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塔の主人に恋してる! 魔法学院最強の特待生は冒険部に入部しました  作者: 長野文三郎


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8/17

レベルアップ

 僕は目の前で小さく頬を膨らませているノエラ先生に質問する。


「試験終了ってどういうことですか?」


 まさか、何らかの理由で失格になってしまったのだろうか?


「まったく、冗談じゃないわよ。これを作るのにどれだけ苦労したと思っているのかしら。それをこんなに……ああ、修復は無理ね」


 先生はブツブツと文句を垂れながら僕らの方へ近づいてくる。

そして唐突に僕の目の前に拳を突き出した。

そこには3本の鍵が握られていた。


「はい、受け取りなさい。貴方たちは三人とも合格です」

へっ……?」


 突然のことで理解が追い付かない。


「とんでもない受験生だわ。試験用の人造オーガがめちゃくちゃに破壊されちゃって……。職員だってこんなことができるのは一握りですよ」

「でも、これを突破するのが試験の目的ですよね?」


 ノエラ先生は悔しそうにこちらを見つめる。


「違います! いかにこれの攻撃をかいくぐり、出口まで速やかに撤退するかを見るのがこのエリアのポイントなの。場合によっては味方を出し抜く技も見るんだけどね」


 3人一緒じゃなくても合格はできるわけだ。

生贄いけにえを出せば他の二人を見逃すというのは本当だったんだな……。

僕の視線の険けわしさに気が付いたのだろう、ノエラ先生は慌てて言葉を付け足した。


「私の発案じゃありませんよ。とある有力貴族が考えたくだらない試験方法です。って、これはオフレコでお願いね。とにかくあなた方は合格にします。これ以上試験道具を破壊されては困りますので」


 なんにせよ、僕らは実技試験に合格したらしい。

少しずつ喜びが込み上げてきた。


「やったな、ロウリー。あ、これからはロウリーって呼ばせてもらうからな。これで俺たちはめでたく特待生だ」


 タオが僕の手を握ってくる。


「うん、よろしく!」


 僕はアネットの方にも向き直った。


「あ、あの、お疲れさまでした……」


 ふぅ、なんとかあいさつはできたぞ。

試験中の緊迫した空気の中だと会話も楽だったけど、こうして終了してしまうとなんだか話しづらい。

もう緊張を解いてもいいはずなのに、僕は試験が終わった今の方が不安定になってしまう。

そんな僕をアネットは不思議そうに見つめた。


「なんで私には敬語なの?」

「それは、その、馴れ馴れしいのはよくないかなって……」

「今さら? そんなによそよそしいのもどうかと思うわ。私も貴方のことはロウリーって呼ぶけど、いいわよね?」

「うん。じゃあ僕もア、アネットって?」

「ええ、私たちは一緒に戦った仲間じゃない!」


 なんだかくすぐったい気持ちだな。

女の人をファーストネームで呼び捨てするのは初めての経験だ。

できたばかりの友人たちと喜びをかみしめていたら、不意に頭の中で声が響いた。


(『塔の主人タワーマスター』のレベルが2に上がりました)

(アネット・ライアットの好感度が上がりました。ポイントが10付与されます)

(タオ・リングイムの好感度が上がりました。ポイントが10付与されます)


 え、どういうこと? 

これまでずっと停滞していたレベルが急に上がっただって? 

しかも好感度があがったとかなんとか? 


 ワタワタと戸惑っていると、突然僕の前に光り輝く文字盤が出現した。

これはいったいなんだ!? 

そっと指を伸ばしてみるとたしかに触れることができる。

ちゃんと実態があるんだな。

あれ? 僕の名前が書いてあるぞ!


 そういえばラッセルに聞いたことがある。

マスタークラスの人間はステータスボードというもので自分の能力を確認・発現させることがあると。

ステータスボードとは能力を書き記した魔法的表記らしい。

通常は他人に見られることはなく、本人にしか記載内容はわからない。

僕のステータスはこんな感じになっている。


名前:ロウリー・アスター

特殊能力:|塔のマスター(レベル2):三階建て

身体特性:自己治癒力

エクストラギフト:オートシールド

保有ポイント:32


 作成可能な部屋の種類(カッコ内は必要ポイント)

寝室(4)、書斎(4)、居間(4)、食堂(4)、キッチン(5)、食糧庫(5)、トイレ(5)

工作室(7)、バスルーム(7)、ゲストルーム(4)、

遊戯室(4) など ??? ??? ??? ??? ??? ???


好感度・親密度

 ラッセル・バウマン★★★★★★★★★★

 アネット・ライアット★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 タオ・リングイム★☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 これまで空っぽだった僕の塔だけど、レベルアップに伴って内部に部屋を作れるようになったようだ。

ポイントを消費して様々な部屋を設置できるんだな。

そういえば500年前の英雄は豪華な塔に住んでいたらしい。

これらの能力を駆使すれば、僕の塔も豪華にグレードアップするのだろう。


 そして、ラッセルの言う通り、塔の主人タワーマスターのレベルを上げるには、人とのきずなが大切なようだ。

今回は一緒に試験を乗り越えたことによって、アネットやタオと友人になれた。

そのおかげでポイントも付与されている。

こうやって人との関係を築いていけば僕の塔はさらに高くなるのだろう。


うん、ハードルが高い!


ここまでお読みいただきありがとうございました。


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