107 過去との向き合い
「クリス言ったよな?、イケメン=カッコいい=素敵、をすべてだと勘違いして尻尾振ったと。
イケメンだったりすると爽やかなイメージがあるよな?
イケメンのタレントは大体そういう行動するから、そういう固定概念になるんだよ」
「じゃあ、川さんも?」
「ああ、俺もそうだし。男女一緒だよ。
若くて人生経験が乏しい程、見た目重視になる。
まあ、俺の場合は見た目のせいで最初から相手にされてなかったけどな」
「そう、最初から・・・ね」
ちょっと沈みがちになってるな。
「そうだな、クリスに50年前に会ってたら俺振られる以前に相手されてないよな」
「・・・・・そ、そうだと・・・思う・・・」
ちょっと意地悪しすぎたかな?
「でも今はどうだ?あれからいろんなこと体験して経験積んだろ?
もちろん、見た目が良くて内面もイケメンな奴はいると思うよ、その逆もいる。
あいつに告白して、振られたから良かったんじゃないか?深い関係にならなくて良かったろ?
そのおかげでクリスの初めてを俺が貰えたから一番得したのは・・・俺か」
「その通りなんだけど・・・私あいつに振られたわけじゃないからね?
保留・・・そう保留したんだから!そこのところは譲れないわよ!」
心の最後の砦かな、あんなのに一時的な感情とはいえ告ったのがバレたんだからな。
「そうだな、保留だな。
よく考えなおしたな、さすがクリスだよ」
「そ・そう?そうよね、判ってもらえればいいんだけど・・・」
い・痛々しいな、顔に出てますよクリスさん・・・見ていないことにしときますが・・・
「それじゃ・・・ようこそ、大人の世界へ。
君も立派な淑女だよ、ガールからレディ・娘から女になったってところかな?精神的に」
「川さんはもう立派な大人なの?」
ふふふ、甘いなクリス君
「男は仕事以外は永遠にガキだよ?精神的にな。
だから馬鹿が多いだろ?」
クリスは先ほどの奴を思い出しながら笑っていた。
「フフッ、確かにね」
しばらく笑いあっていた。
しばらく笑いあった後、先ほどの奴への態度を聴いてみた。
どう考えても、未練があって俺と両天秤に掛けて・・・いや元カレの方にフラフラっと行きそうなフラグが立ってたんで。
「あのね、あいつを認識した瞬間、怒りが込み上げてたんだけど、感情的になると逃げられる可能性があったんで、我慢して今も気がある素振りをしてたんだよ。
ああいえば落としに来ると思ったし、その間にどんな仕返しをしてやろうかと考えたかったんで」
その間、こっちは気が気じゃなかったんだけどな。
ここにきてまた持っていかれるのかと。
そう言うと
「そこは信じといてよ、でもまあ黙って成り行きを見守っていたということは、信用してくれていたって事と解釈しとくよ」
「それじゃもう留飲は下がったということでいいのかい?」
「うん、もう忘れることにする、前を向いて生きるよ」
「そうか・・・ありがとうな、そばに居てくれて」
「何言ってんの!まだスタート位置にも立ってないんだよ?
とにかく望みを叶えるまでは未来は白紙なんだからね?
ドレス着て、新婚旅行に行って子供産んで子育てして、時々喧嘩しながら一緒に一生懸命生きるの。
それまでは元気でいてね」
「ああ、それまで元気に働いてお金を稼いどかないとな。
50過ぎての子育ては体力と経済力が両立しとかないとダメだしな」
こんなところで決意表明となったが、言葉にするとなんかやる気が出るものだなと思った。
お互いに過去をぶっちゃけまくり、前に進むだけと考えると、今までの不幸が何でもなかったかのように感じている自分がいる。
やっぱ男って単純なんだろうか?そう自分に言い聞かせて苦笑していると・・・
「あっ、でも浮気とかしたら・・・判ってるよね?
噛み千切るからその覚悟があるならどうぞ。
とりあえず今日はその練習もするから覚悟しといてね?www」
「いや、だから怖いって!」
思わず股間を押さえて訴えた。