112 異能力 1人目
仕事終わりにみんなで喫茶店へ
長く話しするつもりは無かったんで1時間で切り上げる事に。
みんな明日も仕事だと思うし。
「さて、誰から話を?」
「じゃあ私から」
高田さんだった。
「今回聴いてもらおうって言ったのは私が発端ですから。
それに婦女子なのばれちゃったし」
遠い目になってる、なんか痛々しいな。
「私ですね、アニメとかゲームのキャラクター男子が好みなんですよ。
現実の男性はちょっと・・・で、今回妖精君の話を聴いてどうしようか悩んじゃって」
「アニメとかゲームが好きならその世界に入れるような異能力でいいんじゃないかい?」
「!!、そうなんです!
ゲーム・アニメ・漫画の中のキャラクターになれる異能力をもらいました」
うれしそうに話している、普通にこれが出来れば彼氏ぐらい・・・いや苦手なんだったか。
「それで誓約と制約はかけたのかい?」
「はい、もちろんです。
でも、大したことじゃないですよ?購入した漫画・アニメ・ゲームに限るという事と1日の最大ダイブを3回までとしました」
「なぜ購入にしたの?」
「中に入ってその人のストーリーをトレースする訳ですが、納得いかない場合はストーリーを変えちゃうからです。
私が変えちゃった場合、それが上書きされてその後の展開が変わっちゃいますんで世に出せなくなります。
だから個人所有となり、もし誰かの手に流れると・・・全部白紙になるか読み込みエラーとなります。
もちろん、オンラインのゲームは関係ありませんが。
その後、書き換えられた漫画とかアニメを個人的に見るのが楽しいんです」
なるほどよく考えてるな、うらやましい。
残りの二人はちょっと引いてるが。
「たとえばその世界に入って、そのキャラクターが死んじゃったらどうなるの?」
「そのときはそこでゲームオーバーになり、ダイブ終了となり現実世界に戻されます」
よく考えてるな、セーフティも万全だ。
「それで、妖精君の役目はなんかあるのかい?」
「いえ?特には無いですよ?」
それは勿体無い、俺の考えが正しければ・・・
「妖精君そこにいるんだろ?ちょっと人間サイズで出てきてくれないか?
不可視状態で」
やはり後ろに隠れていたらしく、人サイズで具現化してきた。
「初めまして、コードネームNo615のアンドロイドです、以後お見知りおきを」
「「「!!・・・・・・・・・」」」
「将聖君・・・・」
「「「「「えっ?」」」」
「将聖君ですよ!知らないんですか?」
「「「・・・・・・・」」」
「あの、もしかして双剣剣舞の?」
結城さんが知っていたようで加わってきた。
「そう!佐々木将聖君!似てるでしょ!?」
みんなドン引きだ。
唯一知っている結城さんもどうしていいのか判らずに、
「いや、CMとかネットの広告とかでちょと見ただけだからね?中身はよく知らないから!」
逃げる気満々だった・・・
「それで、その将聖君に彼が似ていると?」
「ええ、そっくりですこんな近くにいるなんて最高〜!」
ハイテンションで一人だけ盛り上がっている彼女を、周りの目があるからと落ち着かせた。
その後、恥ずかしくなったのか顔が紅くなっていた。
気分が平常運転になったところで、
「それじゃ、一緒にプレイすればいいんじゃないか?
アニメと漫画は難しいかもしれないけど、MMO系のゲームだったらアバターは自由に書き換え出来るだろ?」
No615の妖精君は首肯した。
「え〜〜何で言ってくれなかったの?」
「すいません、なんか男性は苦手みたいだったものですから、人間サイズになれるって事中々言い出せずにいました。
警戒とかリタイヤされちゃうと・・・その・・・」
「ごめんなさい、余計な気を利かせちゃって。
これからは気にしないで大きくなってもらっても構わないわよ、それから一緒にゲーム等プレイしてくれる?」
「もちろんです、喜んで同行致します」
紳士的な作法で返事している、前回はヨーロッパ辺りにいたのだろうか。
「没収されない為には、異能力を使って悪いことしない事、例えばゲームで不正にレアアイテムをもらったり、卑怯な手を使って他のプレイヤーから騙し取ったりしなければ良いはず。
ポイント稼ぐなら初心者プレイヤーのレベリング補助をしたりすればいいんじゃないかな?
その他、方法はいっぱいありそうだけど」
「はい、頑張ります!
それじゃ帰ってから早速ゲーム始めようか」
No615君は嬉しそうに首肯した。
「それじゃ今日のところは1人目の相談って事で、明日以降時間が合えば結城・吉井さんの方も聴くよ。
ああ、それから2人とも妖精君の人型バージョンを見ときなよ、しっかりと」
そう言って解散となった。