101 新たなる・・・
レベルアップした後、次の日にクリスのマスターからコンタクトがあった。
「おめでとう、というのはまだ早いか?
君が今の所トップの位置にいる訳だが気分的にどうかね?」
「いや、どうかね、と言われても特には・・・」
「相変わらずブレないな君は。
そうそう、こんな事を言いに来たわけじゃないんだ。
ちょっとした実験をするから協力してくれ・・・と言っても君が特にすることは無い、自分の考えで行動してくれればいい。
報酬は、そうだな・・・考えておいてくれ」
ええ〜、何やらされるんだろ?
「具体的には何があるので?」
「あまり詳しくは言えないが、君の周りで変化が起きるという事だ。
実験と言ったが、検証と理解してもらった方が早いと思うんでよろしく頼むよ」
よく判らんが仕方ない。
「よく判らないけど、判りました。
その代わり、クリス達に災難が降りかかる場合には・・・全力で排除しますからね?」
そこの所は譲れん!
「ああ、もちろん判っているから心配しないでくれ。
という訳でよろしく」
マスターはそれだけ言って帰って行った。
それから1週間過ぎて、それはやって来た。
結城さんと吉井さん両名から、相談したい事があると声を掛けられた。
なんだろ?最近、若い娘から相談を持ちかけられる事が増えて来たけど、慣れないものだな。
「あの、とりあえず見てもらいたいものが・・・」
???
そう言った後、二人の後ろから見覚えのある物体が・・・
いかん、目が合った・・・かもしれないが知らないフリしようか。
「何を見るんだい?」
・・・・・・
・・・・・・
「いや、見えてますよね?」
「川さん・・・もう諦めて認めたら?
さっきから彼らに冷たい視線向けられてるんだけど」
「・・・・すいませんでした、見えてます・・・・」
抵抗も虚しく認めた。
「そうか君達も実験体となったのか」
「はい、何か楽しい事があると思って」
二人ともあんな目にあった後だから気分的に何かにすがりたいのかな?
検証ってこれのことなのだろう、俺に触れてから実験体になってどう生きるのか?ってのがテーマなのだろうか。
まあ、自分の幸せのために全力を尽くして終わりってのも悪くない生き方だと思う。
二人の自由だし、修正するつもりも無い。
「それで相談って?」
「相談する前に、この間助けてもらったお礼をしたいんです。
ありがとうございました、課長がいなかったら、私達今頃どうなっていたか・・・
しっかりお礼をしないと先へ進めないと思って」
そうか、若いのにしっかりしてるんだな。
いや、人生終わったかもしれないと思えばこの程度の礼なんて大したことないか。
「あの、それでですね・・・・一回・・・いいですよ・・・」
「へっ?」
「いや、だから一回お相手します・・・」
上目遣いでじっと見ているが少し緊張しているようだ。
俺が頭を掻きながらどう返答しようか迷っていると・・・
「あの・・・一回じゃ足りませんか?・・・」
無言を謝礼不足と誤解したようだ。
この時点でクリスが半切れしているが、念話で我慢するように指示。
「足りないと言ったらどうするんだい?」
少し呆れた表情で問いかける。
「「・・・・・・・」」
「じゃあ、生で各2回いいか?」
「「!!・・・・・・・」」
2人とも顔色が悪くなっている。
「今日にでもどちらか相手してくれるかい?
もう経験済なんだろ?だったらいいじゃんか?乱暴されるよりは。
今日はその覚悟で声掛けてくれたんだろ?」
「そうなんですけど・・・」
「じゃあ、いいんじゃない?さっさと終わらせてしまって忘れてしまった方が」
「・・・・・・・」
脅すのはこのくらいでいいかな、なんか可哀そうになって来たし。
「・・・・何てこと言われたらどうするんだ?二人共。
俺みたいな不細工にそんなこと言ったら勘違いする奴が出て来るぞ?
それでまた狙われることになる」
「えっ・・・冗談だったんですか?」
2人とも安堵感で少し脱力している。
ちょっと言い過ぎたか?
「当たり前だ、それが目的ならあの時助けないぞ?
それどころか、あの暴漢に全ての罪をなすりつけて襲ってるぞ」
もうちょっと説経しとくか。