俺の体は3分クッキングでできるようです。
今回はウィッチ視点でちょっと説明回的なものの・・・はず
ただこれでいいのかはなぞ、人の気持ちを表現していくこの難しいこと・・・
拙い作品ですが楽しんでいただければ幸いです。
「名前が……分かりません、それに記憶と違いすぎる。俺は一体誰ですか?」
彼の……いや彼女の精神はとても不安定だった、あたしのした処置の副作用……いや弊害だろう。だが元々無理矢理な方法での処置なのだ、記憶や人格があるだけマシなのだろう、出来ればこんな状態では説明したくなかったがこのまま放置すれば人格が壊れてしまいそうだ、彼女の精神状態を安定させるためにも現状の説明は必要か……
「あたしは君が誰かという問いに対しては明確な答えを持ち合わせてはいない、あたしが答えられるのは君がここにいる経緯と君の体についてだけですね。聞けますか、割とショッキングですが。」
いかんなぁ、どうもあたしは説明する時などは威圧的と言うか事務的というか……相手の不安を煽るような対応をしてしまう。これ以上彼女の精神に負荷を掛けたくないのだけど……などと思っていたがそれは杞憂に終わりそうだ。
しっかりとこちらを見ている。不安はあるようだが現状を正しく認識しようとしているようだ。変なところで肝が据わっているというかなんというか……ん?そもそもの原因は私じゃないか、と何処からか聞こえてくる気がする……が無視しよう。
「まず、あなたは男と認識していると思いますが一応それは正しいので間違いではありませんよ、ただあなたの記憶にある男性の肉体ですが、あなたの記憶にあるかは分かりませんが爆散して焼け爛れていてちょっと直視をためらうような状態になりました、当然そんな状態なので肉体としては死んでます。」
まず彼女の昔の体の話をしたのだが、聞いた後彼女は固まってしまった……
しばらくするとプルプル震えだしそれはもうダバーという表現が出来るほど涙を流し始めた。それは精神が不安定になったとかではなく、それは怖いものを想像してしまった子供みたいだった。
「ぞれ……どんなホラーでずが~……」
精神が不安定というより幼児化してませんか?
ま……まぁ精神崩壊よりマシですけど。
「えっと、こっから先もホラーかはともかく結構ショッキングなんだけど……ほんとに聞ける?」
「ぎぎばずっ!」
間髪いれずにそう返ってきた。それにしても何でだろう……彼女の反応見ていると不謹慎にもすごくいじめたくなる……ナンデダロウ?
変な性癖は持ってないと思ったんだけどな私。
「じゃあ続けるわ。それであたしはそんな状態のあなたを見つけて助けようとしたわけなんだけど、パーツが足りなさ過ぎる人間を治すのはいくら魔法といえど瞬時には出来ないわけ、だから別の方法をとった。
あなたの魂と呼べるものを別の肉体に入れる方法をとったの、ですぐに用意できる肉体が私自身の肉体しかなかったのよ、正確には私の肉体をコピーしたものだけどね、時間が無かったから子供の体だけど。
ただ魂ってやつは結構めんどくさくて自身の肉体じゃないと入れ替えるなんて出来ないわけで、なのでここで一工夫して、あたしの用意した体と元々のあなたの体をこねくり回して一つに融合させて、出来上がった体に、あなたの魂ぶち込んだの、少しでも自身の体だと魂が認識できれば無理矢理にでも詰め込めるからね……で気になる点ってある?」
とりあえずホラーじゃない感じでザックリ説明してみたけど……これはこれで無茶苦茶ね。泣きはしてないけど彼女ポカーンってしてるわ。
「そんな3分クッキングみたいに俺の体作ったといわれてもどう反応すればいいんだろう……魔法ってすごいんですね、とりあえず何でこの体女の子なのでしょうか……俺の体も入ってるようだし男に出来る気がするんですが」
と、戸惑いながらも彼女からすれば大きい問題の一つを聞いてきた。その問いが来るよね……個人的な理由で教えたくないけど……それじゃ納得しないよね。
「それは無理、まずあなたの体の男性としてのパーツはすでに無かったから、後これらの処置は全て魔法なんだけど、魔法って詳細なイメージが必要でね……生まれてこのかた数百年たってはいるんだけど、自分の体は遺伝子配列まで隈なく調べてはいるけど……男の体って知らないんだよね……あたしボッチだし(ボソ)」
あたしの扱う魔法という奇跡には明確なルールがある。無から有を生み出す場合、それはあたしが知識として知りえていることおよび、想像によって補うことが可能なものという条件がつく。
あたしのコピー体の場合は過去の経験から自身が致命傷を受けても生き残れる状況を作り出すために自身の体を調べあげた副産物である。だがそれでも体丸ごととなると子供サイズがやっとだった。
無から有、それも永続的なものとなるとそれだけ難易度が跳ね上がる。ミサイルを数千発防ぐなんて片手間でできるのにね。
さらにあたしの体と彼女の元の体を融合させた……それも細胞や遺伝子レベルで別人に作り変えたといっていい、正直成功率とか1%あるのかな?って言う状態だったんだよね。
これでもしあたしの知らない男の体にしろとかなってたら成功率はマイナスに突入する勢いじゃないかな……もし生きてても少なくとも人間の形は保てずすぐ死んでたと思う。
何にしろ彼女は本当に奇跡的な確率で生還したといっていい。こんな真実話したらまた泣きそうなんでオブラートに包んで話してみたけど……ちょっとまった!その哀れみを含んだような目で見つめるのは何で!!?
「えっと……これからいいことありますよ(?)ウィッチさんまだ若いし(実年齢知らないけど)」
あ……あれぇ?なんであたしが慰められてるの?
おかしいな、なぜか涙が出てきそうよ?
主人公は主人公補正がかかり生還していた!
その代償に失ったものはヒーロー性・・・
4/10若干変更、話の流れそのものは変わってません
ウィッチの一人称変更私→あたし