私の新しい日常
お待たせしました。
えー……何だかよく分からん世界に突入してる気がします。
拙いものですが楽しんでいただく事が出来たのなら幸いです。
はい、始めましての方は始めまして、ドナドナされちゃった撫子です。
誰に挨拶してるのかって?はぁ……いえね、たまにはこんなノリも必要かと思いまして。
さて、今の私の状況を説明しますね。ウィッチさんにドナドナされてから一週間ほど経ちました……で、現在絶賛芋虫状態になってます。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!痛い痛い痛いぃぃぃぃ!!」
体が反り返ってて手足が無理矢理固定されてる状況なんです。
しかも固定された時髪が絡まって引っ張られちゃってる状態なんです。これ滅茶苦茶痛いんです。
ジタバタしていたら奥から師匠がお盆に料理を乗せて出てきました。
あ、師匠はアザトゥースさんの事ですよ。
「撫子ちゃんはぁ、女の子なんだからぁ、そんな声をぉ、あげちゃ駄目だよぉ、これぇ、二番テーブルにぃ、お願いねぇ」
師匠が駄目出しをして出来上がった注文品を渡してきます、ですが今私動けないんですよ!?
「10秒以内にぃ、行動できなかったらぁ、デザートのぉ、プリンはぁ、わっちがぁ、貰っちゃいますねぇ」
「え、ここで課題ですか!!?」
やだやだやだ!!今日もプリンを盗られるなんてやだぁ!!力いっぱい無理矢理体を動かそうとします。
うぬぬぬぬ~と力んで動こうとするんですが、全くビクともしません……分かっちゃいるんです、筋力じゃこの状況を変えられないことくらい……でもですね、分かっちゃいるんですがどうすることも出来ないんですよ!!
「ななぁ……、はちぃ……、きゅうぅ……、じゅうぅ!!はいぃ、今日もぉ、プリンはぁ、没収ですぅ」
「うわぁぁぁん!!オニィィィ!!」
何が起こってるのか全くわかりませんよね?はい、簡潔に説明します。
今私は『食事所 クトゥルフで従業員やりながら魔力訓練の基礎』を受けてます……基礎と言いつつもすごく変則的と言えるんですが……
― 一週間前 ―
「どなどなど~な~ど~~な~~……」
「……あれは一体なんなの?」
はい、ボクはトリックスターです。
ただ今、命からがらイホウンデーから逃げてきました。
あのままだったら変な扉を開いてたかも知れないね……開かなくて心底よかったよ。
口調が違うって?ああ、こっちが素。
ボクの体は性別的なものは存在しないんだよ……変異すればどっちにでもなれはするけどさ。
ちなみに精神は男性より……だからウィッチはボクのこと女装とか言うけどね……性別的にはどっちでもないんだからどんな格好仕様がボクの勝手だろう?ボクは趣味に生きる!!……今何か引かれた気がするがそんなことすらどうでもいいよ!
ん?話が変わってるな、今はそれはどうでもいいか……問題は今目の前にいる撫子だ、何で隅で壁のほうを向きながら三角座りをして変な歌を歌っているんだ、何があった?
その時僕の羽が掴まれた。何だと!?もうイホウンデーが復活したとでも言うのか!?
「撫子ちゃんをぉ、何とかぁ、しなさいぃ、これはぁ、命令よぉ、馬鹿息子!」
母上ぇ!!?しまったぁぁ!!ここは実家だからこそ居るのは当たり前じゃないか!!
イホウンデー以上に母上に会いたくなかったからここから出ようとしてたのに、イホウンデーに掴まるわ揉みくちゃにされるは、逃げてくればカオス空間は形成されてるわで思考能力が低下していた!!
