2-1・・・遺伝と封印
あれから5年と少し経った。
剣真ももう小学生に上がる。
私ももう60近くになってしまった。
遅咲きだが幸せな毎日を過ごし、ある意味リア充だ。
最近、同僚が立て続けに病院送りになっている。
健康診断で癌とか癌とか癌の疑いで要検査が数名。
50近くで独身、食生活等良くないと思われるし、タバコも吸うとなればそっちの方も危ないだろう。
直近では大腸癌の疑いで検査入院した部下もいたけど、直ぐに手術等しなくてはならないような病状では無かったらしいけど、数年以内には・・・と言われたようだ。
それなら軽い内に手術しとけよ!って突っ込んでしまった。
今の年齢で早めに切っておけば、後々体力的に楽になると思うんだけどな〜。
私も子供が成人するまでは元気で仕事しないと家族が路頭に迷ってしまう。
幸い、あの一件で肉体的に20くらい若返っているから体力的には問題ないんだけど。
おかげさまで夜の方もまだまだイケてる。
まあ、何かあったとしても治すツテはあるんだけど。
そんな日常を過ごしていると、ユウヤ達が訪ねて来た。
「久しぶりです」
二人とも元気そうだ、、、、けど。
「どうしたんだ?なんかあったのか?」
なんか、おかしい?・・・
「楓の事でちょっと相談が・・・」
剣真と同い歳なのでもう小学生に上がるはずだけど、なんか問題でもあったのだろうか?
「体の具合が悪いのか?」
「いや、健康体そのものなんだけど。
実はサクラの特殊な能力を受け継いじゃってて・・・能力の制御が出来なくて色々やらかしちゃって・・・」
「受け継いじゃった能力って・・・あれだよな?」
「うん、予知能力。
それもサクラより上位スキルっぽくて、おまけにまだ子供だから見境無く、見たままの事を喋りまくるから噂になっちゃって」
いい事だけならば相談には来ないだろう。
多分・・・・廻りから避けられるようになったんじゃないだろうか、気味が悪くて。
そんな事を直接言えないから回りくどい言い方をしてみる。
「・・・イジメとかに遭っている?」
「本当に起こる出来事を言い当てるもんだから、避けられちゃってるみたいで・・・
親の方にも噂が広がりつつあるんだ。
それで引っ越そうかと思ってさ」
ここら辺にかな?もったいないなぁ、せっかく都会に住んでいるのに。
そう考えているとある事を思いついた。
「ちょっと待って、もしかしたらいけるかもしれない」
そう言いながらある人物に連絡をしてみた。
「もしもし?結城さん?」
「はい、そうです。
どうしたんですか?珍しいですね、電話するなんて」
電話の相手はあの結城さんである。
「ちょっと聴きたいんだけど、今、レベルはどのくらい?」
「え〜と、6になりましたけど・・・課長知ってますよね?」
そう、私は知っていたけど、あれからアップしてるかも知れなかったので確認の為に聴いただけだ。
「聴きづらいんだけど、今の能力って何を貰ってる?」
レベルアップボーナスの中身は3人共に聴いていない為、みんなの能力を知らないのだ。
「・・・どうしたんですか?何かあったんです?」
「実は・・・」
楓の事を相談してみた。
「なるほど・・・そういう事なら吉井さんの方がいいかも知れない。
レベル4のボーナスで封印っぽいの取ってたんですよ。
詳しい事は本人に直接聴いた方がいいと思いますよ」
「そうか、ありがとう。
連絡してみるよ」
そう言いながら電話を切った。
そして続けて吉井さんに連絡をしてみる。
「あれっ?課長珍しいですね、連絡してくるなんて。
大病でも患ったんですか〜?」
そんな事ないよ、と挨拶がてら世間話をする。
「それでどうしたんですか?何かあったんでしょ?」
この娘、こんなに感が鋭かったかな?
「実は、封印系の能力持ってないかなって思ってさ」
事情を最初から話してみた。
「そういう事ですか・・・能力持ってますよ、多分いけると思います・・・」
なんか歯切れが悪いなぁ。
「もしかしてリスクあるのかい?」
「リスクというか・・・長期間の封印は無理なんですよね、重ね掛けしてもMAXで5年くらいしか持ちません」
5年なら充分だと思うけどな。
「それだけ持てば御の字だけど?」
「それでいいなら施術しますが、このパターンは初めてなんで本当に効くかどうかはやってみないと判らないけどいいですか?」
ユウヤ達に聴くとお願いしたいという事だったので依頼する。
善は急げという事だったので1時間後ある場所で待ち合わせをした。
会った早々軽く挨拶をし早速施術を行なってみる。
丸一日分の能力を駆使して封印を打ち込む。
これといって変化は無い、そりゃそうだよな、未来視だし、楓はまだ6歳で能力の使い方もよく分かってないから。
本日はこれで解散となり、後日結果報告をする事を約束。
彼女の能力に何故封印が追加されたのか?は興味があったんだけれど、あまり個人スキルを聴くのはマナー違反だと思ったんでグッと我慢した。
それから2週間が経った頃、ユウヤ達が訪ねて来た。