#06 学校で迷子……。
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「愛梨様よ!」
「愛梨様だわ!」
みたいな声があちこちで聞こえてくる。
しまいには、声を揃えて
「「「ごきげんよう、愛梨様。」」」
と頭を下げる。
すっご……これが九条財閥の影響力か。
高校では成長して大人に近づいた分、
もっとすごいことになっていた。
もちろん、ゲームのシーンの話だ。
でも幼稚部でも十分すごいわ。
もとの世界では礼儀なんて考えたこともなかったぞ。
しっかり教育されてるんだなぁ。
これが英才教育ってやつ?
あ、私も今はマナーとか礼儀作法の先生つけられてたな。
「ごきげんよう。」
人前では"愛梨様"になりきろう。
大丈夫、ゲームで見慣れてるし、どのルートも覚えてる。
ルートスタートのきっかけも。
どのルートでも恨まれないように、尚且つ邪魔にならないように。
あれ、以外とムズイ気がしてきた。
ま、なんとかなるっしょ。
「愛梨様、お体は大丈夫ですの?」
「ええ、もう大丈夫ですわ。」
「愛梨様、婚約者とお会いになったって聞きましたわ。どうでした?」
「愛梨様の婚約者といえば桐崎様ですわよね。」
「えー!あの桐崎様ですか?」
「愛梨様ならお似合いですわー。」
「どうと言われましても、まだ一度お話しただけですのよ?」
たった1回で何もないだろ。
それになんで知ってんだよ。
「お会いになったのですから、何か思うこともあるでしょう?」
「そうですわ!桐崎様はとってもイケメンですもの!」
「もう、はしたなくてよ。でもその通りですわ。」
イケメンなんて言葉知ってるんだ。
おませさんだね。
「確かにとても整ったお顔でしたわ。」
「キャー!やっぱり愛梨様もそう思います?」
「桐崎様はお顔だけじゃなくて……」
はあ、こんなちっこいうちから女子は女子なんだなぁ。
キーンコーンカーンコーン
おっ助かった。チャイムだ。
「はいみなさんお静かに。席に着いて。」
「起立。礼。」
「「「おはようございます。」」」
「着席。」
懐かしいなー。高校にいたのが随分前に感じる。
いや何年も前なのか。
ひらがなも計算も簡単だし、しばらくは学力無双できそうだ。
やっと昼ごはんだー!
食堂の場所は取り巻きの子達がいたからなんとかなった。
ところが、その食堂で事件は起こったのだ。
「キャー!ねえあれって……だよね!」
周りの子達が騒ぎながら、私から急に離れていった。
なぜか。それは、
「愛梨、なんで食べないんだ?」
あんたのせいだよ!
そう、桐崎 隼が私の座っているテーブルに来たから。
なんでわざわざ同じテーブルに来るんだ。
「別に。食べてますわよ。」
勿体無いからね。
セレブはランチも一流だった。
「なんか怒ってないか?」
「そんなことありませんわ。」
「俺なんもしてないだろ?」
「ええ、なにも。」
「婚約者なんだろ?もっと仲良くしようぜ。」
友達になった方がいい。理屈ではわかってる。
でもこの状況ではとてもフレンドリーになんてなれない。
さっさと食べて逃げよう。
「ごちそうさまでした。ではお先に失礼します。」
ペコッとお辞儀して早足でこの場を去る。
「おい、ちょっ待てよ!おいっ。」
待てと言われて待つ馬鹿がどこにいるよバーカ。
止める声も無視して、私は逃げた。
もちろん優雅に見えるように、ギリギリの早歩きで。
が……どこだよここ!
私は迷子になっていた。
「ここはどこ、私は誰?」
なんてやってる場合じゃないな。
歩き回って疲れて来た頃
「ん?ピアノ?」
どこからかピアノの音がしてきた。
おいおい漫画かよってゲームか。
でもさっきから誰にも会わないし、
誰でもいいから道聞かないと。
ようやく音のする部屋に辿り着いた。
「すみませーん。練習中悪いんですけど、道を教えてくれませんかー?」
邪魔にならないようにちょっと小声でいったんだけど
聞こえたようで、相手は振り返った。
「誰?」
うわっ、こいつ……。
ピアノを弾いていた人物は、攻略キャラの一人、野瀬 光だった。ーーーー
桐崎 隼は主人公の事を面白い奴、
いじりがいのある奴、と思ってます。
※野瀬 光はのせひかると読みます。