2-2・・・結果報告と能力と
訪ねて来たユウヤ達を部屋に通す。
「で?どうだった?」
「それが、今の所何もないよ、まだ2週間経過しただけだけど多分封印されているんじゃないかな」
「そうか・・・それは良かったな。
吉井さんにはお礼を言っとかないとな」
しばらくは大丈夫だろうとの思いから一息付けたようにみんなから緊張感が抜けていく。
平常なのは剣真と楓の2人だけだ。
まあ、子供だから仕方ないよな。
「でも何の能力を貰ったんだろうね?」
クリスが呟いた。
う~ん、俺も興味あるんだけど、さすがにマナー違反だよな・・・
ユウヤ・サクラもちょっと興味あるようで、3人で勝手な仮説分析を立てている。
こりゃ終わらんし、なんかモヤモヤするな・・・
「仕方ない、今度会った時にでも報告がてらそれとなく聴いてみるよ。
あまり期待しないでもらえるとありがたいんだが」
そう言ってみんな納得してもらった。
・・・どう切り出そうかな・・・
考えてもラチが明かないんで、外でランチしようということになり近くのモールへ。
子供がいるから、お子様ランチ必須店に行かないと集中力が散漫になって騒いでしまう。
そういうのを考慮すると、店が限られてしまうんだけどさ。
お昼時だったけど、たまたまタイミングよく席が空いたんで座ると、
「あれっ?課長じゃないですか?」
横を見ると吉井さんとつかさ君が座っていた。
いつもの作業服じゃないし、2人共オシャレしてるから声掛けて貰わないと判んなかったよ。
数秒間フリーズしてしまった。
「あれ?吉井さんじゃないか。
今日はデートかい?そんなオシャレして」
「はい、経験値稼ぎも兼ねてますけど」
挨拶をしていると横からユウヤ達が割り込んで来た。
「今回は楓の件でお世話になりました。
あれから2週間経ちますけど、今の所能力の発動は抑えられています。
有難うございました」
ユウヤ・サクラ2人でお礼を述べている。
「いえいえ、お役に立てて良かったです。
これで少しは恩返しは出来たかなと思うと気が楽になりますよ」
しばらく子供の話題で盛り上がって落ち着いた所で、別の話題へ。
「吉井さん、これは聴いたらマナー違反だと思うけど、楓に施術してもらった能力って本来どんな付帯なのかな?」
・・・我ながらドストレートだな。
「ああ、それはですねただの病状の進行を止めているだけの能力です」
「・・・??止めるだけ??」
「そうです、止めるだけです」
・・・・
・・・・
「解りますよ、止めるくらいなら治した方が早いんじゃないかと思いますよね?」
「う・・うん、普通はそう思うな」
「実はですね、この世には不治の病が多々あるんですよ。
原因が判らない病気とか、末期ガンとかはもう間に合わなくて能力がもう効かないんです」
なるほど、それで進行を遅らせるとういうか止めるのか。
「それならレベルアップボーナスでランクアップさせられなかったのかい?」
「それもお願いしたんですが、人の命に係わる案件は禁忌に触れるから駄目だって言うことで諦めました。
認めちゃうと蘇生も可能になっちゃうからなのでしょうから」
そりゃそうか、下手すりゃ神扱いになって正体を探られる可能性があるから、活動が出来なくなっちゃうか。
「それで話し合いの結果、病気等の進行を遅らせるという能力にしてもらいました。
これが最大の譲歩だと言われて折れたんです。
制約として一回に付き1年延長・最大5年で打ち止めですけど。
これ以上はやりようによっては不死が可能になる恐れが出るからと」
病気等の進行ね・・・曖昧な制約を入れた分、楓にも効果が出たという事か・・・
「そうか、最大5年でも助かったよ。
その間に対策を練れるし、後はサクラがなんとかするだろ?経験者なんだから、な?」
その問いにサクラは頷いている、自信にも経験があるんだろう、子供の時に疎外された経験が。
あえて聴かないけど。
それから色んな情報交換等を行い別れた。
女子が3人集まると姦しいっていうけれどその通りだな。
1時間中喋りっぱなしだったよ・・・男連中は最初は良かったんだけど後半はじっと耐えて早く終わってくれと願ってた。
そのまま買い物等を済ませてゆっくりしていると、もう夕方。
そのまま外食しようとしたけど、子供が寝ちゃってたんで帰ることになった。
夕飯一緒にと誘ったんだけれど、今日は楓の報告がメインだったから帰ってゆっくりするといって別れた。
子供も疲れて寝てるしそれがいいかもとモールで別々の帰路へ。
帰りの車の中であの2人なら5年の間になんとかするだろう。
そう思いつつ自分の5年後は何やってるんだろうかと考えながら運転するのだった。