くそぅ……母上からの命令である以上俺はそれを遂行しなければならない、逆らえば僕の存在が消えるだろうしなぁ……はぁ、今日は厄日だな。
「はぁ……仰せのままに、母上。ただ何でこんな風になってるのか分からないので説明願えますか?」
「いいよぉ、こうなってるぅ、原因はぁ、ウィッチがぁ、撫子ちゃんをぉ、わっちにぃ、どなどなぁ、したからぁ♪」
……すいません、まっったく意味が分かりませんよ、母上?まぁ母上の意味の分からなさはボク以上なのはボクが一番理解してましたよね、なぜ母上に聞いたボク?
さて、どうしたもんかな……そもそもボクって撫子をどうにかできる存在じゃないんだけどな、などと考えてると撫子の誰にでも聞こえる独り言が進展した。
「何で私を置いてっちゃうんですかぁぁぁウィッチさぁぁぁん……」
……はぁ?オイテイッタ?おいていった……もしかして『置いていった』って事?……何それ、聞いてないんですけど!?
「ちょっと母上?……ウィッチって何処にいるの?」
「だからぁ、ウィッチはぁ、撫子ちゃんをぉ、わっちにぃ、どなどなしてってぇ……何処にいるんだろうねぇ?」
おおぃぃぃ!!?それってウィッチここにいないって事じゃん!?ボクも置いていかれたの!?撫子の表現も母上の表現も個性的過ぎて分かんないって!!あー……この流れはやな予感するね。
「そうそうぉ、ウィッチからぁ、馬鹿息子にぃ、伝言をぉ、預かってたのぉ、『撫子と一緒に好きにしていいよ』てぇ、わっちにぃ、言っていったのぉ、だからぁ、従業員其の二ぃ、げっとぉ~♪」
そう言いながら母上はボクに飛びついて両手でホールドして逃げられないようにしてきた。
だああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!げっとぉ……じゃ無い!!やぁっぱりこういう流れかぁぁぁぁ!!
そしていい加減『馬鹿息子』にボクのルビ振るのやめてもらえませんかね!!?
さて、どうしたもんかな……そもそもこんなのほっとけばいいんじゃないかな?と思う訳ですが、母上の命令がある以上何とかしないとボクの身が危ない。仕方ない、とりあえず話しかけるか……
「撫子~……お~い……うぅ、反応ないね、んと、あのさ、多分ウィッチに捨てられたなんてことは無いと思うんだけどな」
「…………」
反応無しですか。はぁ……なんでボクが慰めなきゃならんのですかね……何だかなぁ
「ま、そのままなら捨てられるかもね。ボクは聞いてないから詳しくは知らないけどウィッチは何で置いて行ったのさ?……まさかマジで捨てられたの?」
今回は反応があった、勢いよく起き上がって反論してきた。
「捨てられて……無い……と思う……」
だけど最後の方は語尾が弱くなっていった……そのまんま子供の反応だな、ウィッチから撫子がどういう経緯でこうなってるかは聞いたことがあるけど、ここまで変わるか?ん~、ボクには関係無いか……無いよね?何にしろボクはやるべきことをするだけ。母上の命令はこなさないとね、反応があるなら何とかなるでしょ。
「捨てられて無いなら無いでいいよ、なんにしろここにいる理由って在るんじゃないの?それこなさなかったら本当に捨てられるんじゃないの?」
「やです!!えっと……確か魔力をどうするんでしたっけ……」
「そうだったわぁ、ウィッチからぁ、撫子ちゃんにぃ、魔力の使いかたをぉ、教えて欲しいってぇ、言われてたのぉ」
母上……ボクそれ初耳ですよ、情報は正確に伝えて欲しいんですが?はぁ……言ってもしょうがないのはもう理解してるんだけどね。
「そ、そうでした!アザトゥースさん早速魔力の使い方を教えてください。そして覚えたらウィッチさんの所に行きます!」
「いいわよぉ、撫子ちゃん!でもぉ、これからわぁ、わっちの事はぁ、『師匠』ってぇ、呼んで下さいねぇ」
「わ、分かりました。師匠!これからよろしくお願いします!」
「わかったぁ、さっそくぅ、特訓にぃ、入るわよぉ、撫子ちゃん!まずはぁ、これにぃ、着替えてきてねぇ」
うん、撫子がカッコ付けて敬礼してます、そして二人の空間出来てるね。ボク必要だったのかな?
