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新星  作者: 煌煌
第十話 シンジュ
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シンタク

 翌日。シミュレーション内で光悦の隣にはゲイルの姿があった。今も二人の体は基地の端同士にあるが、背中合わせに次々と敵機を落とす彼らの精神は、確かに繋がっている。


「未熟者同士、高め合うこともできるさ」


 誓い通り、自身のやり方で憧れる存在へとアピールする二人。背中から彼を見守る舞も同じ。光悦との訓練は、彼女が真珠へと持ち掛けたもの。嬉しげな様子にも納得がいく。




 二組の男女が放つ熱気に挟まれて、基地の中央に立つシンセイ。主の充実した表情など知るはずもなく、足元の錬一を見つめる。彼は娘たちとは違って険しい顔。

 深呼吸の後。両手をシンセイへと着けた。基地の修復作業を終えた錬一は、連合本部に出向いて今後の対応などを話していた模様。毎日のように行われていた交信も久しぶり。


(日が空いてしまい申し訳ありません。元帥も手は尽くされたのですが)


 予想を上回る敵機の性能。弥生が奪われた件の説明。タハダとカザンツェフの裏切り。錬一でも知らないことまで詳細を聞かれて、疲れきっているらしい。表情の理由だろう。


「まずはお疲れさまと言っておこう。弥生の奪還は光悦を含めた三人に任せる。タハダの裏切り、軍事的な問題はシンセイの技術か」


 三箇月とタハダが言ったのは、シンセイのパーツを解析する期間だろう。簡単に技術を盗める訳はないが、敵機の性能を鑑みれば、不可能と断言することもできない。

 但し、真珠が搭乗しなければ、魔法の力を制限なしに使えはしないのだが。


(そこがコスモスでも問題になったのです。もしもシンセイと同等の敵が現れたら、と)


 人は追い込まれたとき、今よりも悪い状態を思い描きやすい。最期の時まで自身の精神を安定させるためだ。連合首脳陣の気持ちも分かる。現状でも負け戦が続くのだから。


「どちらにしてもシンライを強化する必要があるだろうな。今回も私は手を出せないが」


 寂しげな声が響く。透明感も相まって、消えるのではないかと思うほどに。


(以前お話ししたSFの改良案。アレを実行しようと思っています。問題はありますが)


 守るためでも、集団で強力な兵器を持てば意識は変わる。だが、シンセイ一機で全てを保てるほどに、地球は狭くない。


「時間はなくとも、無理するなよ」




 交信を終えた錬一が手を離す。顔色が少し戻ったのは、彼女の力によるもの。癒すことしか許されない、不自由な誓約。


「もしもの備えも用意しなければな」


 決意に満ちた顔は、一段と光り輝く。




 錬一は古いデータを映しだした。シンライを設計した時に、本部へ提出する直前に書き換えた項目。重力を緩和させる技術を用い、機体を浮遊させる装置。


「シンライ全てがマッハ十で飛ぶ。敵の量産タイプと同等にはなろう。だが、良いのか」


 彼の視線の先には、自身の妻の写真。


「でもやるって言ったんでしょ?」


 聞き慣れた女性の声に振り向いた錬一。瞳に映されるのは、今までと同じ人物。




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