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政治経済エッセイ

【マスコミが報じない】「辺野古基地問題」について【揉み消された代案】

作者: 中将

※基地が必要ないと言いたいのではありません。

 代案について議論が十分されていないのに強行されていること、

 無尽蔵にお金が投入される恐れがあること、

 県民意思が無視されていることの3点が問題だと感じております。

筆者:

 本日はご覧いただきありがとうございます。

 

 僕もちょっと前までは「玉城知事がゴネている」とばかり思っていた基地問題でしたが、ちょっと調べてみると様相が違うようです。



質問者:

 結構問題が複雑でよく分からないんですけど……。



筆者:

 国が言っていることと沖縄県が言っていること双方に主張が正しいことがあり、

全容が把握しにくい状況だからだと思います。


 僕の調査の結果では、政府の言い分に関して採点をすると、


・普天間移転の必要性はある          〇

・移転先は「辺野古」しか候補は無かった    ×

・辺野古移設に関してアメリカと合意はある   〇

・今の埋め立て方法に関してアメリカと合意がある×

・貴重な海洋生物が保護に関しては問題ない   △(×寄りではある)



☆あまり報道されていない重要事項 

・沖縄県民は少なくとも2019年の時点では7割以上が反対

・軟弱地盤の埋め立てに関して無尽蔵にお金がかかる。

・辺野古基地が完成してもアメリカが使ってくれるとは限らない。



 と、こんな感じです。



質問者:

 結構、複雑な感じですね……まず普天間基地の移設の必要性はそもそもあるのですか?



筆者:

 これはあると思っています。


 周辺には120カ所の学校や公共施設などが存在し、


「市民は絶えず墜落の危険性と騒音などの基地被害に曝されている」


と言う状況です。



質問者:

 基地ってしかし戦後すぐからあったようですけど、どうして最近移設が話題になっているんですか?



筆者:

 確かに普天間基地は戦後直後からあったようなんですけど、開店休業状態で閉鎖の可能性もあったようです。

 しかし、1968年頃からアメリカが方針を転換したようで米軍が本格展開されました。


 先日死去したキッシンジャー氏が国務長官に就任したタイミングだったので、現状資産を有効に活用して日本に圧力をかけるという対日政策に大きく転換した可能性がありますね。



質問者:

 なるほど、当初は活用されていなかったから問題もあまり無かったわけなんですね。

 最近は老朽化もあったようですし移転の話になったということですか……。



筆者:

 そうなります。

 しかし、普天間基地からの移転先について県民の意見が無視されているんですね。


 2019年の基地移設に対する住民投票においては投票率52.48%で新基地反対72% 賛成19%と圧倒的に反対の方が多いんです。


 次に辺野古にしか移転できないような雰囲気ですが、これも違います。


 米空母艦載機の陸上離着陸訓練候補地としても名前があがっている鹿児島県種子島の西方12キロにある無人島の馬毛島と言う代案もあったようです。


 所有者の立石建設会長でもある立石勲氏は馬毛島を普天間の移設先にすることに抵抗は無かったようなのです。



質問者:

 鹿児島県なら国防の観点からもあまり問題は無さそうですよね。



筆者:

 しかし、全く話題になることも無く立ち消えになっています。



質問者:

 辺野古の場所に関しては確定しちゃっているんですか?



筆者:

 1996年4月に橋本龍太郎首相(当時、以下同)がモンデール駐日米大使と合意し、

 2005年に名護市辺野古キャンプ・シュワブ「沿岸案」とする日米両政府の合意が残念ながらされているようです。


 しかし現在の埋め立て方法ではかなりのお金がかかります。


 工事には2022年度末時点で4000億円以上が投入されているのですが、

 防衛省が当初見積もった総工費3500億円でした。


 しかも、埋め立ての進捗率は全体の14%に過ぎないんです。

 最近になって9500億円に予算総額が引き上げられたのですが、まだまだ道のりは長く、現在の完成の割合からいって3兆円以上になってしまう予測もあります。

 当初予算の10倍程の規模です。



質問者:

 どうしてこんなに時間とお金がかかっているんですか?


 沖縄県側が嫌がらせをしているんですか?



筆者:

 それも多少は要素としてあるのですが、本質はそこでは無いように少なくとも僕は思いました。


 というのも、工事の難易度があまりにも高いのです


 南側は23年9月末時点で、計画の99.5%できているのですが、問題は面積の大半を占めている北側の大浦湾です。


 この地域は深さ90メートルにまで達する「マヨネーズ並み」とも言われるほどの軟弱地盤となっており、こういった改良工事は世界でも例がない難易度となっています。


 そのために順調に工事が24年1月から始められたとしても、完成するのが2032年以降。

 米軍が普天間から完全移行するのは2037年頃になるとNHKの11月8日の米軍関係者のインタビューで分かっています。


 恐らくはこれほど前例のない難しい工事ですから完成した後の維持管理も大変でしょう。

無尽蔵に資金が投入されることが予想されます。


 2015年頃から防衛相はこの事実について把握していたようですが19年まで伏せてきました。

あまりにも姑息と言えます。



質問者:

