106 ライバル?出現
クリス、意味が解らんぞ?
前にNo103と何があったか知らないけど、そりゃないだろ?
添い遂げるんじゃなかったのかよ?
「クリス、どうしたんだ?おかしいぞ?」
「川さん、ごめん」
そう言いながら黙ってしまった。
多分気持ちが揺れているのだろうか。
そのやり取りを聴き見しながら、鼻で笑うNo103。
「こんな奴より俺の方がいいに決まってるよな?No107。
また昔みたいに遊ぼうぜ、いやもっと親密になろうぜ」
その時、クリスが無表情でNo103の肩に手を置いた。
No103はそのまま抱擁しようと抱き着こうとした瞬間。
クリスに肘打ちを食らった・・・・
「「えっ」」
No103と俺は現状が理解出来ずにフリーズしていると、クリスからある一言が発せられた。
「あんた、あの時私に何言ったか覚えてないの?」
冷静に声のトーンを低く喋り掛ける姿を見て黙って見ているしかなかった。
「えっ?何言ったっけ」
「忘れているなら教えてあげる。
“今、五人くらい彼女いるんだよな、愛人の席なら空いてるよ、それで十分だろ?楽しませてやるよ“
って言ったんだけど覚えてる?」
「そ・そうだっけ?そんな事言った覚えないんだけど、本当に俺が言った?
君が一番だよって言わなかった?」
もうガクブルである、何しろクリスの後ろに何か阿修羅みたいなものが具現化しているから。
ついでに言うと俺も動けなかった、瞬殺されそうな雰囲気だったんで。
「へぇ、そうなんだ、そんな事言ったかな?」
「そうだよ!俺が女性にそんな失礼な事言う訳が・・・」
「じゃあ、2番目は誰?」
「・・・・・」
「2番目は?」
「・・・・・」
「2番!」
「・・・・・あの時はすいませんでした・・・」
轟沈だった、堕ちたイケメンって無惨だなと思った。
それからクリスはまだ怒りが収まっていないようで、1時間ほど説教をしている。
怒りが溜まっていたんだろう、半世紀分の。
そろそろこちらにも迷惑が掛かるから割って入ることにした。
「なあクリス、そろそろいいんじゃないか?
毒は吐いただろ?そんなカスに時間を費やしても時間の無駄じゃないか?」
No103はすでに目が死んでいる。
もう女性に対して酷いこと出来ないだろ、この状態じゃ。
「本当は後1時間説教したいところだけど、仕方ないわね、川さんの顔を立ててこのくらいで許してあげる。
ただ、あんたに恨みを持つ娘達はまだいるから、今後悪いことしようとすると・・・解ってるよね?
「解っております、反省して仲間の為に今後は行動します」
そう言いながら敬礼して出て行こうとしたところ
「ちょっと待って」
No103はビクつき起立の姿勢で背筋を伸ばし恐る恐る振り向いた。
「なんでしょうか?まだ何か・・・」
「私の好きな人を紹介しようと思ってね。
こちら川さん、あなたよりも男気あるし護ってくれる人。
あなたとは雲泥の差があるんだよね、そう言うことだから、それじゃ気をつけてね〜」
そう言われて放心状態で出て行った。
トドメを刺すとは・・・容赦無いな。
庁舎を出てから
「今日の依頼終わったね、どこかで食事しながら休憩しようよ」
いつものクリスに戻っていた。
「そうだな、街中に移動して店に入るか」
そう言いながらタクシーで移動した。
昼食を摂りながら、さっきの話題を振っていいものだろうかと悩んでいると
「さっきの男ね、イケメンだったでしょ?
モテてたんだよね、私もその流れに乗っかっちゃってさ、イケメン=カッコいい=素敵と勘違いして中身も見ずにしっぽ振っちゃって・・・情けないよね」
なんか自虐入っているな。
「そうか?俺は普通の反応だと思うぞ?
お互い様だと思うけどな、人を最初に判断する時は99%見た目だろ?」
「えっ?そう言っちゃうの?」
「じゃあ聴くけど、初対面の人間をどうやって判断するんだ?
いい人そう・優しい・頭いい・金持ち・次男・独身&既婚・紳士等々見た目じゃ判断出来ないものばっかりだ。
じゃあ、どう判断するか?それは・・・イメージだろ?」
「・・・・・・・・」
まだ認めないか・・・・
「認めたくないよな?若さゆえの過ちとやらは」
まず自分に向き合ってもらおうか。