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00.プロローグ

※昔に書いてた小説の書き直しです。気軽に読んでください。

 光が闇を挫き世界を救う、そんなありふれた話を知っているだろうか。


 そんな言い伝えがあると私みたいな光を使う能力は崇高に映るらしい。


 私からしてみれば"こんなもの"は崇高になんて思えない。


 この力は簡単に壊してしまう。命も、日常も、仲間も、私自身も簡単に。


 私は物語の主人公じゃない。誰かを救うヒーロじゃない。世界を救う英雄じゃない。


 生きるために殺した。敵を、敵と呼ばれた人たちを。


 生きるために壊した。他人の日常を、私の日常を。


 そうして、大切な仲間すら失った。


 何がしたかったんだ。どうしてこうなったんだ。そんな問いに答えてくれる人は居ない。もう、居ない。


 私の"光"はあまりにも多くの物を私から奪っていったんだ。


 光が世界を救うなんてありふれた話も実は、"闇が世界を守っていた"のではないだろうか。


 だって、光はこんなにも残酷で恐ろしいものなんだから。




 

 アラームの電子音が私の意識を叩き起こした。


 ぼやける眼を擦り目覚めたことを自覚する。


 憂鬱な気持ちを抑えて身を起こす。


 カーテンは白く光り、隙間からは初春の暖かい日が差し込んでいる。


 私に規則正しく起きる必要なんて無い。早起きしたって日課があるわけじゃないし、学校があるわけじゃない。


 それでも私が堕落していく事は何となく裏切りのような気がして朝の7時には起きるようにしている。


 この朝に意味はあるのだろうか。私がする呼吸に意義はあるのだろうか。


 もう生きている理由も分からなくなってしまった。それでも死んではいけない、生きなければいけない。


 私の命のために散った命がある。私の命を守るために犠牲になった仲間がいる。そんな責任感だけで今を生きている。


 ふと、机に置いた写真立てが目に入る。ピクニックに行ったときの写真。そこに映るのは私と璃久、澪華、朱音の4人。


 私の人生の中で一番仲が良かった3人だと思う。そんな彼女たちも居なくなってしまった。死んでしまったのか、まだ生きているのか分からない。


 彼女たちを忘れないために、無かったことにしないために私は生き続ける。


 それが私のーーー雪村真桜の責任だと思うから。

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