 底無し沼の埋め立てにお金をかけている感じじゃないですか……。



筆者:

 その表現は適切ですね(笑)。


 そういったことから玉城沖縄県知事は北側について


「必要な調査が実施されておらず、地盤の安定性が十分に検討されていない」


 などとして、変更申請を不承認としていたのです。

 これが来年には代執行されるそうです。

 


質問者:

 しかし、アメリカとこの場所で合意したからには仕方ないんでしょうか……



筆者:

 辺野古と言う場所に基地を建設することに関しては沖縄県民が“使えていない土地“だったので不服は少なそうですが、

 ところがこの場所を埋め立てなくても良いという案が存在したみたいなんですよね。


小泉内閣でイラク復興担当の首相補佐官だった岡本行夫氏の

「危機の外交 岡本行夫自伝」によりますと、

『リーフ(環礁)の浅瀬に撤去可能な滑走路1本を建設し、シュワブと桟橋で結ぶ計画だった。

埋め立て規模は3分の2で、総工費も大幅に抑えられる利点があった。海のヘドロを活用し、海水を循環させてサンゴを育成することで環境対策にも配慮していた。』


 と、埋立もせず環境にも配慮されてかなり画期的な案だったようです。


 2009年に発足した民主党の鳩山由紀夫内閣でも岡本氏はこの案を説明したそうですが、関係閣僚は賛成したものの、現行計画を作った技官らに抵抗され、立ち消えになったようです。



質問者:

 どうしてこんな良い案が消えたのか理解できません……。



筆者:

 この理由については僕の100%憶測になってしまうので参考程度にお聞きいただきたいのですが、埋立の方が「誤魔化しがしやすい」のだと思います。

 

 一般的な建設だと入札競争方式で価格が下げられてしまいますが、埋立技術を持った建設会社はそう多いとは思えません。


 値段設定が例え間違っていたとしても正直なところ分かりにくいというのが実情としてあると思います。

 不透明なところの方がお金を毟り取りやすいのでしょう。


 こんなところにお金をかけるぐらいなら国土強靭化にお金を使って減災をして欲しいところです。



質問者:

 結局は利権やお金ということですか……。



筆者:

 23年11月12日の東京新聞の記事では、


『米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題。

焦点となっている埋め立て予定地の軟弱地盤の対応を巡り、沖縄防衛局の設計変更にお墨付きを与えた技術検討会の委員2人が、就任した2019年9月以降に、関連工事の受注業者から計230万円の奨学寄付金を受け取っていたことがわかった。


 2019年9月に設置した。8人のうち半数が、旧運輸省OBの大学教授ら政府系出身者で、当初から審議の中立性や客観性に疑問の声が出ていた』


 と言う記事があります。


 ちなみに国の医薬品の承認審査などでは、公平性担保のために関係企業から年50万円を超える寄付を受けた委員は議決に加われないのですが、本件では平然と議決に加わっていたようです。


 それ以外の人間も政府関係者なので“出来レース”の利権絡みなのは明らかだと思います。



質問者:

 ほとんど意味のない外部機関なんですね……。



筆者:

これについて沖縄防衛局報道室は、


『各委員の研究活動が、技術検討会における議論の公正性・中立性に影響があるものと考えていない。各委員が有している技術的・専門的知見を基に、客観的に議論いただいているものと認識している。』


 と実に呑気な回答をしており買収や利益相反関係を容認しています。


 この買収された委員が現在の建設案を猛プッシュしていたということに全く話題になっていないのは恐ろしい事です。


 東京新聞が報道しただけにとどめるべきではなく、もっと追及していく必要があるでしょう。

 そして、辺野古で基地建設を行うにしても時間とお金がかからない方法についても模索するべきです。


 これらを報道しないで情報を絞り「大本営発表」ばかり行って世論誘導をしているマスコミは、政府のプロパガンダ広報機関であり害悪でしかありません。



質問者:

 裁判所も埋立の問題を考慮してくれなかったから代執行を許可してしまいましたね……。



筆者:

 そもそも最高裁判所の裁判官は内閣総理大臣が指名するので三権分立は崩壊しています。


 この問題は特に日米関係も影響しているので「高度な政治性」があります。

 裁判所が基地を否定する判決をしにくいという要素を持ち、政府寄りの審判を更に助長させていると思います。


 そう言ったことから、


 【アメリカ様を盾に胸を張って金を貪り取る】


 ことを容易に可能にしているわけです。



質問者:

 あまりにも酷すぎます……。



筆者:

