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新星  作者: 煌煌
第十二話 再臨
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統一

 真珠と弥生に挟まれたのが、光悦以外では発生することのなかった空間。また、三人の他に何者かがいた場合にも然り。結び付いたのは、ジンセイの構造と彼らの精神がゆえ。


「弥生ちゃんは本当にそれが正しいんだって思ってるの? 戦いもせずに終わるのが?」


 険しい顔を見せる弥生に対し、真珠と光悦は穏やか。時の流れに関係しない。無限の広がりを持つ光の中。彼女たちの一言一言が、いくつにも別れる未来の行き先を決める。


「分からないよ。大きくなっても、私はまだ子供なんだもん。大人に言われたら、変だと思っても、正しいのかなって思っちゃうよ。まだ自分でなんて、決められないよ」


 真珠の問いに、弥生は上手く答えられない様子。言葉に詰まり、思いも表せない。表情の変化からも、不安と悲しみが読み取れる。少女に口にさせるのは酷。だとしても、今の状況に向き合わせなければ、彼女を取り戻せはしないだろう。光悦が笑みを浮かべた。


「俺だって何が正しいかなんてわかんねぇ。けど、人の命を勝手に決めるのは間違ってるだろ? 人のジンセイを決めるのは、神でも俺たちでもねぇ。自分自身だ」


 光悦の言葉はまっすぐで強く、けれども、普段と変わらぬ温かみを持つ。妹へと向ける眼差しも。三箇月前と何ら違いはない。大人の容姿になったとしても、二人が刻んできた時間がなくなるわけではないのだから。


「でも、マルスに乗ってるのに、兄ちゃんの所に戻れる訳ない。怖い天使なんだもん」


 複雑だった弥生の表情は、一つの感情だけに埋め尽くされた。伏し目がちに話しつつ、兄の顔色を窺う彼女。紫の瞳に映る青年は、視線を逸らさず微笑んだまま。


「俺の乗ってるジンセイだって、さっき勝手に動こうとしたしな。けどよ。そいつを制御するのがパイロットの仕事だろ。俺ができることなら、弥生にだってできるさ」


 重なる線を伝い、想いが走る。妹へ届いた熱量は、体と瞳の緊張を和らげた。

 揺れる瞳から溢れた滴が頬を濡らす。


「私、みんなのところに帰っても良いの?」


 弥生の問いに、光悦は優しく頷いただけ。言葉での答えは、もう一人の繋がりから。


「おかえりなさい。弥生ちゃん」




 弥生から黒が消えていき、三人は目映い光に抱かれる。だが突然、マルスから迸る力。少女の体を包む紫黒色。真珠と光悦はすぐに駆け寄るが、厚い壁に阻まれて救えない。


「神様の力だって。私は思い通りになんて、ならないもん!」


 抑え込もうとする何者かの意思を、弥生の叫びが斬り裂く。闇の中から漏れる輝き。


「今度は渡さない。絶対」


 真珠の願いをシンセイが叶える。ジンセイが思いを繋げ、弥生へ明け渡す。

 紫極から突き出す光は広がり続け、二人を求めて伸ばされる一本の細腕。


「あぁ。三人で帰ろう」




 空間は開き、世界と交わる。閃光の中には三体の機影。力を出し切ったのか、寄り添いながら全てが地に伏した。周囲が色彩を取り戻した後にも、彼女らを邪魔する者はない。




 災厄の依り代は、今は遠い戦場に。


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