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新星  作者: 煌煌
第十二話 再臨
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覚醒

 真珠が斬り上げれば、弥生が斬り下ろす。剣筋はぶつかり合うが互いの力に弾かれる。何度も交差する白と紫の光。衝突の後には、空を彩る闇に大穴が開く。


「やっぱり、この空は弥生が作ってるのか。だったら、全部戻せば気も晴れるのか?」


 マルスの纏う紫のオーラ。空を埋めていた黒雲。二つは結び付いているのか、地上に陽が届くほど、少女の影は大きさを増す。光悦の参入で、複雑に絡み合う剣戟と心。




 シンセイが水平に剣を動かせば、マルスは高度を下げ回避。反撃の斬り上げを盾により防ぐも、真珠と弥生の距離は開く。すると、間に割り込む光悦。ジンセイの回し蹴り。

 盾での防御により弾かれ、マルスは体勢を崩している。頭部を狙い放った蹴りは、回避されるハズはなかった。しかし、小さな笑い声を残して弥生は転移。

 空振りの後に生まれた衝撃波が天を裂く。


「ほら。黒い雲は取っ払ったぜ。弥生だって綺麗な空の方が好きだろ」


 構えを解いたジンセイ。晴れ渡る空と似た温かさを放つ光悦は、真っ直ぐに妹を見つめ話した。少女の纏う紫が揺らぐ。


「そうだね。綺麗な方が好き。だから」


 立ち上るオーラはマルスの内へ消え、弥生の声は青い空に善く響いた。


「人のいない世界を創るんだもん」


 青を奪い去った紫の影。発生源である弥生の周りは色濃く、別世界への入り口のよう。勢いのあった光悦でさえたじろぐ。すると、深淵から彼へと向かう、漆黒の矢。

 世界を殺しながら進む破滅。空気を歪め、存在を潰す。兄である光悦を終わらせようという、弥生の決意。以前のマルスが放った物と同種であろうが、別格の絶望。




 光悦へと集約していく闇。背後にいる真珠にも終わりの意志は見えていた。シンセイの中にある純白。外の暗黒。拡張された感覚も必要のない、はっきりと別れた二色。救世主としての。いや、弥生や光悦、友を想うヒトとしての深紅の決意。


「私は嫌よ。何も分からず終わるのも、何もできずに、せずに終わるのも。それ以上に、弥生ちゃんにそんなことをさせるのは、嫌」


 シンセイは真珠の心を体現する機体。名に込められた願いの一つ。心により製する力。物だけではなく、事象までも操る神の願い。真白なる輝きが、光悦へと伸びる。




「神様が来てみんな消すのよ。悪い人も良い人も関係なく、全部。だから、私が、私たちが少しでも楽に終わらせてあげるの」


 白と黒が混ざった空間。不思議にも目映い煌めきに囲まれた中に、真珠と光悦、そして弥生の姿。機体もなくただ三人のみ。想いを叫ぶのは、少女だった存在。

 長く伸びた茶色の髪。スリムなのに女性的な魅力を持つ体躯。他の二人が彼女を弥生と認めるのは、均整の取れた顔にある透き通りながらも愁いを帯びた紫の瞳のためか。

 否。今の三人には容姿など関係なく、相手を正しく受け止められているのだろう。




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