5話目ー戦いの足音、仲間の絆ー
またまた遅くなりました。
すみません(。・人・`。)
「俺たちはこの村を離れることにした。人族が宣戦布告し、戦争が始まる。」
お父さんはそういうと、真面目な顔で僕たちの顔をまっすぐに見つめた。
「お前達には、もっとのびのびと自由にこの村で過ごして欲しかったが、この村は人族の国に近い。それに、人族はこの場所を知っているだろう。」
「むかし、お前達が生まれる4、5年ほど前のことだ。人族の冒険者と名乗る男が、この村の近くに大怪我をして倒れていてな。俺たち、村の猟師が奴をみつけたんだ。その男は高そうな服を着て、高そうな剣を持っていた。今思えば、あの男は貴族か、高ランクの冒険者だったんだろう。」
「俺たちはそれに気づかず、男の手当てをし、飯を食わせ、怪我が治るまで面倒を見たんだ。そして男はお礼を何度も言いながら、怪我が治ったらまだ万全の体調じゃないというのに、これ以上迷惑をかけれないと言って、すぐに出て行った。」
「その時俺たちは、それならせめて村から森の外まで案内しようと言ってな、案内をしてしまったんだ。だからあの男はこの村の場所を知っている。そして、あの男は人族だ。だから、自分の金のためなら俺たちの居場所だって高額で売るだろう。そういうわけでな、俺たちが今いるこの場所は、人族に一番に狙われる可能性が高い。」
「話し合いの結果。俺たちは大事な仲間達を失うくらいなら、この先祖代々の場所を捨ててでも、大事な仲間を、家族を守ろうということになったんだ。お前達にはまだ早い話かもしれない。だがな、もうゆっくりしている時間はないんだ。わかってくれるか?」
お父さんの話は衝撃だった。
そんな話聞いたことないし、今、初めて知った。けれど、お父さんの僕たちを大事に思ってくれてる気持ちも、すごくわかった。
だから僕とアランは、顔を見合わせるとすぐに笑いあった。
「父さん、俺たち子供じゃないんだぜ?わがままなんて言うつもりなんてないよ。」
「僕たちはお父さんたちといれるならどこにだって行くよ。」
「「僕(俺)たちだってこの村のみんなは大切だよ。」」
そういうと、お父さんは少し驚いているようだった。そして母さんと一緒のタイミングで笑いだすと、にっこりと立ち上がり、一言。
「さあ!新天地を目指して出発だ!」
そうだ、僕たち森妖精はどんな時だって楽しみを求めるために冒険するんだ。
ーーー
次の日の朝、
僕たちは手早く荷物をまとめると、村の広場に向かった。
「エルト!お前んとこの息子は無事だったか!?」
「リハルド、落ち着け!のんびり話している暇はないからさっさと言うと、無事だ。わかったか?わかったな。じゃあ行くぞ。」
リハルドおじさんがお父さんに飛びかかって、僕たちの無事を聞いてきた。けれど、お父さんは相手にもせず、無事だったことを伝えるとさっさと歩きだし、長老のところに向かっていく。
「長老、遅くなりすみません。息子たちは無事でした。お手間をかけさせ、申し訳ありません。お手数をかけた身ですが、私たちで最後ならもう出発したほうがよろしいかと思います。ほら、お前たちもちゃんと謝れ。」
お父さんは完璧にリハルドおじさんを無視すると、長老に挨拶をした。そして、僕たちにも挨拶をするように促すので、僕たちもリハルドおじさんを無視して、長老に挨拶をする。
「「長老、迷惑をかけてしまってごめんなさい。今度からは気をつけます。」」
2人揃って頭を下げているとお母さんが後ろから、
「本当に申し訳ありません。こんな忙しい時に...。もう、本当にしっかりと言い聞かせておきますので。この馬鹿息子たちが...」
「シルア、そのへんにしときなさい。長老が困ってるよ。」
