116 異能力1人目、その後
能力を行使した次の日、高田さんが昼休憩時に興奮気味に話していた。
いつもの4人組だ。
後でクリスに聴こうと思っていたら、席にお呼ばれされた。
テーブルに若い4人の娘との相席でちょっと恥ずかしいんだけどな。
そんなことは関係ないとばかりに高田さんが話し始めた。
「将聖君と一緒にゲームを始めたんですよ。
アイランド・オンラインってゲームですが知ってますか?
私は武闘家で将聖君はもちろん侍です」
「ああ、もちろん知ってるよ、ゲームやってるから」
「え~プレイしてるんですか?職業は何を?」
「私が侍で、クリスがくノ一だよ」
「うわっ!そのままのイメージ通り!」
・・・そんなイメージなのか、俺たちは。
「問題はそこじゃなくて!中に入り込んでゲームやったんですよ、そしたら!
リアルワールドが広がってまして、最高でした!」
あれを最初に見たら普通のゲームやれないよな、解るわ。
「無茶苦茶面白いだろ!?あれをプレイしたら普通のコントローラーじゃやってられないよな!」
「そうなんですよ、おかげで2日丸々遊んじゃいました。
将聖君も一緒だし最高!です」
いや、普通に外出て二人で歩こうよ、折角いい男が目の前にいるんだし。
それとなく進言すると・・・
「だってみんなに見せびらかせられないじゃないですか」
えっ???何言ってんだ?
その疑問はクリスの口から発せられた。
「私たち、可視化出来るじゃない、私の事見えてるでしょ?
だから将聖君に命じれば普通にカップルみたいに歩けるよ?」
高田さんがクリスの方を向いた。
向いている首の動きが〈ギギギギギッ〉と錆びた扉を開けるようなビジュアルにマッチしててちょっと笑ってしまった。
「それを早く言ってよ~~」
「でも、私の正体を知ってて、何故他の妖精が可視化出来ないと思ったの?」
「あれ?それもそうだね?何故だろ?
将聖君、なんでだろ?」
問いを受けた当人は妖精の小人姿で主人の肩に乗っている。
小さいけど顔が”ヤッチマッタ”ってなってる。
「姫が楽しそうにゲームをプレイしている姿を見て言い出せずにおりました。
次にの休みの前にでも話そうかと思ってたのですが」
ちょっと突っ込みどころ満載なんだけど!
「ちょっといいかな?今、姫と呼んだよね?
それは高田さんがそう呼べと?」
「はい、姫がそう仰るもので」
高田さんを見ると、目を逸らしやがった。
でも、今更か。
「ドンマイ!」と言いながらサムズアップしといた。
「何がドンマイなんですか!私は本気ですよ!」
一同シーンとなってしまった。
だから、ドンマイなんだけど。
他の女性陣からは暖かい目で見られていた。
ゲームに話で盛り上がっていると、残り二人の女性陣が興味津々で割り込んできた。
「そんなにリアルなの?」
「うん、デジタル処理とは思えないくらい綺麗。
4Kテレビ?何それって感じ、将聖君と一緒にプレイも出来て幸せだよ」
みんな羨ましそうにしている。
「それじゃレベルアップした時に、招待制をボーナス特典としてもらえばいいんじゃないかな?
それなら一緒にプレイ出来るし、MMOなら農園系の非戦闘にも入り込めるでしょ。
他に欲しいものがあるなら無理にとは言わないけど」
「ん〜、特に無いなぁ。
みんなでプレイして見たいし、それもいいかも」
やった〜と言いながらはしゃいでる、テンション高いな女性って。
クリスもはしゃいでるけど関係ないだろ!
ふと廻りを見ると俺ら浮いてる、というか俺が浮いてる。
今まで若い女娘達とこんなに話しているところを見せた事無いから珍しいのだろうか?
自分でもレアな状態なんだけどな。
お昼休憩も終わり、仕事に戻ると野郎共が群がって来た。
課長、若い娘にモテモテですねぇ、俺にも紹介して下さいよ。
「紹介するのはいいけど、みんな彼氏いるぞ?」
嘘はついていないはず。
「挨拶程度の紹介になっちゃうけどいいのか?
というか、お前たちの方が接点あるでしょ、もうちょっと早く声掛けおけば良かったのにな。
勿体無なかったな」
「「「えええっ〜」」」
崩れ落ちていった・・・・