111 能力と説明
「あ~ゴメン、今の嘘だから。
冗談で言っていると思ってその嘘に乗っかったつもりだったんだけど。
何か本気にしてるっぽいんで・・・申し訳ない」
まずい雰囲気だったんで速攻で謝った。
高田さんはポカンとしている。
しばらくして意味が分かったのか疲れたように机に顔を平伏した。
落ち着いた後、顔を上げて
「本当にいいんですか?」
少し目が赤くなってるのは無視することにする。
「ああ、ゴメン。
そんなことしてもらうつもりはないよ。
もしその気があったら、あの日に襲ってる」
みんな黙り込んでしまった。
「それで本題は?」
「あの、大体の流れは聴いたんですけど、これからどうすれば良いのか良く判らなくて」
ちょっと戸惑っているようだ。
「妖精君居たろ?そっちに聴いてないのかい?
というか今居ないのか?」
「居ますよ、不可視状態で隠れてますが」
三人共にそうしているようで頷いている。
「という事は常時発動型じゃなく、認証発動型にしてるのかい?」
「「「はい、そうです」」」
「それじゃ私の異能力は知ってるのかい?」
「「「はい」」」
なぜ知っているのだろうか?
妖精君たちが勝手に情報を流す訳ないんだけどなぁ。
そう考えていると、横に座っているクリスがなんかモジモジし始めた。
???何やってるん・・・
ああ、こいつか・・・
「クリス君、どこまで喋ったのかな?
前回の件で少しはバラしているとは思うけど、洗いざらい話してもらおうかな?」
「え〜っとね、出会ってから今までの馴れ初めとか・・・」
「ぬおおおおっしゅ!
ほう?そんな事言っちゃたか?良い度胸してるなぁ(怒)
あとで説教な」
ハッと気づいて三人の方を見ると・・・微笑ましい笑顔を浮かべて優しく見られていた。
「そんな目で見ないでくれませんか?
耐えられません・・・」
「そういうわけで私は今、レベル9です。
一応というか私が多分最高レベルと思います。
能力は先程言った通り、チートと厨二病患ったようなのをもらって自由に生きてる。
召喚も出来るから誰か会いたい人がいれば呼び出せます」
みんな黙っている。
目の前に最高位の人間がいる、それだけですごいのにそれを2年以内に達成したんだから、凄いの一言なのだろう。
駆け出しのレベル1から見ると尚更か。
「因みに横にいるのが私の専属妖精だ」
「改めましてよろしくお願いします」
なんか清楚に振る舞うクリスを見て・・・ずっとこういうキャラだったらなと思った。
「聴いた時はびっくりしましたが、やっぱり本当なんだね」
「私は川さんと添い遂げるんで、よろしくね〜」
みんな微妙な顔をしていた。
普通そうだろうな、だって・・・父親くらいの年齢と言っても通じるし。
「話が逸れちゃったんで本題に移るけど、私から言えることは妖精君たちに言われてことそのままです。
人の役に立つ事、良い事をしたらポイント増えて、貯まればレベルアップ。
悪いこと、例えば不正を働いたり、人を傷つけたりすると・・・マイナス査定になってある一定に達すると没収となります」
「「「はい」」」
「その場合には異能力の記憶は全て無くしますので気をつけて社会に貢献を・・・なんて言われたと思うけど、気にしなくていいからな」
「「「えええっ」」」
「だって考えて見なよ、向こう30年レベル1の実験体もいるんだぞ?
時々、本当に時々人の役に立てれば後は自分の自由にしても良いんだ。
そういう生き方もありってことだ。
重く考えずにとりあえず1年間楽しめ、その後は考えて行動しなさい。
そして面倒くさくなったら異能力返上すれば良い」
俺から言えることはこの程度だ。
この娘達は、力を貰ってどうすればいいか判んないのだろうと思ってこんな話したと思うんだけど、間違ってたかな?
「それから、レベルアップを目指すなら手伝うからその時は声を掛けて貰えると助かる」
時間が押しているんでその後の話は仕事が終わってからとなった。