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新星  作者: 煌煌
第十三話 創造
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天地

 地底から天へと射す光。機体越しにも全身に温かさを覚える。馴染み深い熱。真新しい鎧。二つを精神で調律しつつ上昇。地上の神には既に見つかっている様子。空へ到ると、視線の鋭さが増した。子供たちから意識を逸らすためにしたこと。成功と言えるハズ。

 確かに彼女の言う通り。本来ならば今頃は勝負が決している。僕の存在に気づいた相手は、肌感覚からしても既に敵意が剥き出し。だとすれば、まだ接敵していない状況が相手の実力を示す。真珠たちは制圧し終えているのだから、離れられない訳でもないのだし。

 とはいえ、ヒトの持つ五感では捉えることのできない領域にいるのは確か。神覚を周囲に巡らせられないのは圧倒的に不利。音と光を超えた世界にあって、機体に触れる相手の存在感のみを頼りにせねばならないのだ。




 ようやく巨大な女性に動き。シンセイから腕を引き抜くと反転。僕の方へ体を向けた。

 相手が翔ぶ。風圧が起きる前にケリをつけないと、光悦たちの機体が地形もろとも吹き飛ぶだろう。細かなコントロールをせず環境を顧みない動作。星そのものを壊すやも。

 相手が動いたことで接敵が早まった。今回の敵は僕の出方を窺いもしない。止まることなく勢いの乗った手刀。真珠たちと相対した時よりも、数段速い。

 僕のおおよその位置が掴めているらしく、奴の手は胸部へ迫る。神覚を周囲に巡らせていれば、既に回避は済んでいるだろう。だが可能な範囲で最大限を成す。彼女との約束。

 機体に触れる敵意が歪む。ヒトのいられる空間ではないのだし、僕の正体にも勘づいているということ。多少ならずとも細工はするだろう。ただ、小細工でしかないのだが。

 空を切る敵の拳。


「私が当たりを引いたのね。間違いなく同族だもの。しかも、私よりよほど強い」


 いくらフェイントを掛けたところで、僕が手の届く位置にいなければ意味はない。能力を使えば別だが、我々のいる世界なら単なる衝撃波など無用。全てが遅いのだ。




 二つあるハンデの内、一つ目は問題ない。次をクリアするためには、神の中を探る必要がある。敵の能力を理解しなければ、攻撃をするのも危険。

 背後に回り込んだ僕へと奴が体を向ける。倍近くはある巨体の、隙だらけな後頭部に手を置く。五機の悪魔が使う魔法は当然、存在自体を消す能力。超再生。空間断絶。

 一度に全てを読めはしない。次のチャンスを窺うために距離を取る。十分に間隔を作り深い呼吸を終えた後。僕のいた位置に大きな手が通ったのが見えた。

 視覚が作用するハズのない戦闘。なのに、しっかりと敵の姿が映る。

 真珠よりも、彼女と似たプロポーション。女性的な丸みを帯びつつ、引き締まった体。

 人の求めた理想そのもの。だけども、僕の知る彼女には遠く及ばない。見た目は再現ができたとしても、本当に大切なものまでは、写せはしないのだ。




「コウリュウだって私が作った物なんだぞ。この世界最高の技術がレンを守るさ」


 目の前の存在とは違い、凛々しさの中にも温かみのある清らかな声。得意気な口調に、唯一無二の芸術品を思い出す。


「どういう仕組みか分からないけど、キミの出してくれる物はいつもそうだもんね」


 僕はただ、状況を受け入れるのみ。不思議で素敵な贈り物を心に刻みながら。


「あとは僕の番。やってみせるよ。パール」


 神覚が捉える巨影は、僕の大切な存在よりちっぽけ。本来なら比べる相手もないほど。




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