……ねえ撫子、君気付いてる?最近どんどん馬鹿になってると思うんだけど……そもそも魔力の使い方覚えてウィッチの所に行くってどうやって?場所わかんないよ?
そして思うんだ、何でボクが突っ込みをやっているんだろうか、何時から君はボケに回ったんだい?
撫子は母上から服(恐らくここの従業員服じゃないかな)を受け取ると何処かに行ってしまった……ま、着替えだろう。
そんなことを思いながら見ていたら母上がいなくなっていた、そして突如ボクは手でホールドされていた、いつの間にか母上はボクの背後に廻っていたようだ。
「ウィッチからぁ、馬鹿息子もぉ、好きにしていいってぇ、言われてるからぁ、撫子ちゃんのぉ、魔力制御をぉ、手伝ってもらうわねぇ」
そう言ってきた母上はひたすら笑顔だった……ひたすらに黒い笑顔だった。
「……母上、協力するのはやぶさかではありませんが……その笑顔が物凄く怖いんですが?」
「うぅふぅふぅふぅふぅふぅふぅふぅふぅふぅふぅ……撫子ちゃんのためにぃ、魔力制御要請ギプスにぃ、なって貰うわよぉ」
母上ぇぇぇぇぇ!!?それ、どんな笑い方なんですかねぇぇぇ!!?ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!
こうしてボクは撫子の魔力制御特訓用ギプスに変えられた……
◇◆◇◆◇◆◇◆
「師匠!!準備できました!!」
はい、着替えにちょっと時間が掛かりました。え、何でかって?食事所クトゥルフって正面玄関みたいなものだったんですよ。
着替えのために奥に行ったら長い廊下にいくつも部屋があってですね……分からなかったんですよ、テキトーに入った部屋が冷凍庫とかで寒すぎたとか色々ありました。
ちなみに更衣室は見当たらなかったんですよね。変わりに風呂場を見つけたのでそこで着替えてきました……え、何もなかったですよ?
「了解ぃ、じゃあぁ、今度はぁ、このリングをぉ、腕とぉ、足にぃ、付けてねぇ」
そう言って師匠は四つの白色のリングを渡してきました、付けろと言うのなら付けましょう。
でもなんででしょうか……このリング、すごく憎たらしく思えます。
「師匠!リング付けました!」
「はいぃ、それじゃぁ、今からぁ、訓練のぉ、説明をぉ、しますねぇ、まずぅ、撫子ちゃんにはぁ、……」
説明が……と言うか師匠の話し方がすごく長かったので省略しますね。
要は私はこれからウィッチさんが帰るまで食事所クトゥルフで働く事になりました。
付けて貰ったリングは魔力制御訓練用のリングらしいです、何でも魔力制御に失敗すると罰を受けるとか……罰ってなんですか!!?
「とぉ、言う訳なのぉ、さっそくぅ、リングをぉ、作動するねぇ」
そう言うと師匠は私の手足についてるリングを触っていきました。
リングは師匠が触るとリングの色が青に変わりしばらくすると点滅しだしました、そして赤色に変わると……
― バチィィィン!! ―
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!痛い痛い痛いぃぃぃ!!?」
赤色に変わったリングは私を逆エビゾリ状態にして手足がくっついて固定されてしまいました。
しかもよく見るとこれ、いつの間にか某○○の星に出来たギプスの様になってます!?さすがにバネじゃないんですが全身に赤い線が走ってます!何これ!!?
「このぉ、制御ギプスはぁ、つねにぃ、魔力をぉ、一定量流し続けないとぉ、この様になりますよぉ」
なりますよぉ、じゃないですよ師匠!?私魔力を流すとか分かりませんよ!!?
