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ツインシオン  作者: Leo
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第三話「決意、そして旅立ち」

魔獣に村を襲われた次の日、僕たち四人はいつものように村の門の前に集合していた。

「みんなおはよう。無事でよかった」

そう僕は言う、僕の言葉に反応して三人も「おはよう」そう答えた。

「ユウは、けがはもう大丈夫なのか?」

エイトが僕に問いかける。

「まだ少し痛むけど、大丈夫だよ!アカネのおかげで傷口がかなり小さくなったからこれくらいで済んだって診療所のおじさんが言ってたよ!ありがと、アカネ!」

僕がそう答えるとアカネは少し顔を赤くし慌てながらこう答える。

「そんな!私は何もしてないよ!あの時はただ夢中で」

「それでもアカネのおかげで助かったんだよ、ありがとう」

慌てて答えるアカネに僕は改めて感謝を伝えた。顔を赤くしたアカネが何か思い出したようにこう切り出した。

「そ、そうよ!昨日私たちが使ったあの力は何だったの?」

「あの力は、魔術というみたいだ。昨日の夜父さんに言われたよ。それとすごいことも言われた」

そう答えるエイトの後ろから体の大きい一人の男性が近づいてきた。

「よぉ、みんなおはよう!いつもエイトと遊んでくれてありがとな」

近づいてきた男性が右手を上げはっきりと、そして力強い声で言いながら近づいてきた男性は現王国騎士長にしてエイトの父親その人だった。僕たちは驚きながらも挨拶をする。

「父さんからみんなに話があるらしい。昨日俺たちが使った力のこと、それと今後のことをな」

エイトが王国の騎士長である父親が来た理由を言ったのを聞くとエイトの父親は真剣なまなざしで語り始めた。

「まずみんなが昨日使った力についてだ。その力のことを魔術という。まず魔術はだれしも使えるわけではない、使える人間と使えない人間がいる。世にいう才能、というものだ。昨日君たちが魔術を使った時何か丸い模様みたいなものが出なかったかい?」

「はい、地面に紫色の何かが浮かび上がりました」

真剣な顔で聞いていたコハルが答える。コハルの発言に対し疑問に思ったアカネとエイトが

「え?私が見たのは黄色だったよ?」

「俺のは赤かったな」

疑問な顔を浮かべている僕たちを見てエイトの父親が話をする。

「君たちが見た模様のようなものは術式という。俺たちが魔術を使う時、その術式を展開して魔術を使っている。そして、君たちが疑問に思っている術式の色についてだ。魔術には属性というものがある。属性は十人十色、それこそ炎や風、水や雷それ以外ににも無属性の魔術、未来が見える魔術や空間を捻じ曲げたりする魔術だってある。そして、その魔術の属性によって術式の色も違うということだ」

「なるほどな、だから俺は炎が出たから赤い術式だったってことか」

納得したようにエイトが言う。

「魔術を発現する年齢は一般的には十二歳くらいと言われているが、実際は不明だ。お前たちのように十歳で魔術が発現する人もいれば、二十歳になる前に発現する人だっている。ただし、二十歳を超えてから魔術を発現したという人は今のところ現れてはいないがな」

「なら僕たちはかなり早くに魔術を発現したってことですか?」

「そういうことになるな!十歳で魔術を発現した人間なんかそんなに多くはないんじゃないかな。お前達にはかなりの才能があるってことだろうな!」

才能があると聞いた僕たちは少し笑みを浮かべながら顔を見合わせる。

「そんなお前たちにはこれからこの俺が特訓をしてやろう!そして、十三歳になったら王都にある王立魔術学園に入学して、将来この国のために戦う騎士になれ!」

「え、ええええええええええ」

その言葉を聞いた僕とコハルとアカネは驚きを隠せなかった。

「ちょっと待って」

驚いたコハルだったがあることに気づいたコハルが話を止める。

「王立魔術学園に入学するには魔術が使えない人も入学できるんですか?」

コハルは真剣なまなざしでエイトの父親に聞く。

「王立魔術学園に入学するには試験を受ける必要がある。基本的な筆記試験と実技試験が。もちろん不合格になるものもいるが、魔術が使えるってことが絶対条件になる」

「私とアカネとエイトはあの戦いの時に術式を展開して魔術を使いました。でも、ユウは」

あの時、僕は魔術を使った三人に助けられ、気を失った僕は魔術を使うことはできなかった。でも、昨日の夜母さんと話をしている時に魔術を発現させた。夜のことだったためみんなは僕が魔術を使ったことをみんなは知らない。

