追記①・・・新婚旅行編
クリス達が人間になって1ヶ月経った辺りの話。
ついにクリスと結婚した。
50と20歳のカップルは世間的にはどうかと思われたが・・・同僚の妬みと羨望で終わってしまった。
そんなに珍しくないのだろうか、特に何も無かったな、まあ薄々感じてたんだろう。
その代わり、イヤミ混じりの祝福を受けながらお祝い等もらった。
あの3人娘からも祝福してもらい、妖精君達も祝福してくれたのは嬉しかった。
お前達も続けよ?とエール送りたかったけど、それは心の中に留めた。
生活の方は、クリス達は今までが便利だった反動で不便な生活となっていた。
小さくなれない、飛べない、不可視化不可、具現化不可等てんこ盛りだ。
そんなこんなで1ヶ月経っていた。
本日は休みなのでユウヤ達も遊びに来ていたため聴いてみた。。
「どうだ?みんな慣れたか?」
その問いに
「不便だね、今までが便利すぎたかも」
とクリス。
「不便だけど元々鍛えてたからな、地上戦オンリーと考えれば問題ない」
とユウヤ。
「不便だけど、特異能力は使えるから仕事には影響ないよ、元々運動系苦手だったし問題ないです」
とサクラ。
みんな順応してきてるな、結構なことだ。
「川さんは不便じゃないの?」
「俺は元々人生の90%以上普通の人間として暮らしてたから、特には何もない。
しいて言うならゲームでチートしてた程度の便利さだったな。
この異能力よりもスマホが無くなる方が痛い、痛恨の一撃クラスだよ」
「「「へぇ・・・」」」
そういえばスマホ持たせて無かったな、仕事にもプライベートにも必須なアイテムだしな。
今までは念話だったから必要とは思ってなかった。
ユウヤ達は支給品の携帯だったから個人用持たせないと。
「スマホが必要だろ?そろそろ」
クリスが思い出したように乗っかって来た。
「そう!不便だと思ってたんだよね、何か忘れてると思ったよ。
念話が無いからそれが普通で慣れないとな、と思っちゃってた」
ユウヤ達は黙ってポケット&バックからお揃いのスマホを取り出した。
「俺たちはもう持ってるから・・・
クリス姉さん・・・気づくの遅いよ・・・」
「なっっ!!・・・川さん・・・スマホが・・・」
「どうした?」
「川さんと一緒のタイプが欲しいな」
「そ・そうか・・・ゴメンな気付かなくて」
来週から新婚旅行の有給休暇貰えたんで、その前に購入をすることにした。
同じやつの色違いを選び、セッティングしてもらって引き取って終了。
メアドと番号を交換した後、ポチポチいじくっていた。
若いからすぐにマスターするだろう。
「あの三人組には直接番号を教えなよ?
いきなり知らない番号から掛かって来ても多分出ないから」
「うん、解った。
これっていろんな機能付いてるけど・・・SNS、ゲーム、写真が主だよね?
その他はラインくらい?」
実際、ほぼゲーム/ゲームしかやってない自分としては、耳が痛かった。
「そうだな・・・俺はゲームしかやってないけどな。
あとはググってるだけ」
「ふ~ん、便利だねぇ」
感心しているようだけど、はっきり言って念話とかの方がすごいと思うけどな。
「アプリ入れていろいろ試しな」
それから一緒に風呂入って寝たのだった。
夜のお楽しみがあったのか?無かったのか?どうだったのかは定かではない。
朝、目が覚めると・・・知っているはずの天井だった。
知っているはず?というのは天井の位置が高く感じたから。
それもそのはず、ベッドから堕ちていた・・・いや落ちていたからだ。
夜中、クリスに落されたようだ、いつの間に寝相が悪くなった?
もうベッドから畳に直接布団にしようか悩む所だ。
結婚してから人が変わる輩がいるけど、クリスもそうなのかな、今更だけど。
今のうちにしっかりと教育しないとな、返り討ちにあうかもだけど。
こんな考えが出来るのも幸せな証拠か。
プライスレスってやつか。
そんなリア充生活を送りながら有給休暇に突入。
行き先は・・・ハワイ・・・ではなく、日本列島の旅だ。
海外に行く前に先ず日本列島でしょ!
全都道府県47を最低でも40クリアしないと。
現在、25都道府県に行ってる。
もちろん通過しただけなのはノーカウントだ。
今回の旅行は東北辺りと日本海側をメインに、飛行機とJR ・私鉄を使って移動するという適当なスケジュールにしている。
2人で考えて行き先を決めて行動するという8日間のアテもない旅、のんびり行くのが目的だ。
これから先、まだ時間はあるのだから。
「さあ、出発しようか。
先ずは・・・青森だ」
「瞬移があった時なら一瞬だったんだけどねぇ。
でもこの移動も楽しいね、最初の頃の新幹線の旅が懐かしい〜」
クリスは楽しそうにはしゃいでいる。
「最初は飛行機の乗り継ぎで行くけどな。
そこから電車乗り継いで福岡まで帰るぞ」
青森→秋田→岩手→山形→新潟→群馬→茨城の順で観光名所を廻った。
最後は東京のアキバへ。
何回か行ったあの店へ。
ランチタイムを少し外し、30分ほどくつろいでいると、あの四人組が現れた。
待ってはいたけど、まさか現れるとは思ってなかったんで
ちょっとびっくりしていたところ、彼女達が気づいて声を掛けてきた。
「お久しぶりです」
「ああ、久しぶりだね、みんな元気そうで良かった」
若い娘Bはじっと見つめている・・・
仲間になりたそうに・・・な訳ないか。
「あの、クリスさん、今日は何か落ち着いた服装ですね。
いつものメイド服じゃないし何があった・・・」
そのまま左手の薬指を見た。
ちょうど同じ瞬間に4人共に同じ物を見た。
「結婚・・・したんですか?」
「そう、1ヵ月程前にね」
「へぇ・・・相手は?」
クリスは横を指差した。
「「「「やっぱりそうなった!」」」」
声が揃っていたため、店の客の注目を浴びてしまった。
「「「「おめでとうございます」」」」
「あ、ありがとう」
廻りの目もあり、ちょっとばかり恥ずかしかった・・・のは俺だけだったようで、すでに5人で女子会トークが繰り広げられていた。
それから根掘り葉掘り事情聴取みたいに情報を取られ、終了したのは2時間経った後だった。
その間、写メ撮ったりアド交換したりして。
若さって・・・最強だなって思った。
彼女らと別れる寸前、面白いのを見つけたんでちょっと小細工を仕掛けておいた。
もう7日間経ったな、明日は帰らないと3日後仕事に復帰するのが辛いな。
「明日昼前の飛行機で帰ろうか、そっちの方が早いし」
「そうだね、帰ってのんびりしようよ。
また近くの温泉行こうね」
「そうだな、ユウヤ達も誘ってみるか」
新婚旅行が終わったのだった。