109 レベル9報酬
広島から帰り、3日後の事。
ついに通達が廻って来た。
レベル9報酬の妖精任意着任権である。
「クリス、今日あの三人に会うかい?」
「うん、休憩時にご飯一緒に食べるけど?」
そうかいるか・・・それじゃ・・・
「あの三人というか高田さんに聴いて欲しいことがあるんだけど」
訝しげに見られている・・・
「何をするつもり?もしかして・・・」
「何をするって・・・告白を・・・」
その瞬間空気が凍った感じがした。
クリスの後ろに般若が見える・・・気がする・・・
「いや・・・ごめんなさい!
調子こいてすんませんでした!」
呆れたようにジト目で見られている。
嫌な汗が流れている感覚があり地雷踏んだ自覚もある。
こういう冗談は極力やめておこうと誓った。
「で?!何を話して欲しいの!?」
「え~と、もし願いが叶ったら何が欲しいかってこと。
もちろん、叶ったら~の戯言延長で」
「なにすんの?そんなこと聴いて」
「あの三人の中で二人が異能力もらって一人は蚊帳の外だろ?
怖い目見た者同士で仲良くやって欲しいだけだよ」
「そのためにあのお願いをしたの?」
「ああ、頼めるかい?」
「うん、判った、それとなく話しとくね」
クリスは嬉しそうに頷いていた。
お昼の休憩時、早速クリスが3人を誘ってたとえ話をしている。
ターゲットは高田さんだ、残りの二人も協力してくれているようで話題を盛り上げている。
しばらく様子を見て接触してみよう。
休憩が終わり午後の業務へ
相変わらずクリスは人気があるな~、事務処理に業務が移った後、施設事務所にひっきりなしに野郎どもが来ている。
用事があるから来ているのだろうが、その為に仕事が増えていくのはきつい。
なにしろクリスと話すために仕事持ってくるんだから。
そのうち施設課員の心のケアをしないとな、クリスを餌にはしないけど。
ある程度人の流れが収まった後、先ほどの話の結果を聴いてみた。
「高田さんどうだった?」
「ん~とね、いきなりだったんで最初は???だったけど、結城さんと吉井さんがリアルに欲しい能力を話してくれたんで、イメージが沸いて願いは固まって少し話してくれたよ」
「具現化出来そうな異能力かい?」
「大丈夫と思う」
「それじゃ今日の夜にでも監視員を派遣してもらえるかな?高田さんの元に」
「ん、判った連絡しとくね」
高田さん、どんなのを選ぶんかな?
「なあ、クリス高田さん、どんな異能・・・」
「内緒!!、もらった後教えてもらってよ。
教えてくれるならだけどね」
そりゃそうか、仕方ないよな。
その日は悶々と過ごすことになってしまった。
その日の夜、ユウヤ達に仲間がまた増えるかもしれないとの事を話した。
レベル9報酬を任意の人間に与えることで得た特権。
先の2名とはユウヤは面識があるけど一方通行だし、サクラは会ったこと無い娘達だ。
「それでいいの?もし断ったら?」
「その時は仕方ない、無駄になるだけだけれど、多分実験体になるよ。
あんな目に逢った後だし、夢もあるだろうしな、二度とあんな目に逢わないような異能力をもらう可能性もあるかな」
それに、今更もう遅いんだよな、今頃コンタクト取ってると思うし。
「俺たちは前に進むしかないし、どうせ次のレベルアップの時はもう最後の願いするだけだしな。
その為の手伝いをするだけだ、な?サクラ」
サクラは成り行き任せにしているっぽい。
「紹介する機会があったら会わせるから待っててくれ。
女性3名だからサクラも話しやすいだろ?」
「う・うん、楽しみ」
サクラはもう少し社会に馴染んだ方がいいからちょうどいいと思う。
明日、どういう結果になってるか楽しみだな。
クリスは大丈夫という見解を示しているし、休憩時間にでも何か言ってくるだろ。
「そういう訳で、明日動きがあったらまたミーティングするからその時はよろしく。
それでは解散・おやすみ」
「「「おやすみなさい」」」