14 ちょっと冒険の世界へ②
「嫌だな〜、私ですよ、分かりませんか?クリスですよ」
一瞬、えっ?と思ったけど納得した。
そりゃそうだ、いきなり声掛けてくる奴なんて今は知り合いしかいないから。
「どうやってそのアバター作った?」
「どうって、アカウント勝手に作って職業選んで色んなところショートカットして・・・」
ショートカットって、、、いや、技術的に彼らの方が上なんだから可能か。
「どんな方法でって聴いても・・・」
「はい機密事項なんで。
でも、話しても理解できないですよ」
まあいいか、一応喋ってもいいけど吹き出しに会話の内容が出ちゃうからリアル情報等は念話の方がいいだろう。
その折を説明して納得させた。
しかしながら、その見た目は他のプレイヤーのアバターと違うのではないか。
「そのアバターはどうやって?」
「ああ、これはアカウント作った時にプログラムちょっといじって容姿を変えました。
くノ一でフード被ってれば他人にはあまり区別付かないと思って。
それに、、、川さんのストライクゾーンでしょ?」
一瞬、ドキッとした。
確かに可愛いと美形のどっちなのか判らない容姿と、170位ある背丈、フードから見え隠れしている長めの髪(ポニーテールにしたら似合いそう)控え目な胸・・・
なぜここまで知っている?厨二病と思われそうな好み等話したこと無いのに。
恐ろしい娘!アンドロイドだけど。
それが実物大で目の前にいるんだから福眼だ。
無言で親指立ててGJのポーズとってしまった。
「リアル世界でもその姿でいればいいのに・・・」
ボソッと言ったら、、、、
「なれますよ、そっちの方が良かったですか?」
「なれるんかい!、、、って早く言ってよ〜〜」
ってどっかのCMか。
「それは後で話そう、とにかくゲーム進めようか。
まず、ギルドへの登録だったな」
ギルドの登録はすぐに終わって冒険者の心得の説明を聴いただけだった。
常時依頼と討伐、指定依頼等分かれていて依頼受けずにフィールド行っても構わないみたいだ。
勝手に討伐しまくって、依頼書が出た後に証拠物件等出してもOKらしい。
特別依頼はダメらしいけど。
PKは出来ないとの事だったんでちょっと安心した。
自由度高いと思ってたらそこら辺はちゃんとしてるんだと思った。
それじゃあ、フィールドに行きますか。
そこら辺1周してログアウトでも構わないだろう。
城壁出たら草原となり、林の中に入りそこからは森。
パソコン上では視界の都合上少ないかもしれないけど、実際は森の中にいる感じだ。
よく出来てるなぁって感心するくらい。
人が行き交う道路は比較的セーフティゾーンみたいだけど、タゲされると関係なさそう。
ちょっと道外れて採取してみた。
薬草とか自分で作れるみたいなんで作ってみる。
技はその武器を使用しているとポイント貯まって割り振って習得らしい。
普通に弱い獣を2人で討伐しながらプレイを1時間ほど楽しんだ。
良く考えたら回復役いないなぁ、と後から気づいたけどなんとかなるだろう。
その場で座ればゆっくりだけど回復するから今はいいか。
いざという時は臨時でどっかのパーティ入れて貰ってクエストクリアすればいいし、と安易に考えていた。
廃プレイヤーになるつもり無いしね。
「そろそろ帰ろうか」
クリスにそう告げてフィールド上でログアウトしようとしたら、街まで歩いて帰りましょうよと言ってきた。
「ここからでも落ちれるよ」
と言いながら不思議に思っていると
「街まで歩いて5分も掛らないんだからいいでしょ」
まあいいかと思い歩き始めるとクリスが横に来て腕組んで来た。
「???どうしたん?」
「たまにはいいじゃないですか、こういうのも」
・・・結婚に失敗しないで、もし娘がいたらこんな時間があったのかも知れないなぁとちょっと感動したよ。
数分間の至福の時を貰って街中の適当な広場でログアウトを行なった。
明日の分の元気を貰ったよ。
就寝前に喜多川君にお礼のメールを送っといた。