12 遭遇そして交流
「何のことでしょうか?」
思わず出来ているか判らないポーカーフェイスで否定してみた。
「知らないのかい?サポートアンドロイドは能力者同士見えるんだけど・・・」
・・・えっ?そうなのか?
「クリス、聴いてないんだけど?」
念話で抗議すると、言うの忘れてましたって顔を隠しながら
「そうでしたっけ?」
と、とぼけやがった。
見られてしまったからには仕方ない、口封じを・・・なんで出来るわけなく素直に認めた。
車の事故処理等あったので連絡先のみ交換して、後で電話するということで別れ帰路についた。
車内で今後の事を考えながら、どうしようかと。
「相手の出方次第だよなぁ、どう思う?」
「こちらの異能力の内容はあまり公表しない方が良いと思います、変な事にはならないとは思うんですが」
慎重に交流しろって事だろう。
「しかし、相手のサポートアンドロイドは見なかったな、見たかい?」
「確かに居ませんでしたね、もしかして常時発動型で家に待機させているのかも知れません、傍にいなければいけないという規則ではありませんし」
相手のコンタクトを待っていたら2日後の夜に電話が。
「もしもし川田ですけど」
「え~と喜多川です、先日の事故の時助けて頂きありがとうございました」
「いえいえ、元気そうでなによりです」
なんて他愛もない社交辞令で始まり、しばらく自己紹介等続いた。
相手の情報として
名前は喜多川祐樹、歳は25、熊本在中の社会人らしい。
それからやはり異能力の話に。
「川田さんはいつからです」
「今年の1月からなんで3か月目くらいかな」
「喜多川君は?」
「3年前からですね、レベルアップして今は3です」
お互いのスキル等詮索はタブーであると思ってたんで中々相手の異能力の中身を聴き出す事が出来ずどうしようかと悩んでると・・・
「いろいろ悩んだんですけど、助けてもらったお礼に俺の世界に招待をと思ってですね」
「世界?」
「ええ、俺が望んだのはネットゲームの中に入りたいって事だったんですよ、もちろん意識のみ中に入って現実のように見たり聴いたり触ったり戦ったり出来ます。
MMORPGなんで廻りのプレイヤーは普通にパソコンの前でキーボード叩いている人達ですけど」
ゲーマーとしては興味をそそるな、面白いこと願ったんだな。
「それはすごいね、面白そうだけどどうやって招待するの?」
「それはサポートアンドロイド傍にいるでしょ?ナンバーを教えてもらえればお互い通信出来るんで」
クリスそうなのかい?
「はい、情報交換は出来ますよ。
直接通信はその時の実験体の許可が必須ですが」
なるほど、勝手に通信出来ないのか、じゃあ通信を許可するからお願いするか。
「了解です、こちらのポートアンドロイドはNo107だよ」
「分かりました、ちょっと待っててください、こちらのNoは401ですから教えといて下さい」
「了解、クリス相手は401だって」
クリスって言葉が聴こえたらしく
「誰か他にいるんで?」
「いや、サポートアンドロイドに愛称付けてるんだけど?」
「マジっすか、でもなんでクリスなんで?」
「アレックスから取ったんだけど、解る?」
20秒ほど間があり
「男だったらバーニィーだった?」
思わずやるねぇと返してしまった、若いのによく知ってるな、いい友人になりそうだ。
そんなやり取りをしているうちにクリスから情報をもらったと言われた。
「喜多川君、情報もらったんだけどどうすればいいのかな?」
「やり方はそちらのサポートアンドロイドが知ってるんでレクチャーしてもらって下さい。
注意事項としては入り込めるのは1日1回だけ、時間は一応制限掛けて無いけど程々に。
廻りは普通のプレイヤーなんでバレないように気をつけて。
いろんな意味で楽しめると思うよ〜」
色々注意事項を聴いて御礼を言い電話を切った。
今度、熊本に出張に行った時に何か奢ろう。
よし、ちょっと入ってみようかな、寝るまでまだ時間あるし。