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ツインシオン  作者: Leo
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第一話「才能」

僕は今幼馴染のエイトとアカネとコハルの四人でいつものように近くの森に遊びに来ている。僕とエイトは誰かを守り、みんなを笑顔にできる英雄になるため毎日木刀を振り、二人で剣の技術を磨ている。二人で勝負をしたりしているが僕がエイトに勝てたことは一度もない。

「ユウ、今日も勝負しようぜ!」

「う、うん」

そう言うと僕とエイトはお互いに木刀を構え、向かい合う。

「二人とも頑張って!」

コハルがそう言うとアカネが開始の合図を言う。

「二人とも準備はいい?勝負、はじめ!」

アカネの合図と同時に二人は勢いよく切りかかり体の前でせめぎ合う。

お互い力で押し合うが少しずつエイトに押されていく。力ではエイトには勝てないとわかっている僕は敢えて少し力を抜きエイトの体制を崩させる。

「うお!」

作戦通り体制を崩したエイトは前に倒れそうになる。倒れそうになるエイトを体をひねらせて左によけ木刀で切りかかる。

「これで!」

勝ったと確信した僕はエイトに向かって切りかかる。

「おっと」

体制を崩したエイトだったが左足を出してギリギリ体制を戻しユウの剣をギリギリで自分の剣で受ける。

「そんな!」

「今のは危なかった」

驚いている僕にエイトは少し笑みを浮かべそう答える。しかし、僕のほうが有利な状況にあると考えたユウはそのまま押し切ろうとするがエイトはユウのしたように敢えて力を抜きユウの攻撃を受け流し少し距離をとる。エイトの作戦により体制を崩したユウだったがエイトが距離をとったことによりユウも体制を整え再び向かい合い木刀を構える。

「おお」「凄い」

ユウとエイトの勝負を見て驚いているアカネとコハル。

「はあ!」

木刀を構えた二人が再び切りかかろうとしたその時、ドカーン!!!と村のほうから何かが爆発した音が聞こえた。

「なんだ!」

勝負をしていた二人は勝負をやめ、僕たちは村のほうを見る。そこには遠めに赤く光る火の手と黒煙が上っていた。

「大変だ」

エイトがそう言うとエイトに合わせたようにアカネが、「お父さんとお母さんが!」と言いながら村の方へ駆け出す。

「アカネちゃん!待って!」とコハルもアカネを追いかけるように走り出す。

「僕たちも行こう!」

「そうだな」

エイトはそう答え僕たちも村に向って走り出す。


「そんな…」

村に着いた僕たちが目にしたのは村を襲撃した魔物の群れだった。数人の衛兵たちが魔物と戦いつつ村人は避難をしている状況だった。

「お前たち!何をしている!早く非難するんだ!」

衛兵が僕たちに向かって言う。

「は、はい」

衛兵の言葉に従い僕たちも避難所に向かう。避難所には僕たちみんなの家族もすでに避難していた。

「みんな無事でよかった」

アカネのお母さんがそう言うとエイトのお母さんも「みんなケガはない?」と聞く。

「私たちは大丈夫です」「ケガもないよ!」

コハルとアカネがそう答える。

「本当に無事でよかった」

泣きながら近寄ってきたのは僕のお母さんだ。

「ちょっと母さん、なんで泣いてるんだよ」

僕がそう答えると母さんは、「あなたたちにもしものことがあったら…」と泣きながら答えそのまま母さんは「コハルちゃんも、無事でよかった」と言う。

「ありがとうございます。私は大丈夫ですよ」

笑顔でそう答えるコハル。コハルの両親は昔、僕のお父さんが死んだ戦いでコハルの両親も命を落としてしまった。その後一人になってしまったコハルを僕の母さんが引き取り今では一緒に暮らしている。

そんな僕たちの様子を微笑ましい様子で見ているエイトやアカネ、そのお母さん。そんな時だった、避難所の扉が壊されてしまい数匹の魔物が避難所の中に入ってくる。避難所には衛兵はおらず、戦える人はいなかったため悲鳴が飛び交う。

「ど、どうしよう、このままじゃ…」

ビビってしまっている僕にエイトが言う。

「俺たちで魔物を倒そう!」

エイトが木刀を片手に僕にそう言う。

「そ、そんな、僕たちじゃ無理だよ」

僕はそう答えるとエイトは僕にこう言う。

「今俺たちが戦わないと、母さんやアカネやコハル、村のみんなが死んじゃう。俺たちが守らないと!」

「で、でも…」

怖気づいている僕に向かってエイトが「俺たちは、みんなを守る英雄になるんだろ!!」

その言葉に僕はふと我に返り周りを見る。泣き叫ぶ子供たちや魔物におびえるアカネやコハルや村の人たち。そうだ、僕は英雄になるんだ。そう覚悟すると僕は木刀を握りエイトに向かって

