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目が!目がー!
となっていたが、おずおずと瞼を開ける。
まだチカチカしてるよ。
眩しすぎるピンクの光に目を閉じたとき、確かに肩を掴まれる感覚がした。
横を見ると、しっかり肩をつかんだまま、まだ目を閉じた上司。
「うぉー。目が、目がー!」
一緒かよ。
「あら〜。ごめんなさいねぇん。
アタシったら気が急いちゃってぇ。」
ちょ。近い、近いよ!物体X!
もう少しでギザギザの歯が見え隠れするお口とマウストゥーマウスなんですが……
…て、どこだここ?
グイグイくる物体Xを押し返しながら周りを見れば、さっまでなーんにもない所にいたのに、広い豪華な部屋の中に立っている。
横を見れば、アンティーク調のドでかいソファーにどっしりとしたテーブル。
上を見ればキラキラ輝くシャンデリア。
映画かドラマでしか見たことないよってなお部屋だな。
「どうなってるんですかね?
知り合いの貴族の城みたいだ。」
「どーゆー交友関係なんですか?
でもホントどーゆーこと?」
復活した上司と言葉を交わしながら、絶対アレのせいだろうなと思う。
「ねえ!これどーなってんの⁈ここどこよ⁈
訳わかんないし、あんた一体何?」
顔に張り付いてた物体Xを引き剥がし、問い詰める。
本当に訳わかんない。また頭パーンってなりそう。
「何って転移魔法で私の家に飛んできたのよぉ。
まあ、転移魔法なんてめずらしいしぃ初めて だったかしらぁ?
邪魔者までくっ付いて来ちゃったけどぉ。」
バッチンとウインク付きで答えてくれたのはいいけど、理解が中々出来ない。
草野さんと顔を見合わせるが、お互い声を出せずにいる。
てんいまほう?
「とりあえずぅ、アタシ着替えてくるわぁ。
お互いを深く知り合うのは、あ・と・で。
飲み物を用意させるから待っててちょうだいねぇん。」
バタン…
行ってしまった。
しかし物体Xよ…どうやってその重たそうな扉の開け閉めをしたんだ…。
混乱した頭では考えることが出来ず、閉まっている扉を見つめることしか出来なかった。