「魔力制御はぁ、習うよりぃ、慣れろぉ、ってことですねぇ、頑張ってぇ、動けるようにぃ、なってくださいねぇ」
マジですか師匠、説明無しに行き成り訓練開始とか……私魔力制御できるようになるのかな?
「後ぉ、やる気が出るようにぃ、ご褒美をぉ、用意しますねぇ、訓練のぉ、成果によってぇ、毎食のご飯がぁ、変化しますねぇ、いい成績をとればぁ、デザートにぃ、プリンが付きますよぉ、でもぉ、わっちの出すぅ、課題をこなせなかったらぁ、没収ですぅ」
プ……プリンの為に何が何でも頑張らねば!!
「今日の課題はぁ、6時間以内にぃ、動けるようにぃ、なることですぅ、それじゃぁ、わっちはぁ、仕込みのためにぃ、厨房にぃ、いきますねぇ」
そう言うと師匠はさっさと厨房に引っ込んでしまった。
……え、ちょっと待って、私このまま開始なの!!?
えええぇぇぇぇぇぇ!?魔力の扱い方教えてくれるんじゃないの!?しぃぃぃしょぉぉぉぉ!?
そしてやばいです!逆エビゾリがさらにきつくなってきました……いたたたたた!?ホントにやばい!これマジでやばいからあぁぁぁぁ!!……グフッ
「…………ん、……で…よぉ……くだ……ねぇ」
……う~、私何してましたっけ、体が滅茶苦茶痛いです。
「撫子ちゃん、起きて下さいねぇ、夕ご飯ですよぉ」
私をそう言って揺すってる師匠がいました。あれ、私寝てたんですかね?
「今日のぉ、訓練はぁ、終了ですぅ、もぉ、夕ご飯なのでぇ、起きて下さいねぇ」
そうでした、いきなり訓練が開始されて、私は制御ギプスに落とされたんでしたね……と言う事は6時間あのままと言う事ですか……そりゃ体も痛いですね
何だか、もやもやしますがしょうがないですね、食卓に着きましょう。
師匠についていくとお店ではなく奥のほうの……住居スペースなんですかね、そこで食事を取ることになりました。
食卓には既にイホウンデーさんが付いていました。
「撫子ちゃん気が付いたんですね、お母様のやり方は結構滅茶苦茶なので無事でよかったです……それと、すみません、撫子ちゃんの歓迎用に作った食事があったんですが、お母様に全部没収されてしまいました」
そうして見ると私の食卓に置かれていたものは……白いご飯のみでした。
「今日はぁ、課題が一つもこなせなかったからぁ、デザートもぉ、おかずもぉ、漬物もぉ、没収ですぅ」
…………うわあぁぁぁぁぁん!!少女虐待反対だよぉぉぉ!!私のごーはーんー!!
◆◇◆◇◆◇
これが食事所クトゥルフに来た私の初日で、今現在一週間経ちましたが……今だ没収ばかりで白いご飯地獄です。
え、一週間もあって何してたかって?突発的に起こる課題をこなせない毎日です。
いつか……いつか食卓を豪華にするのが私の夢なんです!!
◇◆◇◆◇◆
― どこかでリングにされてしまった人の嘆きより ―
(目的と手段が変わってるよ撫子?)
撫子) そもそもいきなり魔力制御しろとか出来るかばかぁぁぁ!!
作者) こっちに当たらないで下さいよ。
撫子) 今日も白いご飯だけ……悲しい
作者) まあまぁ、そのうちいい事ありますよ?(もぐもぐ)
撫子) ……何食べてんですか?(怒)
作者) しょうが焼き定食だけど?(もぐもぐ)
撫子) 投稿遅れたくせにそんな状態か!死んでしまえ!!(バキッ)
作者) ブルポ!!?
はい、今後はなるべく早く投稿できるように頑張ります。




