102 新たなる同士
「結城さん、俺が助けた時なんて言ったか覚えているかい?」
「たしか・・・”本当に護ってくれるいい男を見つけなよ?”だったかと・・・」
「俺が君を本当に護ってやれる男だと思うかい?」
「・・・はい、思いますけど・・・」
確かに一度護ったけど・・・
「いや、一時的じゃなくて、君達はこれから先50年くらいあるんだよ?
俺なんてもう10年もすれば老人の仲間入りになって護ってやれない。
本当に自分を好きになってくれる男を探すべきだよ、いざという時に心が逃げない奴を」
「でもそんな人いるかどうか・・・」
「まだ若いんだから、ゆっくり探せばいい。
ちゃんと中身を見て納得いく男をさ、その為の相談には乗るから何時でも来なさい。
それでもお礼がしたいなら美味しく頂くけど?据え膳食わぬは男の恥って言うだろ?
さあ、どうする?」
「・・・いえ、私達の考えが浅はかでした。
関係を持っておけばまた助けてくれると安易に考えてました、反省します」
「判ってくれればいいよ、それに君達には心強いパートナーがいるだろ?」
後ろに控えている妖精を見る。
「はい、そうですね。
幸せになる為に異能力を貰ったんでした」
「解っていると思うけど、悪いことに使っちゃダメだよ?
」
「はい、理解してます」
「それからそこの二人と話させて貰ってもいいかな?」
「はい、構わないですけど、何かあるんですか?」
心配な顔で問いかけてくる。
「いや、個人的に話たいと思ってさ、三人で話たいんだけどいいかな?」
二人の妖精に問いかける。
二人は顔を見合わせて了承した。
「じゃあ、ちょっと借りるね」
別室に移動した。
「それでは、初めまして。
俺のことどこまで知っているんだい?」
「名前とレベルまでですね、能力は知りませんが」
「そうか・・・
それではあの二人の事どう思う?」
「「どう思うとは?」」
「好きか嫌いかの意味なんだけど、どうかな?」
「「好きです」」
正直だな。
「そうか、それではもう一つの質問なんだけど、人間になりたいのかい?」
二人ともびっくりしているが、すぐにポーカーフェイスに戻った。
「「・・・・・」」
本来、禁則事項なのだろうか、黙っている。
仕方ないので、
「なりたいと思っているなら俺の目を見といてくれ、そんな事望んでないのなら逸らしてくれ。
それと、実験体である二人には内緒だから、正直に反応してもらえると助かる」
二人共にジッと目を逸らさず見ている。
そうか、君達もなりたいのか。
「そうかそうか、なれるといいな」
ちょっと微笑みながら喋りかけた。
二人はこの人間がここまで知っているなら、隠してもしょうがないという雰囲気でぶっちゃけて来た。
「可能ならなりたいです、みんなで方法を探っているくらいですから」
もう一人の彼も同じ思いのようで頷いている。
「近い将来なれるんじゃないかな?
俺の予感は高確率で当たるんだよ、感じるんだ。
まあ、騙されたと思って待ってればいいと思う、それまでは青春しときなよ。
あの二人から切られないようになるくらいにね」
二人共に訝しげに生返事で答えている。
そりゃそうだ、そう言い切れる根拠が無いんだから。
「聴きたいことは以上だ、次に話出来る時にでも君達の名前等聴かせてくれ。
それまであの二人を護ってやってくれよな。
それから、クリスとは自由に情報交換してもらっても構わないから、何かあったら連絡をしてくれよな」
そう言って別れた。
別室から戻ると三人がおしゃべりしていた。
「戻ったよ」
「あっ、お帰りなさい」
クリスを見て頷き合った後
「え〜と、そういう事だから」
もう全て情報が伝わっていると思い、簡潔に済まそうとしたところ・・・
「「何がそういう事です?」」
「えっ?聴いてないのか?」
クリスを見る。
「いや、言ったけど?」
また二人に視線を戻して、何故平然としているんだろう?と理解出来ずにいると
「今更ですよ、もうこのシステムの事ある程度理解しましたので。
クリスちゃんと課長がつるんでいる時点で納得しますよ」
ああ、そうなんだ・・・
クリスを見て、そうだな仕組みを理解出来れば納得するよな・・・その理解の早さに納得いかないけど、そりゃそうだなと理解した。