119 異能力3人目、その後
あれから2日が経ち、そろそろ吉井さんの様子を見に行くことにした。
一応、フォローしてくれみたいな事を言われてるんで。
今、放置して最悪没収とかなっちゃうと寝覚め悪いし。
「でもな~回復系オンリーだからそんなに使う事無さそうだし、どうやって稼ぐのかな?
まさか病院とか行ってないだろうな」
「まさかそこまで・・・」
昼食時、クリスに斥候を頼んでたら・・・速攻お呼ばれされた。
みんなの視線が痛いんだけど・・・肩身が狭い思いで席に。
1対4でテーブルに付いて、しゃべることがねぇ・・・
シークレットな話過ぎて廻りが邪魔だ。
「えーっと・・・みんな・・・す・好きな奴とかいないのか?
会社にも独身いっぱいいるけど?」
廻りからどよめきが聞こえてような気がしたので見まわしてみると、こちらを見ている奴、聞き耳立てている奴多々。
お前らそんなに気になるのかよ。
聴きたいことが全然違うんだが、仕方ないからこちらにシフトしながら聴いてみることにした。
「吉井さんはあれから進展あったかい?」
「そうですね~中々出会わないんですよね~
もう少し出歩かないと駄目でしょうか?」
「そんなことないと思うよ、近場にもいい案件が転がってるから、よく観察しないと見逃すよ?」
「そうですよね・・・」
「ちなみに、今どのくらい出会った?」
さっきから廻りがざわついているのがうざいな。
「あれから3人(件)ですね、なんとか終わらせられました」
ざわつきが大きくなった。
なんなんだ、うるさくて聴こえづらいな。
「じゃあもうちょっと上手くやればレベルアップ出来るな、頑張れよ」
「はい、ありがとうございます」
あとの二人にも聴いとくか、時間が許す限り儚い夢を見させてやろう、廻りの野郎どもに。
だって、この三人、可愛い方だし。
「結城さんと高田・・・さんはあれから進捗ある?」
「私は慣れて来ました、格好にも少しづつですが抵抗がなくなって来ていますのでアップも時間掛からないかと」
結城さん、やはりあの格好を貫きたいんだろうか。大人しめな服じゃテンション上がらないんだろうな。
「じゃあ、仮面少女はそのまま?」
「!!!その通り名はやめて・・・!」
「じゃあ、マスクガール?」
「そのままじゃないですか!」
ネーミングセンス悪いんだよな、俺。
「じゃあ、何て呼んでほしいの?」
「えっと・・・考えときます・・・」
それから・・・
「えーと高田さん・・・いや、姫は・・・相変わらずそっちですかね?」
「はい、休みの日とか入り込んでます、二人で荒稼ぎ中」
将聖君と一緒なら幸せか。
「人助けとかはしてる?なかなか評価点になり辛いと思うけど」
「いえいえ、趣味に生きられるならそんなこと何ともないです、楽しいです」
この娘はそっちに行っちゃったか、おまけに憧れのキャラが3Dで出て来たら尚更か。
聴きたい人のその後も聴けて、残り二人の進捗も情報を仕入れることが出来たんで満足し仕事に戻ろうとした時、工場入口側が騒がしくなってきた。
しばらく様子を見てると、どうも1人程倒れた?か気分が悪くなったようだ。
新しく入ったバイトかパートの人、コンベヤの流れに酔って倒れた拍子に怪我したようだ。
右腕から血が流れていて早く病院にって思うけど、どうも1人ではまだ歩けそうに無いんでソファに寝かせて様子を見るらしい。
運ばれたのは女性みたい。
救急呼んだ方が早い気がするけど、緊急性が無かったら誰かが病院に送るだろう。
そうこうしている内に吉井さんが近づいて行った。
いつの間にかNo790君もいて(不可視状態)二人で彼女に近づき、何か言いながら患部であろう場所に手をかざしている。
一秒程だったか、2か所程同じことを繰り返して離れた。
こちらに戻ってくるなり、
「多分10分程で回復しますよ、程度のランクは低かったですから直ぐです。
腕の傷はすでに塞がっていると思います」
あれだけで治せるのか?特化型がすごいな。
感心しながら成り行きを見ていると、本当に10分程で回復し歩けるようになっており、おまけに腕の傷も怪我した場所が判らなくなるくらいに回復していた。
当人はもちろん、廻りもびっくりしていたけど、治した当人は知らん顔で野次馬と一緒に遠巻きで見つめている。
この娘は化けるかも?そう思いながらその場を離れた。