113 異能力 2人目
次の日、昼食時にいたのは結城さんと吉井さんだった。
高田さんは今日から連休らしい。
明後日は何が起こっているかちょっと怖い。
今日の退社時の相談は結城さんらしいから、また時間を合わせて話す予定だ。
クリスの正体が解っても今まで通りに接してくれる彼女達に感謝しつつ時を待った。
昨日と同じ店に着いて席に座った瞬間、二人が興奮したように話し出した。
結城さん曰く、妖精君に人サイズになってもらったら、すごい好みの男の子が現れてテンション上がった。
吉井さん曰く、同じく妖精君が人間サイズになったらすごいイケメンが現れた。
二人共に大満足らしい、やっぱり見た目だよな・・・
そう思いながらしばらく見学していた。
興奮が冷めたころ、結城さんの話が始まった。
「あの、私昔から魔法少女系が好きで・・・その・・・そっち系の異能力をもらいまして・・・」
なんか歯切れが悪いな。
「それで?もしかして異能力を行使する時に服装も変わるとか?」
「・・・・・・・そうです。
最初は可愛くていいなと思ったし、変身するのもいいなと思ったんですが・・・
あとからやりすぎたなと。
実際に外へ出て客観的に自分を見たら、なんか痛い人に見えちゃって・・・」
「そうか、でも見た目は変えられるでしょ?顔とかも」
「えっそうなんですか?」
ちょっとフリーズ状態になった。
「えっと、結城さんの妖精君、不可視で人サイズで出てきてくれない?」
ワンテンポ置いてNo111君が出てきた。
「No111君、変身するときに外見も変えられると思うけど?
それどころか不可視状態も可能と思うけど?」
「はい、可能です、しかし特に気にしている様子では無さそうだったんでそのままにしておりました」
え~・・・という顔をしている結城さん。
「それを先に教えてよ~~」
恥ずかしがっているそぶりもいいなぁ、この娘。
クリスの目線が痛い・・・見ないようにしとこう。
「じゃあ、変身するときに見た目も変えてしまえばいい。
それと、No111君も一緒に変身してペアで戦ったら?出来るだろ?」
「えっ?出来るの?」
No111君は申し訳なさそうに首肯し
「結城さんの邪魔をするわけにもいかないと思い進言しませんでした。
ただ、何か危ない目に遭いそうなときは割って入るつもりでいましたが」
「早く言ってよ~~、それじゃ一緒に行動してくれる?」
「はいもちろんです、監視役兼護衛ですから」
意味なく見つめ合っている、爆発しろ!リア充め!
表情から察したクリスが、まあまあとなだめて来る。
「それで?どんな能力なのかな?」
「えっ?・・・・」
「いや、魔法処女・・・じゃなくて魔法症状・・・・でもなくて魔法少女みたいな異能力なんでしょ?
どんな感じなのかなと」
「「「・・・・・・・」」」
みんなドン引きしている、冗談がきつかったか?
「川さん、それは・・・フォロー出来ないよ?今回ばかりは・・・最低・・・」
「・・・・・すいませんでした・・・」
No11君も目をそらして黙っている・・・裏切り者め。
「すいません、自分で言っといてあれなんですが、ウィッチでお願いします」
「ウィッチね、魔法使いか、それじゃその認識で」
これで一応落ち着いたかな、20歳前半で少女は無理があったからな、当人も相当抵抗があったんだろうな。
少女か・・・十分厨二病だな、そんな娘に見えなかった。
「それでですね、異能力は・・・まあ、ゲームに出てくる魔法使い・僧侶・賢者が使える能力全般です。
もちろん、昼夜逆転とかは不可能ですけど水・土・火・風・光系が使えます」
「誓約と制約はなんか設定してる?」
「はい、変身は1日3回、その都度魔法行使は5回まで。
それである程度の強い魔法が使えます。
今まで3回ほどしか実行してませんけど」
へえ3回か、少ないのか多いのか判らんが、そのときに何かに写った自分の姿を見たんだろうな、残念。
でも・・・見てみたいなぁ、その姿。
「ねぇ、変身後のすが・・・」
「嫌です!見せれません!」
「そ・そうですか・・・3回変身したときは何をしたの?」
「え~とですね、犬を2匹・猫を1匹瀕死の状態から助けました、野良ですけどそれから家の近くでたむろするようになってます、情が移ると大変ですね動物は」
「そうか、それを続けなよ。
もしレベルアップしたら報告してくれ、報酬を一緒に考えよう」
「はい、判りました。そのときはよろしくお願いします」
この時点で1時間ほど掛かったんで吉井さんの相談は明日となった。