、ちょうど目の前に蝶みたいなのが飛び込んできた。
よく見ると人型だ・・・こんなドローンとかあったっけ?
でもよく見ると人差し指を口に当てて声出すなってゼスチャーしてる、眼で何気なくウィンクしてる・・・
????
UMAか?誰かの悪戯か?そんなことを頭の中で巡らせていると、中に入れてくれみたいなゼスチャーになっていた。
恐怖と怖いもの見たさが半々だったが、興味のほうが勝ってしまい窓を開けてしまった。
目の前に今羽付きの小さな人型がいる・・・アニメに出てくる妖精?と解釈する。
話が通じるのか判んないけれどコンタクトを試みる。
「君何者?UMAか?」
「えっ?私の事判らないんですか?」
「いや、知っているほうがおかしいでしょ?こんな生物みんな見たことないだろ、普通」
妖精もどきは俺の顔をまじまじと見つめ
「本当に知らないみたいですね、まいったな、最初から全部説明しないといけないのか・・・」
なんか俺がある程度の事情を知ってると思っているようだけど知らんがな。
何言ってんだこいつ?そう疑念の目で見ながら観察をする。
「それじゃ説明しますよ、とりあえず聴いてもらってから判断して下さい」
俺は黙って首肯する。
その後、30分ほど説明を受け、半分納得半分胡散臭さを感じながらどうしたものかと考えている。
だって実験台って・・・大丈夫か?それ。
異能力とかもそうなん?って程度。
しばらく迷っていると、懇願するようにお願いして来た。
「お願いしますよ〜、せっかくの初仕事だし名誉職でもあるし、色も付けますから〜」
「なんだよ色って?」
「多少の融通も利かせますからお願いします〜、貴方の家系なら変なことされないと思いますし」
さっきから不思議な事言ってる気がするんだけど、これってランダムだよなぁ、なぜ俺が良いんだろうか?
「なあ、なんで俺みたいな積極的じゃない奴が良いんだ?
他の奴の所に行けば食いつく奴いっぱいいると思うんだけど?
それに初仕事って・・・もう100年近くこの実験やってるんじゃないのか?
おまけに変なことって・・・お前小さいじゃんか?
人形のように扱われるって意味なのか?」
質問攻めだった。
「判りました、全部話しますから前向きに検討というか契約してくださいね?絶対ですよ、絶対」
なんか必死に訴えかけてくる、なんかかわいそうになってきた。
「判った判った、前向きに検討することを約束しようと思う事を宣言する」
「なんですかそれ・・・お願いしますよ本当に。
まず、私のコートネームはNo107といいましたが、この番号は川田さん一族だけのものです」
えっ?今なんて言った。
「なぜだ?5分割されてのランダム選出だろ?」
「20年程前まではそうでした。
しかし、あることが起こったんです、レベル制は話したと思いますが、そのレベル10を達成した人がいたんです」
「それって・・・まさか?・・・」
「そうです、あなたのお父さんです。
初の快挙であり、その時に我々妖精達の願いも叶えてもらえるようになりました。
そしてその名誉として川田の一族に優先的に実験体になる権利が与えられました」
「お前たちの願いってのはなに?」
「すいません、それは今は言えません、機密事項なので。
でも剣真さんならそのうち話す許可ももらえると思います」
驚くことだらけだった、俺の父さんがそんなことしてたなんて・・・
そんなことよりも次の話が衝撃だった。
「私が冠しているNo107なのですが、私の前任は・・・今はクリスという名前で生活しています」
・・・・はっ?
「それって・・・もしかして?」
「そうです、あなたの母親です。
あなたの母親は元妖精で、人に転生して川田さんと一緒になりました」
「!!まじか!!」
思わず叫んでしまった。