「そうだね、僕たちは英雄になるんだったね、今頑張らないといつ頑張るんだって感じだね」

怖い気持ちがなくなったわけでは無いが少し笑みを浮かべながら僕はエイトに言う。

「そうこなくっちゃ!」

エイトはそう答えると木刀を構える。僕もエイトに合わせるように木刀を構える。

「魔物は三匹、倒しきれるかわからない。でも、やるしかない!」「俺の合図で二人同時に切りかかるぞ」

「わかった」

エイトがそう言うと僕はエイトの作戦にうなずき答える。

魔物の目線が違う方向を向いたときエイトが言う。

「今だ!」

「うおお!」

エイトの合図で僕はエイトと共に魔物に向かって切りかかる。不意を突かれた魔物は僕とエイトの木刀により外に吹き飛ぶ。

外に出た僕たちは魔物と一騎打ちの状況になる。魔物と戦ったことなどない、僕は防戦一方になっていく。一方のエイトは果敢に魔物に立ち向かっている。

「このままじゃ」

僕は何とか魔物の攻撃を防いでいる状況だ。しかしその時、もう一匹の魔物が僕に襲い掛かってきた。

「危ない!」

コハルの言葉のおかげでもう一匹の攻撃に気づくことができたが、魔物の爪が僕の左腕を切り裂く。

「うわあああ」

左腕を切り裂かれた僕は血の出る左腕の傷を抑えながら倒れこむ。

「ユウ!」

僕を見たエイトが僕の名前を叫ぶ。その瞬間エイトの戦っていた魔物がエイトに向かって襲い掛かる。エイトは魔物に気づくのに遅れ魔物の攻撃をかわしきれず右の太ももを切り裂かれてしまう。

「うっ」

攻撃を受けたエイトは右足をかばいながら魔物と対峙する。

一方倒れこむ僕を二匹の魔物が取り囲む。

「うう」

痛みや恐怖に襲われ僕の目から少しずつ涙が零れる。その時、二匹の魔物が僕に向かって襲い掛かる。

「ユウは、死なせない!」

そう言いながらコハルが僕を守るため魔物と僕の間に立つ。コハルは泣きそうな顔で叫ぶ。

「ユウは私が、守るんだあああ!」

そう叫ぶコハルの足元に紫色の術式が浮かび上がる。術式が浮かび上がった直後、襲い掛かってきた二匹の魔物に紫色の雷が襲う。雷に襲われた二匹の魔物は黒焦げになりその場に倒れる。

叫び終わったコハルは僕のもとに駆け寄ってくる。


そのころエイトは右足をかばいながら戦っていた。しかし、軸足を負傷したエイトは防戦一方となっていた。エイトは魔物の攻撃を木刀で受けきれず倒れてしまう。

「エイトおお」

その瞬間、アカネがエイトを守ろうと走り出す。それを見た魔物が標的をエイトからアカネに変えアカネを襲おうとする。それを見たエイトは痛みに耐えながら立ち上がりアカネを守ろうとアカネを右手で押し身を挺してアカネをかばう。

「うあああああ」

アカネをかばったエイトは右腕に傷を負ってしまう。そんなエイトにアカネが駆け寄る。

エイトは痛みに耐えながら魔物をにらみつける。エイトは触れているアカネの手が震えていることに気づく。

「家族も、友達も、村のみんなも全員、俺が守るんだあああああ!」

そう叫ぶとエイトは左手を魔物に向かって出すとその左手に赤い術式が浮かび上がる。

「うおおおおお」

叫ぶエイトの左手から炎が飛び出し魔物を包み込む。炎が消えると魔物は跡形もなくなっていた。

それを見たエイトはその場に倒れる。倒れるエイトをアカネが支える。

「エイト、ごめん、私が出てきたばっかりに…」

泣きながらアカネは痛みに苦しむエイトに向かって言う。その瞬間、エイトを支えるアカネの自然に黄色い術式が浮かび上がる。術式が浮かび上がるとエイトは光包まれエイトの傷がみるみる治っていく。術式が消えるとエイトの傷は何事もなかったかのように治っていた。

「アカネ、これって」

驚いているエイトにアカネも、「わからない」と答える。

「そうだ、ユウは」

とエイトが起き上がり僕のもとに走り出す。


「ユウ!大丈夫?ユウ!」

コハルが僕を支えながら訴える。僕は痛みに耐えながらエイトたちの戦いを見てこちらに駆け寄ってくる二人を見て気を失った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] とてもストーリー性があって読んでいて続きが気になっていきます。 だんだんとユウ達がこれからどうなっていくのか楽しみです! 素晴らしい作品だと思います! [一言] 最高ォォォォォォォォ
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