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新星  作者: 煌煌
第十三話 創造
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創造

 戦闘と呼ぶにはまだまだ満たない、数回の小手調べを終えた。いくら繰り返しても相手と僕の速度差が埋まることはなく、ただただ巨腕は空を切る。変化が見られるのは、視線の先にある顔にのみ。眉をひそめ、大きな目を細めた神。

 己より強いモノに初めて会ったのだろう。


「あなたが出てきた時に、私一人では勝ち目がないことなんて解っていたわ」


 僕と。いや、コウリュウと正面から視線をぶつけることもできぬ様子。負け惜しみにもならない台詞が、相手の心情を表す。もしも自滅でもされたら厄介だな。


「私の能力も丸裸にされているのでしょう。だとしても、簡単に負けられないの」


 パールたちに似た声質。だが、彼女らとは温度が違う。自身の置かれた状況を理解し、震えるほどの揺らぎを見せながらも、言葉の中には他人事のように冷めた部分がある。

 再生や輪廻を断ち切ったとしても、他にも無数に手立てはあるのだ。やり直せるという自信。もしくは、今の生に執着がないのか。氷のような触感が意味するものを掴まねば。


「聞かされたよりも冷静なのね。これなら、まだまだ足掻いてくれそう」


 コウリュウの腹部辺りに熱。飛び退くと、今までいた場所に爆発。能力を使ったものであれば、近接攻撃以外も意味をなす。だが、空間をねじ曲げる程度では、威嚇にも不足。

 敵は僕に注意しつつ中国へと後退。間には障壁のつもりか、いくつもの爆発を配置。


「バリアの中に逃げ込まれたら、こちらには不利だ。そいつの撤退は防いでくれ」


 パールの声色に変化はない。目の前にある紫色の歪みが、僕を止められるものではないと知っているから。だからこそ、思いきって飛び込めるというもの。




 パールの言葉を聞いてから動いた。相手にすれば間髪入れずに追ってきたように見えるだろう。実際には攻略の手順を考える程度の余裕はあったのだけれど。

 空間の歪みに構わず直進。触れる前に神覚で覆う。予想通りにダメージなし。紫を破きながら敵のもとへ向かう。


「次元の裂け目なのよ。少しくらい戸惑ってくれてもいいでしょうに」


 やはり熱の籠っていない言葉。生に無頓着な色気のない声。違和感はある。時間を掛けゆっくりと敵の逃げ道を塞ぐべき。分かっていても、バリアの中までは追えないのだ。

 イメージ。敵の能力を無効化し、僕の創りだした空間に転送。そして永久に繋ぐ。




 コウリュウの前に銀色の筒が出現。掴むと赤い光が刀身を形作る。動きは流れたまま、女神の腹部へと接近。相手の意識は剣を握る右手へ注がれているが、間に合いやしない。

 右から左への横薙ぎ。防がれるはずもなく命中すると、イメージしたままに敵の能力を封じた。前方に転移穴が開き、斬撃の勢いに押され、神は背中から純白の空間に進入。

 無事に入り口も閉じ、何も問題はなく終えられた模様。あとは奴の起こした天災を無力化し、パールのもとに帰るだけ。




「終わったと思ったのでしょう。でも残念」


 まだ遥か遠く。消え去った神を迎えるために開いていた中国のバリアの向こう側。響く冷ややかな声。コウリュウが映し出したものは、無数の、形だけが作られた微笑み。


「だから言ったのよ。もっともーっと造っておくから、星の終わりまで楽しみましょう」


 今の距離でも倒す術ならある。けれども、僕たちにはできない理由もあるのだ。




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