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じりじりと後退りし始めた私達だったが、アレの一言が私達の足を止めた。
「ちょっとぉ~ドコ行くのよぉ~。
だいたいアンタ達こぉ~んな所で何してんのぉ?
変な格好してるしぃ~。
あ~喉かわいちゃったわぁ。
お水飲も。」
そりゃそんだけ喋れば喉乾くだろ。
とツッコミたかったが、問題は最後の一言だ。
水を飲むと言って、何かブツブツ言った後、体を少し震わすとアレの前にコップが!
手品か何かの様に、いきなりコップが!
アレはコップに刺さったストローに吸い付いて、美味しそうに水を飲んでいる。
みず…
水?!
「それ、ちょっとでいいから下さい!!」
水を飲んでいるのが、喋る物体Xだろうが何だろうが構わない。
とにかく水、いいから水、何はともあれ水が飲みたいのだ。
「お~い、宮さん。
僕も水飲みたいけど、アレ怪し過ぎるよ。
喋るは手品で何か出すわ。
考えた方が」
上司の制止を振り切り、水しか目に入らないに近づく私は、アレがニヤリと笑うのに気がつかなかった。