15 また日常へ
朝目が覚めていつものようにボーっとしながら起き上がろうとしていると、隣の部屋から人が現れた。
びくっとして焦っている私を見て、
「川さん、おはようございます、これどうですか?」
えっ、、、クリスなのか?と思うも朝の頭の思考に体が付いて来れず言葉に出せない。
「昨日、リアル世界でも大きな体でいてくれって言ったじゃないですか、川さん」
あ~思い出した、確かに言ったけど直ぐに実行するとは思わなかったよ。
「いや、休日にしてくれって意味で言ったつもりだったんだけど、常時その状態じゃ仕事中は留守番になっちゃうけどいいのかい?」
「それは困りますね、それでは小さくなります」
と言いながら小ちゃくなった。
すごい、幻じゃないんだ、ちゃんと触れる。
オーラバトラーか!と突っ込んでも分かる訳ないか。
「御免な、せっかく変身してもらってたのに」
何故か分からないけど詫びといた。
出勤時、いつものポジションで会話をしながら運転。
「私の好みどうやって情報を取った?
日頃、女性をガン見するとか、雑誌を見るとかしてないんだけど?」
ちょっとした疑問をぶつけてみた。
「甘いですね、見てないようでも無意識に醸し出してるんですよ、女の感って奴ですかね」
アンドロイドが良く言うよ、絶対何か隠してるな、オーバーテクノロジーってやつかな。
仕方ない、今のところ損はして無いんで我慢するか。
仕事中はトラブル等何もなく、いつものように時間が過ぎ終業時間となって会社を出た。
まだ夕方になったばかりで、このまま帰るのも勿体ないから近くの温泉に行くことにした。
クリスにはロビーで待機してもらう事にして、湯舟に浸かりサウナを満喫。
1時間ほどのんびりしてロビーでくつろいでいると、後ろの方でなんか倒れた様な音がして振り返ると、中年男性がうつ伏せで倒れていた。
廻りはざわつくばかりで誰一人動こうとしない。
そんなもんだよなって思いつつ、その男性に近づいて呼吸・心拍チェック。
あちゃーAED必要かな、あればいいんだけどな、と考えながらAEDありますかって廻りに聞いても返事無し。
仕方なく、店の従業員らしき人に対してAED持ってきてと伝えてなんとか持ってきてもらった。
この時点で3分近く経過してるんだけど、とりあえずパットを体に貼り付けて装置に繋げると解析スタート。
そのうち、ショックが必要ですのアナウンスが。
廻りを確認後ボタンをオン。
ショックを与えられた男性の体がちょっと振動し、胸骨圧迫をしろとの指示が流れた。
胸のほぼ中心を思いっきり適当なテンポで圧迫した。
肋骨折れんじゃないかってくらいにやってたら、ちょっと反応があったんでそのまま続けつつ、クリスに、
「後衛職、僧侶のみ能力承認よろしく」
「了解、能力承認OK、送ります」
蘇生したっぽいんで、そのまま心臓マッサージした態勢のまま回復弾撃ち込み。
これで回復が早くなり心停止時のリスクも無いだろう。
実際に、蘇生した後は体に異常はなさそうだったけど、誰かが救急車呼んでいたみたいなんで病院に行ってもらう事に。
さて、これからどうやってフェードアウトしようか。
経緯とか感謝の言葉等正直言って面倒くさい。
たまたま近くで倒れて、たまたま誰も助けなかっただけの事なんだが。
仕方なく、必要最低限のやり取りを行い、やっと逃げられた時には20時を回ってた。
救急車=警察介入だから時間が、、、、
倒れた人の身内がその場に居なくて助かった。
連絡先聞かれて教えたんで、もし連絡あったら適当にあしらおう。
クリスに能力解除してもらい、さて帰って飯でも作ろうかなと思いながら車に向かおうとしたら、、、、
「おめでとう御座いま〜す、レベルアップしました〜〜」
思わず
「えっ」