2話目-光る天井、砂の間-
二人が洞窟に入ってしばらくすると、
サラサラと砂が落ちるような音がしてきた。
だいぶ遠くからするらしい。
僕たち森妖精はとっても耳がいい。
だいたいの物音ならどこでするかわかる。
「アラン、気をつけたほうがいいな。」
「うん、この音は洞窟が壊れやすいってことだもんね。」
二人の表情が引き締まった。
「けど、お腹すいたしそろそろ休もうよ。」
「そうだな。もう、十分くらい歩いたか?」
「うん。僕、少し疲れたなぁ。」
洞窟は思っていたよりも深く、どんどん道が現れていく。
僕たちの足じゃヘトヘトになっちゃうや。
「思っていたよりも、大変だねぇ。暗くなる前にお家に帰れるかなぁ?」
「あんまりにも奥まで遠かったら、途中で帰って明日、続きを探検しよう!」
僕たちは持ってきたお菓子とリンゴを食べると立ち上がった。
うーんと伸びをすると、行こう!アロンが言った。うん!僕も元気よく返事をする。
まだまだ、僕たちは探検したいんだ。
サラサラ、サラサラ。
砂の音が近づいてきた。
そっと壁に手を当てるとポロポロと崩れてしまう。
「アロン、上を見て!」
僕は気付いた。微かに上の方が光っていることに。
天井はここに来るまでは真っ暗だった。けどこの、壁が崩れるところでは天井が光っている。
「アラン...。すっげー綺麗だなぁ...。」
「うん。お星さまみたいだね...。」
本当に星のようにキラキラしていたのだ。
サラサラと落ちる砂の音とキラキラの光る天井はどこか夢のようだった。
「このままここで眠りたいなぁ...。」
光る天井を見上げ、心地よい砂の音を聞き眠りにつけばきっと、とっても気持ちがいいよね。
「ばーか。砂が落ちてきてるのに眠ったら、埋まっちまうよ!」
ああ、そっか。アロンは賢いや。
砂は天井から落ちてきていた。
「そうだね。やっぱりここで眠るのはやめておこう。」
僕たちはしばらく何も言わずに手を握りながら、光る天井を眺めていた。
「さて!奥までもう少しみたいだぜ!」
アロンが僕を見てニッと笑う。
「奥には何があるんだろう?楽しみだな!」
「うん!この天井のキラキラがあったら嬉しいな!」
僕もアロンを見てふふっと笑う。
「父さんと母さん、喜んでくれるかなぁ?」
僕たちはいつも二人で何かを見つけた時、一番最初に父さんと母さんにあげるのだ。
「いいもの見つけて帰ろうぜ!」
奥に進むと砂の落ちてくる量が増えてきた。
地面も砂で埋まっている。
「アラン、ここはだいぶやばいな。どうする?」
もちろんいくに決まってる。
「行くけど、一旦引き返して、準備しなくちゃね。」
僕たちは光る天井のとこまでくると、靴紐をきつく締め、フードを目深にかぶった。
前の服のボタンも全部止めて、砂がどこからも入らなように気をつけた。
「後は、二人でロープを持っていよう!」
「なんでだ?これで準備万端だろ?」
「もし、片方がこけて砂に埋まってしまったらわからないでしょ?けど、ロープを持っていたら、引っ張られるから気づくと思うんだ。」
「なるほどなぁ。アロンやるじゃん!」
へへっ。
僕は得意そうに笑ってから、リュックサックからロープを取り出した。
「少し短いかなぁ?」
たぶん大丈夫かなぁ?少し短めのロープをお互いの体に結んで、
「よし!行こう。」
「おう!行こうぜ!」