「あら、ごめんなさい。すいません、長老。今回のことは本当に申し訳ございません。」
長老は、のんびりと笑いながら言う。
「ほっほっほ。今回のことは誰にもわからなかったことじゃ。突然に起こってしまったものを、ふたりだけ責めてもかわいそうじゃし、あまり意味はないじゃろ。けどの、今回はまぁ良かったが、今度からは気をつけるんのじゃぞ?次はないからのぉ。」
「「はい...。すいませんでした…。」」
「ほっほっほ。反省はしとるようじゃの?なら行くかの。みんなもう待っておるよ。」
「ちょっぉぉぉぉぉぉぉぉっと、待てぇぇぇぇぇぇぇぇ!!俺を、置いてくなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「早く行こうかのぉ。もうそろそろ時間を使いすぎじゃからのぉ。」
「そうですね。私たちのせいでほんとすみません。急ぎましょうか。シルア、アラン、アロン、大丈夫か?」
「私は大丈夫ですよ。ふたりは?」
「「僕(俺)は大丈夫!早くいこ!」
僕たちは急いでみんながいるところに向かっていく。
「だぁぁぁぁかぁぁぁぁらぁぁぁぁ!!俺を、無視するんじゃぁネェェェェェェェ!!」
「ん?誰か何か言ったかの?」
「いや、誰も何も言ってませんよ。ねぇ?」
「えぇ、私は何も言っていないわ。」
「僕たちも喋ってないよ?」
「あぁ。俺たちは何も言ってない。」
「じゃあ、気のせいじゃのぉ。わしも年をとったかのぉ?」
「それじゃあ、急ぎましょうか。」
「さっきから時間をかけすぎたわね。」
「「じゃあ、れっつごー!!」
僕たちはそのまま、何事もなかったのでさっさと村のみんなたちと合流する。
そして、深く茂る森の奥へと入っていく。
人族から僕たちの大切なものを守るため、新天地をめざす。
「もう、いいよ…。」
うん。そろそろかわいそうかな?
お父さんに合図を送る。
「お父さん、これ以上はうざいからやめてあげよう?」
「はぁ、そうだな。面倒くさいしやめてやろうか。」
「そうじゃの、うるさいから構ってやるかのぉ。かわいそうじゃしの。」
「俺はお前らになにかしたか?」
『うん、迷惑。』
「お前らひどい!!」
そのまま僕たちは森の奥深くへとじゃれ合い?をしながら入っていく。
何も知らない人が見たら、遊んでいるようにしか見えないだろう。けれど、こんなじゃれ合いをしながらも、みんなしっかりと警戒をしている。
森妖精族は、森の中ではどの種族にも負けない、最強の種族だ。
だからこそ、森での過ごし方はよく知っている。警戒しすぎていると、少し緩んだ隙に襲われる。
精神を消耗しないように軽く楽しくのんびりと。それが森での過ごし方だ。
だから僕たちはのんびりと、しかし確実に森の最深部の方へと進んでいく。
ーーー
「よし、そろそろ休むとするかのぉ?」
長老がそう声をかけるとみんなから喜びの声が上がる。
森での過ごし方を知っているといっても、疲れるものは疲れるし、気を張りながら進むのは辛い。
「長老、このままここで、お昼ご飯にしましょう。ちょうど先に少し広い場所があるみたいですし。」
「そうじゃのぉ、もう少し歩けるかの?」
長老がそう聞くと、
「長老、私たちをなめないでくださいよ?」
「そうですよ、私たちだって男には負けないくらい鍛えてますよ。」
「僕たちだって、もう少し頑張れるよ!」
「おうよ!さぁ、あと少しだ!頑張るぞ!」
そう、元気な声が返ったきた。
長老も嬉しそうに
「そうかのぉ。あと少し行くかの。」
そう答えた。
ーあと少し。
まだまだ続く予定なので、この先もお付き合いしてもらえると嬉しいです。
それでは、次の話が繋がる日まで…