#11 恋する男の子は頑張るようで。
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「ーーという訳なんですわ。」
「そっか……。」
やっぱり気落ちしてしまった様だ。
でもこればっかりは仕方ない。
結ばれる事を祈るよ。
「すごいとは思っていたけどもうデビューか!」
まさに天才児だよね。
「……昔、約束したんだ。いつか2人でコンサートをしようって。」
「そうでしたの。」
それはちょっと難しいかなー。
「遥はいつの間に遠い存在になっちゃったんだろうな。
でも、それなら、遥に相応しい演奏者になるためにもっと練習頑張るよ。
頑張って頑張ってーーー僕もドイツに行く。」
「えっ!?」
「いつ帰ってくるかわからないしね。
せっかく今いる場所がわかったんだから、こっちから会いに行ってやる。」
いや、そうなったらどうなるの?え?ストーリー的にはどう進むんだろう。
まあ私が情報流したのが悪いんだけど
……でも、まさかこうなるとは思わないじゃん!
「ただ会いに行くだけじゃダメだ。隣に立てるくらいになってからじゃないと。」
なんか燃えちゃってるし、えーいいのかな。ヒロインとは会えるのかな。
あ、高等部で会えるならいいのか。
「えっと、留学なさるの?」
「うん、もっと上達したらだけどね。」
「高等部に上がるまでには戻ってきてくださいね。」
「なんで?」
「いいから!約束してください!指出して!」
「え、指?「ほら早く!」う、うん。」
「せーの」
「「ゆーびきーりげーんまんうーそつーいたーらはーりせーんぼーんのーます、
ゆーびきーった。」」
「絶対ですからね!帰ってこなかったら居場所突き止めて押し入ってやるからね!」
「わ、わかった。怖いこと言うね……。」
よし、これでおっけー。そこまでするならヒロインと結ばれる事はないだろう。
多分。
「愛梨サマって指切りなんて知ってたんだね。むしろ知ってる僕の方が珍しいと思ってた。」
げ、今お嬢様だった。
「いえ、大衆文化を学ぶことも大切ですから。」
「そっかー、まじめだねー。」
「じゃ、じゃあそろそろおいとまいたしますわ。」
「あ、玄関まで送るよ。」
「ありがたいですが、お気持ちだけで結構ですわ。ではごきげんよう。」
「そう?じゃあばいばーい。」
パタン
あっぶねー!セーフっ、ギリごまかせた!
……帰ろ。
こうしてコウの家訪問は終わったのだった。
「ただいま!」
まだ5時前なのに、いい匂いがした。
ーー夜ご飯?早くない?
「あ、おかえり、愛梨。もうすぐ夜ご飯だよ。」
「今日早いね?」
「うん、僕との話の時とかと同じ顔してたから疲れて帰ってくるかなと思って。
そういう時愛梨は食べないで寝ちゃうでしょ?
だから5時に夕食にしてくれってシェフに言っておいたんだ。」
なんだって!?
「ありがと〜海にぃ〜!」
「ほら愛梨、もうすぐだと思うから着替えておいで。」
「はーい!」
なんて気がきくお兄様なんだ!
ちなみに夜ご飯はクリームパスタ?みたいなやつでした。
味?プロだよ?一流だよ?
美味しかったに決まってるじゃん。
その夜のこと。
部屋でうとうとしてたら早川さんが入ってきた。
「愛梨様。お電話です。」
「へ?誰から?」
「ーー桐崎 隼 様からです。」
「嘘っ!貸して!ほんとだ!なんで?どうしよう、早川さん!」
「とりあえず通話にしないと切れますよ。」
「あー確かにー。ええい、ままよ!」
ピッ「もしもし、九条愛梨です。」
「愛梨か、俺だ。」
「はい、何かご用でしょうか。」
「今度俺の家でパーティを開くんだが、それにお前を招待することにしたから来い。」
「えっと?なんのパーティですか?」
「俺の誕生日だ。」
「え?誕生日いつなんですか?」
「来週の日曜だ。なんだ知らなかったのか?」
「ええ、まあ。」
「婚約者のくせに……とりあえず来い。来週の日曜だからな。」
「それだけですか?」
「そうだが?」
「学校で言えばよかったんじゃ……。」
「人が多いところで話しかけられたくないんだろ?」
おお、言ったこと覚えてたんだ。
「お気遣いありがとうございます。」
「気にするな。じゃあな。」
「はい、ではごきげんよう。」
誕生日パーティ……。
誕生日パーティ?ーーーー
※ちょっと短かったのでお兄様との小話入れました。