コハルの発言でそのことに気づいたエイトとアカネ、そしてコハルの三人は少し下を向いている

「大丈夫だよ、みんな!僕も昨日…」

話そうとした僕の言葉をかき消すようにみんなを元気づけたいエイトの父親が

「とりあえず特訓を始めよう!特訓をすると使えるようになるかもしれないしな!」

「そう、だな。とりあえず、特訓してみようぜ」

エイトの掛け声にみんなうなずいて答える。

「よし、ならちょっと場所を変えようか」

エイトの父親がそう言うとみんなで近くの川に移動した。

「一度無意識でも魔術を使ったみんななら少しのイメージをして、術式展開、そういうと魔術を使えるだろう。試してみな」

「なら、まずは俺が」

そう言うとエイトが川の近くに移動して右手を前に出す。

「手から炎を出すイメージで。術式展開!」

言葉に反応するかのようにエイトの右手に赤い術式が浮かび上がりその右手から川に向かって炎の玉が飛び出した。

「ほ、ほんとに出た」

自分の右手を見ながら驚くエイト

「すごいよエイト!」

僕を含むみんなが驚きながらもエイトを褒める。

「じゃあ、次は私が」

コハルがそう言うとエイトに代わって川に近づき右手を前に出す。

「…術式展開」

するとコハルの右手に紫色の術式が浮かび上がり右手から紫色の雷が川に向かって飛び出した。

「すごい!」

「紫色の雷だ!かっこいい!」

みんなでコハルを褒める。僕とエイトは紫色の雷をみてかっこいいと思い興奮している。

「なら次は私ね!」

元気よく飛び出したアカネが川に近づき右手を前に出す。

「術式展開!」

そう言うと、アカネの右手に黄色い術式が浮かび上がった。その直後右手からまばゆい光が辺りを包んだ。

「な、なんだ今の」

「これって、魔術なんだよね?

驚きつつも困惑する僕たちにエイトの父親が答える。

「ちゃんとした魔術だよ。それにしても、光と来たか。光はこの国でも相当珍しくてそれでいて神聖な力なんだ」

「へーそうなんだ!すごいなアカネ!」

それを聞いて嬉しそうにしつつも少し照れている様子のアカネだった。

「じゃあ、最後は僕だね!きっと民驚くと思うよ!」

僕の発言にエイトの父親以外が首をかしげるような反応をした。僕は川に向かって右手を前に出す。頭の中で昨日の夜のことを思い出しつつ右手から氷を生み出し川に飛ばすイメージをする。

「術式展開」

言葉に反応したように僕の右手に青色の術式が浮かび上がり右手からつららのような氷を生み出し川に向かって飛ばした。

その様子を見ていたエイトたちは驚き言葉を失っていたが、少しすると落ち着いたのか自分のことのように喜び駆け寄ってくる。

「すげえよユウ!」「いつの間に魔術使えるようになったのよ!」「さすがはユウだね!」

「ありがとう!みんな!」

笑顔で僕たちはくっつきじゃれ合う。

少し離れたところからこちらを見ていたエイトの父親が僕たちに聞こえない声の大きさで言う。

「あいつの息子なんだ。使えないわけがない。氷ではあったが、あいつと同じ青色の術式とはな」

ある男を思い浮かべながらそう言うと小さく笑みを浮かべるのだった。

そのことに気づかない僕たちはみんなで円陣をくみ決意しエイトが言う。

「よーし、これから特訓頑張って魔術学園に入学して、みんなでこの国を守る騎士になって、英雄になろう!」

「おー!」

エイトの掛け声に返事をしながらみんなで右腕を空に突き上げる。

その後エイトの父親の指導の下、三年間特訓の日々を送る。



そして三年後。

「それじゃあ、行ってくるね!」

十三歳になった僕たちはお母さんたちに見送られながら王立魔術学園の入学試験を受けるためエイトの父親と共に王都に向かって旅立つのだった。


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