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まだ見ぬ同僚達の苦労話? side浜口
「今日は俺の為に来てくれて有難う。
最後まで楽しんでってくれ!」
ジャジャーン。
ギターをかき鳴らす音の合間に、野郎どもの「兄貴ー」と野太い掛け声が聞こえる。
たまーに女性の嬌声も。
マイクもないのに響く歌声。
激しいシャウト。
人だかりはどんどん増えていく。
聴いた事のないメロディ、歌い方に圧倒されながらも、心に響く歌声に観客は引き込まれていく。
一曲歌い終わった男は満足そうに辺りを見ながら思う。
(「俺、今超カッコいい&気持ちいい」)
「まだ俺の歌声も枯れてねぇな」
そう独りごちながら。