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#12 不器用なお嬢様の誕生日プレゼント。

※ユニーク3000人!ありがとうございます!

 

 誕生日パーティ!?


 そっか、愛梨は毎年呼ばれてたんだ。


 ゲームではヒロインが呼ばれて行ったら


「あらー?庶民がこんな所に何のご用かしらー?」って言われて


 飲み物ぶっかけられたとこで桐崎 隼が颯爽と現れ、


 何をしている!って言うシーンがあった。


 私自身、小さな頃クラスの子の誕生日会に行った時の


 苦い思い出があるからちょっと怖い。


 もちろん前世の話だけど。


 まあ"隼様"の誕生日パーティだったらめっちゃ人来そうだし、


 私が行ってもそんなに目立たないだろう。


 問題はプレゼントだな……。


 本人がもらってどう思うかは当然考えないとだけど、


 他の人達のと比べた時が一番怖い。


 既製品なら値段がどのくらいかっていうのも重要だし


 手作りなら出来栄えがどうかが見られる。


 それに手作りっていっても食べ物に縫い物にカードに,色々ある。


 ーーあーもうどうしよ!


 誕生日はほんっと困る。


 学校でずっと悩んでいたが、ふと思いついた。


 そうだ、帰ったら相談してみよう。







「本人に欲しいものをお訊きになったらいいのでは?」


「あっ!そっかーその手があったか!ありがとう早川さん!」


 前世ではそんなことできなかったからその発想がまずなかった。


 私、桐崎 隼 と2人で会話したことあるし訊けるじゃん。





「欲しいもの?特に無いな。」


「え、そんな!じゃ、じゃあ食べたいものでも良いですよ?」


「あったらシェフに作らせるな。」


「そうですわよねー。」



 うわ、金持ちの誕プレって難しいわ。


 そりゃ欲しいものなんてなんでも手に入るもんなー。


 ますますわからなくなった。


「あれ?愛梨、どうした?なんか悩みごと?」


「あっ!良いところに!」


 そういえばいたじゃないか、それも身近に。


 金持ちの御曹司が!





「うーん、僕だったら手作りのお菓子とかがいいかな。


 だって手作りって頑張った感があるから。(普通なら重いけど)


 愛梨なら大丈夫!!」


 そっか。たしかにプレゼントっていえば手作りだよね!


 どうせならお菓子に詳しい人に教わりたいな。


「ありがとう、海にぃ!」


 確かうちでお菓子作りしてる人がいたはず。






「あ、いた。白川さん!」


「あれー?愛梨様?なんでこんなところにいるんです?」


 白川さんはちょっと中性的な感じの顏をしている男の人。


 いっつも白い格好してるしシロさんって呼ぶことにしようかな。


 そのシロさんはいつもぼーっとしてて密かに屋敷の癒しキャラとなっている。


 敬語とかが結構苦手っぽいけど(というかあんまり使ってない?)


 お菓子作りに関しては天才的、らしい。


 ーー作ってるとこ見たいとは思うんだけど見たことないんだよね。


 っと、脱線しちゃってた。


「ちょっと訊きたいことがあるんだけどいいですか?」







 そんなこんなでパーティの日ーーーー


「変じゃない?」


「うん、可愛いよ。」


「ありがとう、海にぃ。でもやっぱり緊張するや。


 ああ今更不安になってきた。味見の時の、美味しいって


 言ったの本当に嘘じゃないんだよね?」


「嘘じゃないよ。それに頑張ってたでしょ?何回も作り直して。」


「そうなんだけど……他の人達は何持ってきてるんだろう。


 全然違うのだったらどうしよう。怖い。」


「大丈夫、白川さんも上出来って言ってたでしょ。落ち着いて、深呼吸。」


 時間が経つにつれてどんどん不安になってきて、


 家を出る前からこうして何回も海にぃに訊いてしまう。


 私の持ってきたプレゼントはーー手作りのクッキー。


 無難だけど、これでもかなり頑張ったんだ。


 今回分かったことなんだけど、私って……お菓子作り下手。


 前世ではお菓子作りどころか料理すらしなかったし、


 調理実習では同じ班になった子の内誰かしらいる料理上手な子に全部任せて、


 洗い物とかしかしてなかったから知らなかった。


 あんなに難しいと思わなかった。私食べる専門なんだよね!


 シロさんはあんなに簡単そうに、それどころか鮮やかに作っていたのに。


 それでも何回も、いや何十回も作り直して、


 やっと美味しいと思えるものが出来上がった。


 それを可愛くラッピングして簡単なメッセージカードも書いた。


 あとは渡すだけ。


 ーーこれ海にぃがいなかったら絶対逃げちゃってたな。


 海にぃは婚約者である私の家族として呼ばれていた。


 もちろんお母様とお父様も。


「ほら行っておいで。」


「はい!」


 堂々と、優雅に。


 あくまで私は"九条 愛梨"なんだ。


 決してクラスのぼっちではないのだ。ーーーー





※ちょっと暗くなったかもです。

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