2-14・・・高校編
次の日、俺は友人である平君へ昨日の話を持ち出した。
「とう言うわけで遊びに行かないか?
街ブラ程度のぬる〜い交流になると思う、初顔合わせだしどうだ?」
「そうだなぁ、川田の友達ならいいか、な。
いいよ付き合うよ」
よし、ゲットだ。
上手くいけば平にもいい娘が見つかるかもしれん。
夕方、帰り際に集まり今日の収穫を報告する。
「俺友人1人OK ね」
「俺は都合つかなかった、次誘ってくれだってさ」
「私は2人だった、でもこれで頭数合うよね」
簡単な打ち合わせして解散となった、明日希望等話し合う予定だ。
次の日、通学の電車の中、優二と駄弁りながら千早駅で楓が乗ってくるのを待っていた。
「あれ?今日は遅刻かな?」
ベルが鳴りドアが閉まる。
学校で会えるだろって言い合いながら、満員電車の中窮屈な状態で駄弁っていると、いきなり
「痴漢です」の声が響く。
と、同時に俺の右手が上がった。
???何故???
頭が真っ白な状態ってのはこう言う事なのだろうか、思考回路が吹っ飛んでいた。
数秒?いや数分かもしれない。
連れの優二が違う!冤罪だと言ってくれているんだが、周りの反応は冷たい。
最悪なことに相手の証人も名乗り出て、犯罪者確定のフラグが立った。
俺は、あ〜これで前科一犯か〜と他人事のように考えていた。
人はどうしようもない時には無抵抗になるんだなと。
優二はそれでも違うと庇ってくれている。
本当にいい奴だな、楓を頼むわと1人完結していた。
ちょうど次が終点の博多駅。
周りからは犯罪者扱いされて逃げないようにガードまでされて、俺たち正義の味方状態。
その顔、なんかイラつくわ!
そうしているうちに鉄道警察?ぽいのが来て事情を聴かれた。
もちろん、否定はしたけど向こうは証人いるし完全な犯罪者扱い。
ふと相手を見ると、同じ学校じゃんか!
怒った顔でこの痴漢が!とか汚い言葉を掛けられけなされた。
挙げ句の果てに、同じ高校のよしみで示談にしてやるから慰謝料よこせと。
すぐ後ろにいる証言者は薄ら笑いでこっち見てやがる。
少し冷静になったあたりで手の拭き取りとか皮脂検査してくれって言ったけど証言者いるからって事で拒否された。
ほかに手が無く、黙って従おうとしたところ、奇跡の証言者が現れた。
「ちょっと、その人痴漢じゃありませんよ?
私見てましたので」
声掛けられた方を見ると楓が立っていた。
俺の死角から突然現れた彼女は怒り心頭な顔で痴漢に遭ったと言う女生徒を見ている。
「私触られたんだけど!?
直ぐに手を掴んだから間違いないんだけど!?」
証言者もそうだと援護する。
「そうですか、それじゃ証拠はあるんですか?」
「だからこの人が証人だろうが!」
目配せされた男は確かに見たと言い張る。
それを聴いて周りのギャラリーと鉄道警察に聴こえるように宣誓のごとく答える。
「それじゃ今から詰所に行って手続きしてもらいましょうか、私は冤罪を主張する側です。
もし私の方が正しければそれ相応の罰を受けて頂きますよ?いいですね?
それと、警察の方、拭き取り・皮脂検査を怠った事後悔させてあげるわ!」
シーンと静まる中、関係者全員近くの交番に連れて行かれるのだった。
駅の交番内に連れて行かれ、お互い別部屋にて事情聴取を受ける。
この場合、5組に別れて取り調べとなった。
俺・優二・被害者の女・女側の目撃者・楓だ。
お互い真っ向から意見・証言が食い違う。
向こうは示談にしてやるから慰謝料をの一点張りになっていた、理由としては学校があるからだって。
俺たちだって学校あるし、今認めたら俺は退学だよ。
1時間後、少し広めの部屋に全員集められ最終意思確認を迫られた。
そんな中、署からの応援として刑事さん達が到着。
部屋に入るなり、楓を見て思わず敬礼。
入口付近で立ち止まっている同僚を後ろから押し出すようにもう1人。
「おい、青木何立ち止まって・・・」
そう言いながら部屋の中に目を向けてフリーズ。
「楓・剣真と優二まで何やってるんだ?」
「赤城さん、痴漢容疑ですよ!」
青木さんは女性刑事でサクラおばさんと楓の護衛をしてもらっている。
赤城刑事は青木さんとペアを組むことが多い。
2人の事を知る数少ない警察関係者だ。
ついでに言うと、署内の道場で相手してもらっていたりする。
俺と楓は5年以上前から、優二は3か月程前から。
「それじゃ最終確認ですが、古賀さん、あなたはこの川田君に痴漢をされたのですか?」
事情聴取と身元の確認後調書を取っていた。
「だから痴漢されたんだって、ねぇ?」
目撃者の男、多田に確認をする。
「あ・・あぁ、そうだ」
少し挙動不審になっている。
「解りました、それじゃ宣誓ということで。
それじゃ、川田君、あなたは痴漢をしましたか?」
「いえ、俺はやってない」
「そうですか、冤罪を主張するということでいいですね。
それから、楓さん、言いたいことありますか?」
振られた楓は
「はい、彼は痴漢をしておりません」
「何か証拠有りますか?」
「もちろんあります、このスマホに彼の右手が映っています。
その時間前後に撮った動画ですが、女性どころか何処にも接触しておりません」
「「「・・・えっ?」」」
知らない相手2人と優二が思わず声を上げていた。
「これでも痴漢したと言うなら鑑識呼んで白黒つけましょう」
そう言いながら担当した警官を睨んだ。
俺は借り作っちゃったなぁと別の事を考えていた。