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プロローグ


太陽がサンサン。お前の未来は惨憺。んぅん。韻が良く踏めた。今夜のメインディッシュはお前だ長田。

先生はニヤニヤして言う。


「やめてくださいよ先生! いくら僕が露出狂だからといってさすがに皮膚までは脱げませんよ!」


「脱げるかどうかは関係ない。先生はお前のあきらめない姿勢が見たいんだ。こんなもんじゃないだろう」


「こんなもんだよ! 何言ってるんだよ! 誰が好き好んで人体模型になりたがるやつがいるんだよ!」


じゃあお前が人類初の志願者だ。良かったなぁ、長田。先生ほこらしいぞ。頭蓋を鷲掴みにした手に力が入る。最初は弱く、徐々に徐々に力は増し、頭の内側で聞こえちゃいけない音が聞こえ始める。


「痛い痛い痛い! ちょっとまって! ダメだって! 聞こえちゃいけない音鳴ってるって!」


「何言ってるんだァ? 先生には何も聞こえないぞ?」


そら聞こえないだろうよ! と、怒りと恐怖に悶えていると不意に視界の端に見知った顔があった。


「よお、長田。ダメだぞ全裸で学校来たら。先生にバレたらどうするつもりだよ」


「あぁ、ごめん加藤くん。もうバレてるしバラされそう。僕の身体が。てかもしかしてこの状況理解できてない?」


「はははっ、バカ言うなって。台風の豪雨の中興奮した小学生みたいに飛び出して、全部脱ぎ捨てた辺りで捕まったんだろ? 粗末なものぶら下げて」


「あぁ、よかった。引くくらい全部理解した上で助けるつもりがなかっただけみたいだ」


じゃあ遅刻するから。そんなことを言いながら親友(僕が思っているだけ)はさっさと校門へ足を踏み出す。相変わらず君は周りの奇行には我関せずなんだね加藤くん。でも僕が君を巻き込まないわけがないだろう。


「おい……離せって」


「離さないよ。先生が僕の頭を離さない限り」


「それってお前の頭が握り潰されたら解放されるって解釈であってる?」


「せめて君の制服にだけでも消えないシミを作ろうと思う。僕の血で」


必死に掴んだ加藤くんの肩は痩せ型で、筋張った身体はとても掴みやすかった。きっと先生にとっては僕の頭がそうなのだろう。そろそろどこかの血管が切れたのか視界が真っ赤である。


「おまえふざけんなよ! 死ぬなら独りで死ね!」


「そんな事言うなよ! 僕たち親友だろう!?」


「露出狂と親友とかマジで死んでも死にきれないから独りで死んでくれ」


んぅん。加藤。長田。二人だけでおしゃべりかぁ? 先生も混ぜてくれぇ。にちにち、にちにち、と。先生の首が伸びてくる。いや、それどうなってるんですか先生。もうシルエットだけ見たらエイリアンの亜種ですが。いやそれよりも。


「んぁああっ! 僕のヘッドパーツがもう限界だあっ! 加藤くん! いく! いくよ! ぶちまけるよ!」


「もう最悪なんだけどまじで。絶対他のやつに俺の親友とか名乗んなよ」


「安心しろぉ。すぐに加藤も長田と同じところに送ってやるから」


「なんで俺ロックオンされたんすか?」


ピシッ。おつむの耐久値がゼロになると同時かそれよりも僅かに早く、視界が激しい光に包まれた。次いで衝撃と焼けるような熱。遅れてけたたましい轟音。他の生徒たちの悲鳴。


全裸の同級生にもそれを握り潰そうとする教師にも驚かないのに雷には驚くんだな。


消し炭になって身体が崩れていくのを感じながら、そんなことを最後に思った。

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