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あなたと出会えた日 一

ここからが本格的スタートになるのかな〜

決してスポコンを推すつもりはないので〜

 無名の公立工業高校サッカー部の優勝から1週間、取材や祝賀会などと予定がぎっしり詰まっていた。中学校のクラスメイト達からもたくさんの祝いの言葉が送られ、親父やお袋は息子自慢を吹聴していた。


 決勝戦が行われたのは1月11日。先輩たちの引退試合が13日。あの人達を笑って送り出せたのは良かった。


 そして今日は18日。天気予報を見忘れて…帰りに雨が降る悲惨な日だ。帰りの途中でコンビニのビニール傘を買おうとしたが、所持金56円。絶対に無理。そもそも我が家は貧乏…と胸張って言えるほど貧乏ではないけれど、とりあえず家計簿が厳しい状況にあり、小遣いも止められている。校則でバイト禁止ともあり、56円で青春を余儀なく、例えば50円の傘があったとしても、そこに消費税8%を加えると…8%は6.25。少数を切り捨てると結果56円ジャストだ。終わった。


「走るしかねぇ~!」


 野郎と相合傘とか嫌だし、部活で活躍しても色恋沙汰は舞い込んでこない。くそったれ。青年誌も買えない所持金で青春しろとか無茶だ。


「うおぉぉぉ!」


 雨足は強くなるばかり。僕の叫びを聞く人間はいない。びしょ濡れの堤防を走る。左に流れる川は水位を増し、たぶん…落ちたら死ぬ。


「フラグじゃん」


 言霊思想…これぞ真のフラグだ。ちょっと嫌な予感がしたので、堤防の右側を走る。いや、走るのをやめて歩いた。しかしやめた瞬間だった。


 --助けて!


「はい?」


 誰かが叫んだ…ように聞こえた。慌てて振り返ると…視界は悪いが、誰もいない。尤も、誘拐犯だったら短時間で黙らせて身を隠すことは可能だろうが…ひょっとすると……川?


「それこそフラグでしょ…」


 恐る恐る川の方を見てみる。本当に流されていたら、叫んだ人はもういないのだろうけど。


 --助けて!誰か!


 また聞こえた。けど、川には何も…川じゃない?


 ザ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「雨音が激しくなるだけじゃないか。疲れているのか?」


 何も聞こえなかったってことにしようかな。いやでも…人命にかかわる話だったら、後々後悔するしな…しかしそんな大事だったら僕に解決できるとは思えない。


「よし、きっと疲れているんだ」


 再び歩き出す。すると雷がピカッと光った。そして1秒も経たずにゴロゴロと聞こえる。落雷地点が近い。急いで帰らないと…


 ドシャッ!


「…え?」


 今、背後に何か落ちた音が…

 制服のズボンには泥がついた感触が…

 少なくとも堤防の泥を跳ね上げるような大きい何かが落ちてきた。


 え?何?落下事故?事件?後ろ見たら、トマトケチャップの塊が、なんてことは嫌だよ。グロに対する耐性値は皆無なんだから。R16指定の映画とかでも泣きそうになるのに…


 どうしよう、振り返れない…


「た…すけ…て」


 さっきまで聞こえた声がはっきりと、そして弱々しく…背後から聞こえる。やっぱり人だ…!無視できない。


「は…はいぃ?」


 恐る恐る振り返る。そこにいたのは…

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