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新星  作者: 煌煌
第十二話 再臨
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意志

 距離と時間を考えても、真珠と光悦の戦域にゲイルが到着していて当然。ではなぜ、彼が増援として現れないのか? 答えは簡単。シンプウの戦闘が終了していないからだ。


「ねぇイケメンさん。舞とは進展ありましたかぁ? この三箇月の楽しみの一つなので」


 挑発の意図を隠す様子もなく、以前には考えられなかった流暢な日本語で話す人物。茶と緑は岩塊とともに横たわり、本来なら誰もいなくなっていた戦場。マルスには及ばないものの、高速で飛び回る黒の悪魔があった。地上には翻弄されるだけの青竹色の騎士。


「答えてくれないなら、メインディッシュを頂くだけですよ? 舞の泣き声。楽しみぃ」


 二機が交わるたび。いや、黒い悪魔の攻撃のたびに、周囲には衝撃が広がる。音は追い付くことを許されず、遅れて駆けるばかり。かつてシンライだった物が緑の竜巻を超える速度を誇るとは、ゲイルにとっても予想外であったらしい。影も映らぬモニターを睨む。


「なぜ彼女を傷つけようと思う。友人なのは間違いなかったろうに」


 コックピット前に交差させた小太刀に、黒の得物が触れた。彼女の手には十文字槍。振り下ろした一撃に、シンプウの足下が沈む。


「友達だから、舞は私が送ってやるのよ。他の誰にも譲らない。私だけのたのしみ」


 防御などお構いなしに穂を押し付ける黒の悪魔。ヒビが走り、視覚にも捉えられそうなほどに悲鳴をあげる大地。シンプウの腕が、胴体へと近づく。


「そんなことを私は頼んでない! 私は少しでも長く生きたいの! 大切な人たちも一緒に、歳を取っても笑っていたいよ。タハダも一緒に。そうでしょ」


 舞の叫びが生じたのは、黒の悪魔から。元がシンライだったことで、基地の通信を傍受した様子。一瞬、タハダの動きが止まった。沈みゆく中。ゲイルは僅かな好機を掴む。

 右側へと重みを流す。彼の動きにタハダも気付くが、もう遅い。体勢を立て直す一秒に満たない隙。上昇しつつ回転を加えた攻撃。脆いはずの継ぎ目を的確に突いたゲイル。

 シンライのパーツは崩れ、地に伏す悪魔。機械とは思えぬ、不規則な痙攣を起こす。


「やっちゃいましたね」




 舞の思いが轟いたのは、真珠らの戦場とて同じ。相手の動きが止まったことも。


「今のうちに羽織っておいてくれ」


 ジンセイは片手に持っていたマントを両手で広げると、シンセイの背中に掛けた。何の変哲もないように見える深紅の布。なのに、サイズまで調整し両肩の間で自動的に固定。


「ゲイルさんの物とは機能が違うらしい」


 オートで装着されたのは、人工知能による機能だろう。重要なのは光悦の言うマントを羽織った目的の方。真珠は先程までと比べるまでもなく、落ち着きを取り戻している。


「ええ。大丈夫。全部判るわ」


 マント自体による機体性能の向上はなく、シンセイに与えた影響は、感知力の進化。敵味方の区別もなしに流れ込む心。真珠が落ち着いたのは、才能と性格。自身と仲間。

 彼女を形作る全ての力。


「これからが本番だね。お姉ちゃん」


 もう一度溢れる影。五感以外だけでなく、視覚でも捉えられるほど巨大な闇。けれど、自信と冷静さの戻った真珠には笑顔。騎士の中は純白が湛えられている。


「ええ。弥生ちゃんの気が澄むまでトコトン付き合うわ。お兄ちゃんも一緒にね」


 真珠は感応力が上がったことで、マルスの搭乗者が弥生本人であると確信した様子。

 深紅が少女を見つめても揺るがないのは、今度こそは必ず助けるという決意の表れ。




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