第3章 あらすじ・人物紹介
【あらすじ】
第三次コスタ戦役が終わり、パドゥーラに日常が戻ってきた。
侯爵となっても釣りに出かけたがるアムルと、彼を仕事へ連れ戻すエル。財政を預かるティーエは予算と恋に頭を悩ませ、ロックは個性豊かな仲間たちに振り回される。学校では子供たちが学び、新しい水路の先では麦が育つ。戦場を離れた彼らには、守るべき暮らしと、それぞれの悩みがあった。
一方、食料不足に直面したセイレンでは、ジャンがパドゥーラとの取引を提案する。ユナとリックを伴って訪れた彼を待っていたのは、活気ある町と、常識に収まらない領主たちだった。
異なる国に生きる者たちの出会い。自分の進む道を探す若者たち。そして、ラレド侯パウロのもとにやって来る、少し変わった花嫁。
戦の合間にも、人々の人生は動いていく。
【人物紹介】
――パドゥーラ――
◆アムル=ドゥットゥカース
パドゥーラ侯。
戦役の功績によって侯爵となったが、気取らない暮らしぶりは相変わらず。仕事より釣りを好む一方、人の才能を見つけ、活躍の場を与える。エルとともに領地の発展を見守る。
◆エル=リージェット
アムルの幼なじみ。
政務から人材登用、領内の視察まで幅広く働く、パドゥーラの頼れる存在。領民からの信頼も厚い。アムルの怠け癖には厳しいが、二人で過ごす時間には素直な笑顔を見せる。
◆ティーエ
パドゥーラの主計長。
領地の財布を預かり、次々と持ち込まれる事業や予算の調整に追われる。数字には強いが、恋となると勝手が違う。下宿先のティファを大切に思う一方、歌姫シャンテにも心を奪われている。
◆ロック
パドゥーラ軍の副将。
豪快で口は悪いが、兵士たちの暮らしにも気を配る面倒見のよい男。戦のない日には、仲間たちへの突っ込みと予算の交渉に忙しい。
◆エヴァンス
パドゥーラ軍の副将。
銀髪の端正な容姿を持つ、落ち着いた人物。仕事では頼もしい常識人だが、愛する妻の話になると、普段とは違う一面を見せる。
◆リオ=グランディア
エルの従姉妹。
社交的で機転が利き、貴族や商人を相手にした交渉を得意とする。恋愛にも積極的。遠慮のない物言いで、身近な仲間たちにも容赦なく切り込む。
◆グランワルド
「パドゥーラの豪鬼」と呼ばれる武人。
かつて敵として戦ったが、今はアムルのもとで若い兵士たちを鍛えている。豪快な笑い声と圧倒的な力を持つ一方、娘には弱い。
◆ヴァン
パドゥーラ軍の軍師。
アムルたちを教えてきた先生であり、今も皆から一目置かれる存在。穏やかな物腰で相談に応じるが、必要なことはきちんと言う。騒がしい仲間たちを見守る大人。
――パドゥーラの暮らしを支える人々――
◆ティファ
鍛冶屋の棟梁ジウの娘。
ティーエが下宿する家で、彼の食事や身の回りの世話をしている。三つ編みと厚い眼鏡が特徴の、おとなしく優しい娘。引っ込み思案で、伝えたいことをうまく口にできない。
◆シャンテ
パドゥーラで人気を集める歌姫。
華やかな舞台姿と豊かな歌声で、人々を魅了する。熱烈なファンであるティーエはもちろん、都市同盟の文化に詳しいジャンをも感心させる歌い手。
◆リスデン子爵
パドゥーラの教育を支える人物。
かつて「奴隷子爵」と呼ばれながら、奴隷という名目で人々を庇護していた。今は学校を通じて、子供たちに読み書きや計算を学ぶ機会を広げている。
◆トネリー
灌漑事業を担う技術者。
先祖から伝わる用排水路図をもとに、失われた水利網の復旧を進める。荒れた土地を再び農地へと変えていく、パドゥーラ復興の立役者の一人。
◆ヴィルマー
都市同盟出身の農学者。
麦の品種改良と栽培指導によって、領内の食料生産を支える。トネリーの灌漑事業とともに成果を上げ、さらなる研究と農地の拡大に意欲を燃やす。
――都市同盟・セイレン――
◆ジャン=ワイズマン
セイレンで交渉や教育に携わる学識豊かな男。
食料確保のため、国交のないパドゥーラとの取引に活路を求める。数字と制度を見る目は鋭いが、ユナとリックに振り回されることも多い。働いても減らない借金が悩み。
◆ユナ=リズナー
ユマの妹。
明るく行動的で、ジャンのパドゥーラ行きを知ると、リックを連れて追いかけてくる。ジャンに好意を寄せ、旅先でも距離を縮めようとする。異国での出会いは、自分の生き方を考えるきっかけにもなる。
◆リック=リズナー
ユマとユナの弟。
姉の勢いに巻き込まれながらも、落ち着いて周囲を観察する青年。ジャンから学んだ知識を生かし、旅先でも調査に力を発揮する。家の将来と、自分自身の学問への思いの間で悩んでいる。
◆ユマ=リズナー
セイレン公。
都市同盟の改革を目指す一方、まず領民の生活を守らなければならない立場にある。食料不足と大都市の圧力に直面し、理想だけでは決められない選択を迫られる。
◆カール=マルテル
セイレンの主計長。
セントハイム出身で、ニコス大学で学んだ秀才。食料の確保だけでなく、都市同盟内の関係や将来の安定を重視する。パドゥーラとの取引をめぐり、ジャンと意見を違える。
――ラレドと王家――
◆パウロ=フランツベルク
ラレド侯。
アムルたちとは南北戦争以来の付き合いを持つ、実直な武人。複雑な生い立ちを抱え、家名や立場に縛られる苦しさを知っている。縁談を通じ、アイリーンと出会う。
◆アイリーン=ドラグーン
ドラグーン伯爵家の娘。
妾腹の娘として、実家では使用人同然に扱われてきた。姉の身代わりとしてパウロのもとを訪れる。気が弱く泣き虫だが、働き者で、人に対する優しさを失っていない。
◆カレリア
リービッヒ王国の王女。
パウロの姪。大貴族への複雑な思いを抱く一方、叔父であるパウロには幼い頃から信頼を寄せている。彼の人生の節目を、身内として温かく祝福する。




