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新星  作者: 煌煌
第十一話 堕天
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回天

 同じ北海道内とはいえ、遠く離れた戦場。真珠とゲイルも通信などしておらず、得物が異なる二機の動きが似ているのは、訓練の、努力の賜物。白の領域へ踏み込んだエース。


「恐ろしい性能だ。マント一つでこうとは」


 剣戟の最中。地上で見守る親子が二つ前の衝突を捉える速さ。目まぐるしく流れる景色とは逆に、ゲイルは冷静で穏やか。数手先を読んでいるかのような展開力。幾多の操作と処理を行っているとは思えぬ余裕。錬一特製のマントだけでは得られなかった成長。

 茶色の獅子はマッシブな見た目通りに装甲が厚いらしく、シンプウの小太刀を腕で弾き続ける。しかし、手数の多さに捌き切れてはおらず。傷を負っているのは間違いない。


「まずは一本。いや、三本目か」


 小太刀を重ね、一本にしての大振り。右上から左下への斬撃は、二つの衝撃を同時に敵へ与えた。振り抜かれた一太刀。宙に舞う茶の腕。直後、シンプウは突きの構え。

 防ぐ腕もなく、がら空きの胴体へと向かう剣。労することもなく悪魔の一機を討ち取るかと思った瞬間。シンプウの腕が何かに突き上げられた。姿勢を崩す前にゲイルが退く。

 天空の戦場に現れたのは岩山。


「ならば」


 またもマントを翻し、もう一機へと剣を向けると直進。戦力を削いだ後に手強い相手を叩くつもりなのだろう。風で阻まれたとしても、今のゲイルを抑えるのは不可能。


「今回はこちらの勝ちだ」


 貫くために伸ばされるシンプウの腕。周囲に木霊する鈍い衝突音。二機が静止したことにより、親子にも届く情報。目に映っているのは青竹色の騎士のみ。




「投降しなさい。聞きたいことは山ほどあるんだから。負けを認めて大人しくして」


 転がっている数多の氷塊。至る所で燃える大地。共存するはずのない景色の中。真珠は地に伏せた二機へ語り掛けた。だが蒼い月は右手を突き出し、五本の敵意を白に向ける。

 放たれる水流。当然、真珠にはお見通し。射線上に彼女の姿はなく、蒼い悪魔の右側に着地すると剣を振り下ろす。切っ先は右肘を捉え、相手の攻撃手段を奪ったかに思えた。

 直後に起きたのは大爆発。ディアナのいた地点から広がる風。僅かに残っていた木々を薙ぎ倒し、炎を連れ去った。残されたのは、地面を抉ってできた穴と、傷付いた白騎士。


「なんで自爆なんて」


 悲しみの視線を、ディアナのあった場所に刺す真珠。なのに、降り注ぐ大粒の雹。一つで車を押し潰せるサイズの氷の塊。自然現象のはずはない。出所を探る紅い瞳。


「まずい」


 先に敵を捉えたのは持ち前の能力。自身に押し寄せる悪意と危機を掴んだ模様。

 ほぼ同時に弾け飛ぶ雹。いや、氷の機雷。シンセイに近い物から爆炎を巻き上げ破裂。高速で回避していてもキリがない。無制限に続く攻撃の出所を叩かない限りは。


「黄色から先に倒さないと」


 いつの間にか少し離れた位置にあった黄色の太陽。シンセイを指差す。すると、彼女の付近で起きる爆発。攻撃の主なのは明白。


「調子に乗らないで!」


 速度も乗せた斬り上げ。真珠の意思は確かに敵を裂いた。けれど、目の前にあるのは、炎の残滓。もう一度起こる大爆発。救世主に回避するだけの時間はない。




 離れたゲイルまで危機にあるのは、先程の同調がゆえか。緑の竜巻を覆い尽くし、銀を阻む岩山。ドーム状の城は、三十年前を思い出させるよう。


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