 また、完成してもアメリカ軍が使ってくれるとは限らないという実情があります。

 実を言うとこれもあまり報道されていませんが、米軍は徐々に沖縄から撤退しているというのが現実なのです


 22年12月からは、沖縄の米空軍嘉手納基地を拠点とする計54機のF15戦闘機が、老朽化に伴い退役しています。

 退役後は新しい戦闘機を嘉手納基地に常駐させず、アラスカからステルス戦闘機F-22が6ヵ月ごとに入れ替わるローテーション方式で沖縄に飛来することになっています。

 

 また、2024年からは沖縄のアメリカ海兵隊がグアムに5000人規模で移転します。

 今後の情勢次第で変化はあるかもしれませんが基本的には沖縄の米軍は軍縮傾向にあるのです。


 こういう状況下の中、地盤が怪しい飛行場は完成したとしても優先的には使われないでしょう。



質問者:

 せっかくこれだけのお金と労力を使って完成しても使われないかもしれないだなんてあんまりですね……。


 環境保護についてはどうなんでしょうか?



筆者:

 辺野古北側の大浦湾一帯では絶滅危惧種262種類が見つかっていることや、いまも新種生物が発見されていることなども報告されているようです。


 ただ、絶滅危惧種に関して目撃情報も少ない事もあり生息と言えるのかな? と言うのが僕の感覚でした。


 サンゴ礁は環境省の調査によると22年9月に92.8%まで白化率が上昇していたものの23年には努力の甲斐あって50.2%まで改善したようです。


 国は埋め立て予定海域に生息していた4万群体の小型サンゴ類を既に移植し、さらに小型サンゴ類約8万4000群体などの移植するようなので意外と復活が早い可能性はありますね。


 ただ、この埋立てをしなければ無用なリスクだったのでこの工事によって生態系が変ってしまう可能性はあります。

 


質問者:

 なるほど、ここでも玉城知事の主張の方が正しそうということですか……。

 


筆者:

 辺野古基地問題に関しては玉城知事の言っていることは大方正しいように思えます。


 現在の辺野古基地案を強力に推進している政治家はよほど埋め立て会社などからお金を貰っているか、無知なのかのどちらかだと思います。


 ただ、玉城知事が中国との繋がりがある疑惑(一帯一路に対して前向き、国連訪問が外観誘致疑惑、尖閣問題について抗議をしない)もあり、かなり問題があります。


 先ほども申し上げましたが米軍が沖縄から撤兵している中でこの国防観では危険です。


 支持している人間の思想を鑑みても沖縄県知事に相応しくない人物であることは間違いないと思います。



質問者:

 沖縄県知事なのに中国寄りの思想があるのはかなり危険ですね……。



筆者:

 また、工事に問題があるからと言って支持者が“座り込み”をするのも問題ですね。

 法治国家ですので基本的には許可された抗議行動以外はダメだと思います。

 実際は大して“座り込み“してないらしいですけど(笑)。


 僕も正直、玉城知事には顔を見ただけで蕁麻疹が出そうなぐらい「アレルギー反応」があると言っていいんですけど(笑)。


 しかし、そういうイデオロギーの感情とは切り離して是々非々で物事を考えることが大事だと思います。



質問者:

 「あちらを立てればこちらが立たず」という状態なんですね。



筆者:

 残念ながら誰を選んだとしても沖縄県は何かしらの形でかなり苦しい立場にあると思います。


 “事実上の前線”にいますし、多少撤退したとしても日本にある米軍基地の割合が高いことも確かですからね。

 基地負担が住民の生活に影響を及ぼしている事実もあると思います。


(ただ、米兵が沖縄経済を支えている面もあると思います)



質問者:

 沖縄県の方々は私たちには分らない苦労をされているということですね……。



筆者:

 僕には沖縄県の知り合いがいないので憶測でしか感情は分かりませんが、

 日本で唯一戦地になった土地ですし、0と100では測れないものがあると思います。

 

 全員でないにしてもなるべく多くの沖縄県民が納得する形で基地問題が解決、そして国土が守れることを切に願いますね。


 現状のままでは政府からの“押し付け”にしか見えませんからね。



質問者:

 いつも思いますが情報を知っていたならもっとみんなの判断も変わってきますよね……。



筆者:

 マスコミの責任は重いと思います。気づいた人が草の根で発信するしかないからです。


 と言うことでここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は辺野古に移設はやむを得ないですが、その埋立方法に問題があるために時間とお金を無尽蔵に使い続ける構造があること、そしてそれを報道しないマスコミに問題があることを指摘させていただきました。


 やはりマスコミの言うことは“聞き流す”程度が適切だと思います。


 今後も時事問題や政治・経済、マスコミの問題点などについて個人的な視点で解説していきますのでどうぞよろしくお願いします。


 マスコミが情報を絞り「活動家」の方が感覚がまだ「まとも」と言う構図は、

 原発処理水放出問題と酷似していると思います。

 これも情報をしっかり出した上で国民の判断が「処理水放出賛成」なら問題は無いと思っています。

 併せてご覧ください。ncode.syosetu.com/n9015ij/

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