答え
私がきっぱりこう言うと、中西は大げさにため息をついて、「やれやれ…」と言ったふうに肩をすくめた。
会った早々言うのもあれだが、嫌いだ。
だめだ、だんだんイライラしてきた。
「知っていたけど、淡白だな、お前。いやムシロ薄情ってやつか……」
と哉也が呟いたような気がした。何だコイツ。何かもうどうでも良い感じがする。主語がなかった。
だいたい、何なんだこの状況。灰色ばっかりだし、いるのはやたら図体がでかくて、だいたいのことはほぼパーフェクトにこなす、多少気持ちの悪い、性格に難ありの男2人だし、なんか訳の分からないことを言い出すし、協力しろとか頼む口調ではないんだけどなぁ、あれは。
「困るなぁ、本当に……」
今度は中西が呟いたような気がした。おそらく、あのムカ付く程大げさなアクションをつけて。今時そんなポーズは、アメリカでも流行らない。というか、いちいちしゃくに触る。2人とも諦めたような仕草を見せ始めた。それは、賢いとも思われる。私がだめなら代用品を探せばいいのだし。
「じゃ、だめかな」
「……だな」
待て、冷静に。
だんだん、イライラしてきた。イライラする原因は彼らにもあるが、私にもあるような気がする。
まだ何か迷おうっての?
別に彼らを困らせるのはかまわない。しかし、私にはそれほど強く拒む理由もないようだ。他人と関わりたくない。自分探しが嫌い。自分のしたいことをしたい。そもそも、したい事って何? 私はただ面倒臭がっているだけではないのか。言っていることは大した根拠もない。
他人と関わりたくないのは、他人の悪口を聞かずに済むから。今考えるとばかばかしい。それほど深く関わったことがないだけ。自分がどういう悪口を言われているか、怖い?知りたくない?
「はっ……」
自分探しは面倒なだけじゃないか。今だって自分のことが分からないのに、言えたことだろうか。それならば、よほど哉也の方が理解しているかもしれない。
それで良いんだろうか。私は私だと言うことは誰もが確信できるものでは必ずしも無いけど。そんな不確定な自分のままで、良いのか。
「ま、関係ないけどね」
「「は?」」
下らない。自分のしたいこともすぐ疑うくせに、したいことがあるから? ほんと、何なの私。
「何なの……あんたら。私にどうしろって言うのよ……」
無駄だ。こんな思考は、正直無駄だ。
だけど、考えてしまう。考えずにはいられない、気がする。
こんなにぐずぐず考えるなんて、腹立たしい。
「え、何だよ。やるのかよ」
「うるさいなぁ……」
こんな男2人きっかけに考えさせられるとは。
「やれば良いんでしょ、やれば」
「は、はあ」
「やってやるから、もっと懇願しろ!」
考え込むなんて、らしくもない。
キャラ崩壊……?
いやこっちが先に書かれてるんだから元キャラなのか、と困惑。