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01 とりあえず使ってみた

「クリス!能力承認よろしく!」

私は頭の中に思い描く

コンマ数秒の後返事が届く

「承認OK、送ります」

体が身体強化されるのを実感する

「よし、完了」

それからスリップして動かない車に近づいていく。

3ナンバーのワンボックスカーだ。


2月の朝、九州では年1・2回あるかどうかの雪で交通機関はマヒしていた。

雪国等ではこのくらいの積雪なぞ鼻で笑われるくらいだが、あまり雪が降らない

福岡ではうっすらの雪でも交通がマヒをする。

そんな状態で会社の前の道路で1台の車が雪と凍結した道路で立ち往生していた。


「大丈夫ですか?進めます?」

運転席の人に声を掛けると若い女性ドライバーが困った顔で

「無理そうです、どうしよう・・・」

ここに車があると後続車から追突されるかもしれないなと思い

「私が押しますから動いたらそのまま突っ走っていって下さい

なるべく低速でブレーキ等かけなくてもいいくらいのスピードで」

女性は助かった~という感じになり落ち着いたようだ。

「解りました、後でお礼は・・・」

私は遮るように

「そんなのいいから進むことのみ考えて」

「は・はい、すいません」


さあ、やるか

持っていたドライバーを凍ったアスファルトに思いっきり突き刺す

すると、ドライバーの柄の部分まで入り込む

踵で陥没させても良かったんだけれど雪が溶けたら逆に危険だから。

刺さったドライバーを足のブレーキ代わりにして踏ん張って押す準備をする。

「おねーさん、動いたらそのまま停まらずにいきなよ?」

「はい、よろしくお願いします」

肯定の返事が返ってきたから大丈夫だろう

数倍に身体強化された力で車を押すとゆっくり前進していく

これで進むだろうと思いながらまだ雪が踏みつぶされて凍ってなさそうな場所まで誘導しそのまま放す。

車はなんとかゆっくり進んで行き、言い付けた通り停まらずに低速で走り去っていった。

「これで目的地まで行ければいいけど」

そばにいる相棒に話しかける

「今日の分の能力使っちゃいましたが良かったんですか?」

勿体ないというように話す相棒は身長20cm程の羽が生えた妖精みたいな姿をしているアンドロイドだ。

私以外には見えない。

「いいよ、別に。使わないと勿体ないし、どうせ自分の利益には使えないしな」

「そうですね、それでは能力解除します?」

「ああ、頼むよ。もう必要無いと思うし」

そういいながら刺したドライバーを抜き目の前の会社に戻っていく

これ曲がっちゃったな、もう使えないか。

「あれ、川田課長どうしたんですか?

なんすか、そのドライバー」

何事かと外に出てきた部下の田崎が問いてくる

「ああ、車がスリップして立ち往生してたんだよ、もういっちゃたけど

道具は引っかけて曲がっちゃったよ」

そして、今までの状況を説明してやると

「可愛かったですか?」

「よく見てないや、たぶんそう思う」

「俺も呼んでくれたらよかったのに、残念です」

なんか本当に残念がっているのを横目に見ながら背中を叩く

「そんなことより朝礼いくぞ!」

一緒に戻っていく


戻りながら、クリスと初めて会った時のことを思い出していた。





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