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新星  作者: 煌煌
第一話 英雄
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プロローグ

 一九九九年。誰にも知られることなく地球へと降り立った恐怖の大王。人智を超える物とは知らぬ中国の研究機関が回収。世界へと公表されることなく、人類へ破滅をもたらすための力を蓄え始める。

 二十年の時が過ぎ。予言者の忠告など誰も気にしなくなった頃。新種のウイルスが中国から世界へと広がった。




 二〇二九年。変異を繰り返し、世界を混乱させ続けるウイルスへの賠償を、アメリカを始めとする連合が中国に請求。しかし、中国はのらりくらりと支払いを拒み続け、一年の歳月が流れた。

 二〇三〇年。業を煮やした連合は中国へと軍を派遣。本来は威嚇を目的とし、武力衝突など起こす予定はなかったようだが、中国が展開した部隊と接触。連合側の勧告も虚しく戦闘へと突入。圧倒的な数を誇る連合艦隊が当然の勝利を収め、中国本土へと進軍。

 翌日。中国本土を射程に捉えた連合艦隊。昨日より数を増やした彼らは最終勧告をし、相手の出方を窺った。全世界が確信していた中国の降伏。

 だが、予想外の事態が起きる。連合の艦へ放たれた砲弾。(たちま)ち撃ち合いが始まり、昨日の光景が繰り返されるものだとテレビ中継を観る誰しもが思ったであろう。




 しかし、上海の町に突如として現れた三十メートルはあろう五体の人型機動兵器。連合艦隊が放った空を埋め尽くすほどのミサイル群を、瞬く間さえなく消し去った。

 蒼・緑・黄・茶・紫。それぞれ異なる見た目を持つ五色の機体は先程と打って変わり、敢えて人が視認できるよう、ゆるりと動く。世界へ恐怖を植え付けるかのように。

 黄色の太陽が伸ばした右手。すると示す先に炎が上がり、海ごと艦隊を燃やす。

 次に蒼い月が左手を天高く上げる。すると海が裂け、燃える塊を地の底へと誘う。

 茶色の獅子が大地を蹴り下ろすと、全ての艦を岩のドームが包み込む。

 緑の竜巻が両手を広げた。すると逃げ場を取り上げられた艦隊を旋風が持ち上げ、岩の壁へと叩き付ける。

 紫の影は動きさえしない。意識だけを連合艦隊に向けると、恐怖に震える約二万の軍人たちの存在を消し去った。




 泣き叫ぶ屈強な男たち。異様な巨大兵器。映されたモノは世界中を混乱させるには充分であった。

 圧倒的な戦闘力を持つ五機により、地球上全ての都市が蹂躙されるであろう。軍事専門家や評論家たちは、こぞって同じ内容を民衆に告げた。

 しかし、彼らの予想は外れることとなる。未知の技術を世界に見せ付けた中国は、攻勢に出ることなく鎖国。以降、数十年に渡って沈黙を貫くのであった。

 連合の各国も黙って見ているハズはない。弾道ミサイルによる攻撃。スパイなどの諜報活動。様々な方法を試した。だがミサイルが中国上空に入ろうとした瞬間。電磁バリアのようなものが中国全土を覆い、誰の目にも、内部を視ることは不可能となる。




 人の創り得る技術を超えた彼ら。天変地異を自在に起こした機動兵器を抱える国。世界は、いつ滅ぼされるとも分からぬまま脅え、しかしまるで元から存在しなかったかのように中国を取り除き、以前の日常へと戻る。

 一部の予言者を除いて。




 そして二〇六〇年。物語は動き出す。




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