#13 甘くないクッキー。
PV10000達成!ありがとうございます!!
「隼様、おめでとうございます。」
「どうも。」
「隼様、お誕生日おめでとうございます。」
「ああ。」
「ちょっと、隼!きちんとお礼を言いなさい!」
「ごめんなさい、お母様。」
桐崎 隼はとても退屈そうにしていた。
ーーまあ、そりゃあこの大人数だしね。
あ、隼ママが私に気付いたようだ。
「あら、愛梨ちゃん!いらっしゃい。来てくれたのね。」
「は、はい。」
私、今緊張で動きがガチガチだろうな。
「隼様!お、お誕生日おめでとうごだっ!痛っ!」
「ブッ!クククク。」
くっそー。あー、べろが痛いー。こんな場面で噛むなんて。
「おめでとうございますっ、じゃあ渡しましたから!」
「ちょっと待てよ!あ、これ中身なんなんだ?」
「クッキーですが何か?」
中身見えるようにしとけば良かったかな。
「どこの?」
どこって言われても。
「……手作りです。」
「え。」
一瞬惚けた後、桐崎 隼がニヤリとイタズラっ子のように笑った。
嫌な予感がする。
ーーなんかしてくるな。
「そっかー、今食べようかなー。」
「あ!待って!ダメ!ダメです。後でお食べください。」
「えー、良いじゃないか。今食べたいんだよ。」
「えっと、じゃあちょっと一緒に来てください。」
せめて人のいないところで食べてくれ。
「さあ、どうぞ。」
「なんで移動したんだ?」
「まあ、なんでも良いじゃないですか。食べるならお早めにお願いします。」
「なんだって言うんだよ。じゃあ、もう開けて良いんだな。」
桐崎 隼が袋を開くと私の努力の結晶が出てきた。
あ、ちなみに袋も私が選んだ。
「なんだ 、意外と綺麗なんだな。じゃあ食べるぞ。」
怖いなー。綺麗にできたの少なかったから自分では味見してないんだよなー。
「あ、うまい。」
「ホント⁉︎良かった〜。」
「おい、座り込むなよ。」
「だって、なんか力が抜けちゃって。へへへ、でも本当に良かった。」
「変なやつ。これ甘くなくていいな。」
「え?」
甘くない?
「俺が甘いの好きじゃないの知ってたんだな。」
「ちょっともらってもいいですか?」
「ん?いいぞ。ほら。」
サク、モグ、ん?あれ?あれれ?
「これが美味しいんですか?」
「美味しい。」
別にまずくはないけど……素朴な味?
そういえば、お兄様も甘いの苦手だっけ。
私の手作りクッキーは……全然甘くなかった。
ーー砂糖忘れてた?
「海にぃ!」
「こーら。愛梨、人前ではお兄様だよ。それに走らないの。」
「あ、そうだった、ごめんなさいお兄様。」
「それで?どうした?」
「あのクッキー、甘くなかったです!」
「え?アハハハ、そっか、
愛梨は甘いの好きだからあんまり美味しくなかったかな?
でも、"隼様"は甘いの苦手だって結構有名な話だろ?
だから大丈夫かなと思って。」
「もう、そういうことは先に言ってくださいよー!」
驚いたじゃないか!
「ごめんごめん、知らなかったんだね。」
ま、なんだかんだで今回は結果オーライだ。
その後は、ご馳走食べたり踊ったりした。
楽しかったけどーーー
「ただいまー!」
帰るとすぐさま部屋へ行った。
「つっかれたー!」
ーーこういうのはたまにでいいな。
やっぱりお家が一番だ。