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初投稿です。ゆるく楽しんで書き進めたいと思いますので、暖かく見守ってください◎
「絶対に!ぜーったいに!イヤですわっっ!」
少し吊りあがり気味のヘーゼルの瞳に涙を滲ませ、断固拒否の姿勢を崩さない12歳の美少女は、名をキャサリンと言う。
黒に近いブラウンの巻き毛を揺らしながら、怒りにふるふると震える姿はとても愛らしい。
「…とは言っても、王家からの話だ。断れないだろう。」
溜息を吐いて、苦々しく答える美丈夫はキャシーの父のサイラス。キャシーと同じ色を持つが、垂れ目がちの目元は甘やかで、少し微笑めば世の女性を虜にできるだろう。
…今は不服そうに歪められているが。
「お父様、わたし別に家の為に嫁ぐことに異論はありませんの。領地のためになるのなら、たとえお父様やお爺様より年上の男性のもとだろうが、愛人を何人も何人も囲うような節操の無い方だろうが、おとなしく従いましょう。」
「私がお前にそのような縁談を持ってくるわけがないだろう!娘の結婚に縋るまでもなくセイルは豊かな領地だ。経営を傾けるほど私の腕も悪くない。」
「勿論承知ですわ。たとえ話です。…けれども私、どうしても!どうしても、王家にだけは嫁ぎたくありませんの!」
それまで怒りに燃えていたキャシーの瞳から決壊したように次々と大粒の涙が溢れていく。
…美少女は泣き顔まで隙なく愛らしい。
「リリーに!リリーに会えなくなるなんて絶対に耐えられませんわ!」
そう宣言すると同時にタックルしてきた柔らかい体を慌てて受け止める。
抱きとめた私の胸の中、恍惚とした表情ですーはーと深い呼吸を繰り返すキャシーは美少女なのに非常に残念だ。
「こんなに素晴らしい香りのリリーと離れるくらいなら、私は死んだことにしてくださいまし!」
悲壮感に満ちた訴えも、私の腰に抱きついてすーはーしながらなのでシリアスさ半減だ。
どうしてこうなった。