#05 なんだこのどでかい学校。
お兄様との約束をすっぽかした。
なんで寝ちゃったんだ私!
そしてなんで誰も起こしてくれないんだよ!?
……お兄様に会うのは朝ご飯の時。
うん、会ったらすぐ謝ろう。
言い訳考えても仕方ない。
ちゃんと謝れば許してくれるはず。
許してくれなかったら、仕方あるまい。
日本の秘技DO・GE・ZAで押し切って……
て、あれ?
そういえば、昨日夕飯の前に寝ちゃったんだから
お兄様も寝てたこと知ってるはずじゃん。
なんで起こさなかったんだろう。
うーん?
まあでも来ないの知らずに
ずっと待ってたなんていう可能性は無くなった。
ならそこまで怒ってないかな?
いや一応覚悟はしとこう。
いつの間にかもうちょっとで早川さんが起こしにくる時間だ。
コンコン。「失礼します。」
「おはよう。早川さん。」
「えっ!?もう起きていましたか!おはようございます、愛梨様。」
そんなに驚かなくてもいいと思うの。
確かにいつも寝起き悪いけどさぁ。
部屋に行くともうお兄様はいた。
「お兄様!昨日はごめんなさい!」
「えっ、あ、うん。いや大丈夫だよ。そんな急ぎの話じゃないから。」
良かったー。怒ってないみたい。
でもまだ謝ると戸惑うみたいだ。
そりゃすぐには慣れないよね。
「良かった。今日こそお部屋に行きますね。また夕食後でいいですか?」
「ああ。それでいいよ。」
「わかりました!」
ルンルン、嫌なことはやったし怒られなくてラッキー。
さーてお腹空いてるし朝ご飯たーべよ。
「何か約束していたのかい?」
「はい。お兄様のお部屋でお話する約束だったんです。
でも昨日は寝てしまって行けなかったから、今日行きます。」
「そういえば愛梨は昨日夕食を食べていなかったね。
お腹が空いているだろうから私の話は食べてからにしよう。」
「いただきます。」
何種類かのサンドイッチが並んでいるその中に、私は見つけた。
生ハムを!
やったー、生ハムある!
私生ハム大好き!
うまうま。
3つ位食べてからサラダを食べて、デザートの
フルーツヨーグルト?を食べて朝食を終了。
あー美味しかった。
「ごちそうさまでした。」
よし部屋に戻るか。
「愛梨、ちょっと待ってくれ。スケジュールの確認をする。」
あ、忘れてた。私のために話後にしてくれたんだよね。
「今日は特別何かある訳じゃないから、私は通常通り仕事をす
る。海は学院。愛梨ももう元気だし、登校できるな。」
「はい、お父様。」
「じゃあ仕度しなさい。」
え、学校?!
そりゃあるか!
ヤバい忘れてた。
「愛梨様、お部屋で制服にお着替えしますよ。」
「はい。」
そういえば、主人公たちが通ってる栄華学院って
幼稚園から大学までエスカレーター式の学校だった気がする。
財閥の御曹司とか令嬢の通う、すんごいセレブ学校で普通の家は入れない。
けど中等部から特待生制度があって、
主人公は高等部から特待生として入ってきたんだ。
そんなことを考えてたら、もう準備万端だった。
おお、制服可愛い。
まあ今の私結構可愛いからそれもあるけどね。
「いってきます!」
「いってきます。」
玄関を出たら、家の前になにやらめちゃくちゃ高級そうで
しかも汚れひとつない車があった。
あーっ!そうだ!
そういえば、生徒がみんな高級車で登校してるのを見て
主人公が驚いているシーンがあった!
あれか!
車に乗ると、中には机!
がある訳ではなかったが、なんか色々出てきそうな気がする。
とにかく、高級感ハンパない。
運転手の優しそうな人は石塚さんというらしい。
聞いたら教えてくれた。
さて、私が今通っているのは栄華私立学院の幼稚部。
記憶が曖昧だからよくわからないけれど、
交友関係とかどうなってるんだろ。
まあ行けばわかるか。
あードキドキしてきた。
うまくやれるかな。
そうだ、聞いてみよ。
「お兄様、私のお友達がどのくらいいるかわかりますか?」
「……正確にはわからないけど、いつも誰かしら連れてるよね。
それがどうかした?」
「いえ、ありがとうございます!」
もうすでに愛梨には取り巻きがいるのか。
とりあえずぼっちはないな。
「あ、私のクラス知ってますか?」
「は?Aクラスでしょ。さっきから何言ってるの?」
「なんでもないです。」
ヤベ怪しまれたかな。
でも事前に知れてよかった。
しばらくすると、大きい、とても大きい立派な建物が見えてきた。
え、あれ?
あんなでかいの?
想像以上のデカさ。
これ学校ですか。
校門から入り、降りると、お兄様はさっさと行ってしまった。
え、ちょ、待ってよ、こんなでかいなんて聞いてないよ!
普通に幼稚園出てくるとは思ってなかったけども!!
どこ行けばいいのこれ。
どの校舎かすらわからない。
しばらく立ち尽くしていると、声をかけられた。
「ごきげんよう、愛梨様。」
「え、あ、ごきげんよう。」
「こんなところでどうなさったの?教室へ参りましょう?」
「え、ええ、ご一緒してもよろしい?」
「もちろんですわ。」
よかったー。なんとか幼稚部に行けそうだ。
この時は考えもしなかった。
他の攻略キャラと同じクラスだなんて。ーーーー
幼稚園にしようと思ったんですが、お金持ちだし
エスカレーター式かなと思って調べてみたら
幼稚部というのが出てきたのでそれにしました!